山で道に迷ったらどうする?→ 山は事前準備が8割。迷ってからでは遅いです…

たとえば、以下のようなシチュエーションがあったとしよう。 「山で道を見失ってしまった。あと30分ほど歩けば下山口だったはずなのだが、どうも下山道ではない正しくない場所を下ってきてしまったらしく、GPSを見ると正規の登山道から50mほど外れているらしい。紙の登山地図は持ってきていない。あと1時間ほどで日没となり、使える明かりはスマホ…

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エジプシャン・ブルーの製造法を完全再現?→元論文の趣旨は「見た目の色合いの違いが出る大きな要因を特定した」

エジプシャン・ブルーの製造法を完全再現! という話題を見かけたが、その話題で紹介されていた元の論文の内容がそんな話してなかった。 というか、そもそもエジプシャン・ブルーの製法はだいたい分かっているし、成分も知られている。古代人と全く同じ製法を再現しようとしても、製法のレシピ残っていない以上、同じ成分/見た目のものは作れても、製法が同じ…

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第18王朝近辺、ツタンカーメンを含む王家のDNA調査/Y染色体とミトコンドリアDNAのハプログループは西アジア系と…

この間、クレオパトラはエジプト人ではなくギリシャ人! とドヤ顔で言うと恥かくぞ…という話を書いた。 https://55096962.seesaa.net/article/515471012.html そもそも、古代エジプトには純血/純粋なエジプト人というものがいたことはなく、歴史を通して常に移民が流入し、混血していた地域である…

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言語と民族は必ずしも一致しない。範囲の広い「テュルク系」を網羅する本「トルコ民族の世界史」

こないだケルト学のあり方に散々疑問を呈したが、足りない視点はここにあると思う。 ウラル・アルタイ語族、テュルク語(トルコ語)系を使う人たちを「トルコ民族」と呼んだ場合、その実態とはいかなるものか、という部分の基本的な視点をひととおり説明してくれている大変助かる本である。 だいぶ昔に出たものを一部書き直して出した新版なので、現代政…

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古代人のDNA調査と「倫理声明」、最近の調査って事前調整の注意書きがけっこう多いよね…という話

さいきんScience Advanceに出ていた南米先住民のDNA調査の論文に、ちょっと面白い倫理声明(Ethics statement)が書かれていた。 この調査の結果は先住民の文化的アイデンティティの概念と関連しない、古代DNAの調査はそれらと混同すべきではない、というものである。調査の発表にあたり、現地先住民の代表者と協議したと…

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片田舎のおっさん、エジプト王になる。「プトレマイオス1世 エジプト王になったマケドニア人」

プトレマイオス1世は、田舎出身のおっさんである。 古代の独立国家としてのエジプト最後の王朝、プトレマイオス王朝を開く人物としてよく知られているが、その実、アレクサンドロスの華々しい冒険と戦歴の数々の記録では、中盤以降にしか出てこない。出身地はマケドニアの農村部。父とされるラゴスは地位が低く、名門の出でなかったことは確かだ。 若き…

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遣唐使の持ち帰った伝統菓子を食べてみよう。「清浄歓喜団」と「ぶと」

京都にいったついでに「そういや、伝統菓子の店あったよな~」とか思い出して寄ってみた。 いやね、昔は「高いな…」とか思って手が出せなかったりしたんだけど、大人になった今なら! 買えなくもない! 狙うは「清浄歓喜団」と「ぶと」である。 奈良時代に遣唐使が仏教とともに持ち込み、その後、今に至るまで精進料理としても食べられ続けていると…

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ガリポリの戦いと「トルコ史テーゼ」、そして「トルコ人は古代文明の祖」という概念について

少し前にトルコのマルマラ海沿いの街チャナッカレに行った。 お目当てはヒサルルクの丘(通称:トロイ遺跡)だったのだが、街には古い戦車や大砲が飾られており、戦争博物館や戦死者の慰霊碑なども建てられていた。 バスの時間調整のため、その大砲とかをなんとなーく眺めて居た時に、地元民ぽいおじさんに話しかけられた。 こちらが日本人で…

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「真・三國無双 ORIGINS」、同人界隈の動きでようやく理解した「ゲームの世界に転生したヒロイン」というラノベの…

コーエーの三國無双シリーズ新作、「真・三國無双 ORIGINS」(略して"むそおり")。発売されてから何ヶ月も経ってしまったが、遅れ馳せながら何とかトロコン一歩手前まで進めた。 (呂布が倒せないので赤兎馬取りに行くやつだけ出来てないんだけど!!! いやあれは無理だろ。時間かかりすぎるし…) 【PS5】真・三國無双 ORIGINS…

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1970年の大阪万博に「ツタンカーメンの遺物が来ていた」らしい? 当時参加した人から聞いた話

開催中大阪万博、一度くらいは行こうかなーと思案中。 なのだが、今回は今やってる万博ではなく、1970年の大阪万博のほうである。そう、あの太陽の塔が作られた時代のほう。 その時、エジプト館でツタンカーメンの遺物の本物が飾られていた、と、親戚の人がいうのである。 曰く、墓の入口に立ってた黒い像二体が来ていた、と…。 …

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数少ないウラルトゥ専門書「埋もれた古代王国の謎―幻の国ウラルトゥを探る」

ここまでの流れ→トルコの博物館にあったウラルトゥの遺物が全然わからんかったので履修しよう というわけで、図書館でウラルトゥの本を探してきた。出版は1981年。古い! でもこれしかない。ヒッタイトもアッシリアも最近ようやくわかりやすい入門書が出たばかりの本邦、ウラルトゥの本はまだ誰も手をつけていないのだろう…。 写真はたくさん載っ…

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アズキの起源に続いて来そうなもの「ウルシの起源」

栽培アズキの起源は日本、という論文がScienceに出ていた。おお、ついに有名雑誌に通るくらいの証拠が集まったのかあ…という感じである。 プレスリリース(研究成果) アズキの栽培化が日本で始まったことをゲノム解析で明らかに https://www.naro.go.jp/publicity_report/press/laborat…

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仏教徒だけどその感覚が分からない…「ブッダの遺物」がサザビーズのオークションへ→仏教徒コミュニティ反発

少し前に流れていた、このニュース。 「ブッダの副葬品」ってなんやねん、という話だが、要するに仏舎利といっしょに収められていた後世の遺物である。 日本人だと一般的によく知られている話かと思うが、ブッダの骨、仏舎利はそれこそ1人の人間ぶんに収まらないほど多数あり、世界各地に分骨されたものが存在する。日本にも沢山ある。どれが本物とかは…

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他の大河と比較した場合、ナイル川はあまり土砂を運んでいない。大河文明と川の性格について

図書館の書庫から掘り出してきた古い本、「砂漠と文明」。情報が少し古かったり、最近の研究で書き換わっているようなところもあったりして使える部分は少なかったのだが、ちょっと面白い内容が載っていた。 「四大文明をはぐくんだ河川の性格の違い」というものである。 砂漠と文明――アフロ・ユーラシア内陸乾燥地文明論 - 嶋田 義仁 「四…

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アナトリア考古学博物館で見た謎の楔形文字碑文と「ウラルトゥ」について

トルコは広い国で、国土の上には様々な時代の文化・歴史が重層的に重なっている。 1万年以上前の先史時代の遺跡から、古代のアッシリア人の遺跡、ヒッタイト、ミケーネ、フリュギアにキンメリアにギリシャ、ローマ。博物館にはそれらの遺物がすべて「トルコの遺物」として並ぶことになる。なので、ぱっと見てどの時代の、どの文化のものか判別するのは広い知識…

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