エジプト・アビドス近郊で調査された中世の墓、実際には第二中間期の墓が再利用されていた。→未知の王の墓かもしれない

なかなかおもしろいニュースが流れていた。 エジプト中部、古代からの聖地であり墓地でもあるアビドス近郊のソハーグで中世に使われていた墓が、よくよく調査してみたらどうも第二中間期(第13王朝末ごろ)のものと分かり、10年ほど前に新たに認知されたアビドス王朝のものかもしれないという。 古代の墓の再利用はエジプトではよくあるのだが、コプ…

続きを読むread more

ウマを偵察に使う利点は機動力だけではない。「背の高い生き物の上に乗ると視野が広がる」

古代エジプトには騎兵がいない。 ウマがエジプトに入ってきたのは第二中間期の終わりごろ~新王国時代だが、その頃にはまだ乗馬という技術が発展していないし、鞍もあぶみも発明されていない。 古代エジプトに騎兵はいないが、「もしも馬に乗れる人がいたら」という仮定で話をする https://55096962.seesaa.net/arti…

続きを読むread more

エジプト展の図録、誤字とかミスとか多すぎない…? 最近の出版事情に思うこと

こないだ行ってきた、ラムセス大王展。 図録は強気の7,500円。まあフルカラーだし分厚いし、専門書みたいなもんと思えばいっかな、って思って買ってきて読んでいたんだけど、誤字とかミスとかが非常に多い。 なんだこれ…誰か通しでちゃんと読んだ…? さらっと読んでただけでももう数十か所はミス見つけて、こんなんで出版していいんだって逆に…

続きを読むread more

南部イギリスの古代遺跡「フラッグ・ストーン」、最新の年代測定でストーンヘンジよりちょっと古いと判明

「フラッグストーン(Flagstones Enclosure)」という遺跡は、しばしばストーンヘンジと比較されることで知られる新石器時代後期の遺跡である。 イギリス南部のドーセットにあり、今まではストーンヘンジと同じ頃に作られたものとされていたが、実際には数百年古い可能性が高くなった、という研究が出ていた。 つまり、この遺跡が先に作…

続きを読むread more

ザヒ・ハワス博士、発掘で遺物の像を破損→「破損してない。虚偽を申し立てたユーザーには法的処置を取っている」

あーいつものやつだなぁ…と思いながら眺めていた一連の騒動。 エジプト考古学者のザヒ・ハワスがサッカラでの発掘中に第5王朝の像を発見、テレビカメラがあるのでいつもよりハッスルし、手柄を誇ろうと雑に手で土を掻き分けたところ、像の前面の漆喰がバキっと外れてしまい、それを見ていたユーザーからめちゃくちゃツッコミを食らった、というニュースが…

続きを読むread more

メソポタミアの古代の農業用灌漑水路、エリドゥ周辺の調査で明らかに

前提として、メソポタミア文明の発達した地域は雨が少なく、雨だけでは主食の麦を育てられない地域である。 エジプトほどカラッカラではないものの、川からの水に頼る灌漑農業をしているのは同じで、畑には水を引き込むための水路が敷設されていた。 だが、長年の川の流れで運ばれた土によって埋もれるか、古代以降に作られた集落に上書きされるかして、…

続きを読むread more

入場料は強気の4千円越え、だが来ているものが一級品勢揃い「ラムセス大王展」

カイロ博物館の老朽化にともなう改装や、新しく作っている大エジプト博物館への遺物移転のはじまった頃から、エジプト政府肝いりの大規模なエジプト展が世界各国で行われるようになった。これは改装中にバックヤードに置いとくよりは他の国に貸し出したほうが費用捻出できるからであり、観光業と並んで遺物の貸し出しが主要な外貨獲得の手段であるエジプトさんなら…

続きを読むread more

エジプト神話には「天候神」がいないのでは…? 雨の降らない国ならではの神話体系について

春という季節は、三寒四温の言葉もあるように「寒い」と「温い」を繰り返す季節である。季節の特性上、雨が降るごとに季節は春へと近づいていくため、「雨が降る」は季節が変わる兆しである。なお、雨が寒いタイミングに降って雪になることを表現した「なごり雪」という言葉もある。 雨が季節の変わり目や春を意味する地域は日本以外にもあちこちにあり、そ…

続きを読むread more

エジプト:カルナック神殿から第26王朝の金製品が見つかる。ポイントは「金の薄さ」

エジプトの観光名所としてギザのピラミッドと並ぶカルナック神殿は、かなり広大な神殿で、かつ時代を越えて増改築が繰り返されてきた。そのため色んな時代の遺物が出てくるのだが、今回は、第27王朝の金製品が出てきた、というニュースが流れていた。 A collection of jewellery from 26th Dynasty unea…

続きを読むread more

そろそろ黄砂のシーズン。今年はたぶん黄砂多いと思うよ…

そろそろ黄砂シーズン。花粉症はないので、どっちかというと黄砂のほうが中の人的にはキツい。あらゆるものに砂が降り注ぐ。 黄砂は年ごとに多い少ないがあるのだが、前回2006年にめちゃくちゃ黄砂来た時には、 ・冬がいつものより寒い ・日本海側は大雪 ・大陸側は少雨 という特徴があったので、今回も条件に一致する。つまり今年は黄砂の当た…

続きを読むread more

イベリア半島の鉄器時代の「生首」は晒し首インテリアか特殊な埋葬習慣か。出身地調査から見える傾向

北東イベリアには、青銅器時代以降に生首をさらす風習があった、とギリシャ語やラテン語の文書で言及されているという。(これはおそらくガリアの人頭崇拝のこと) ※出典元 だが、考古学資料があんまり無いので実態がよく分からない。 戦争が討ち取った敵の首をトロフィーとして飾ったのか。 それとも、尊敬すべき長老などの頭蓋骨を飾っ…

続きを読むread more

”遺跡”化していく村:過疎化で人が住まなくなったエリアが遺跡の形成過程の参考になる

山登りとかしていると、山あいの村が過疎化で無人家だらけになっている場面はよく見かける。場合によっては車などがそのまま残っていたり、壊れた窓の中にか家財道具が残っているのが見えていたりする。 おそらく相続放棄されたり、誰も関係者が残っていなかったりで放置されているのだろう。 相続放棄のパターンだと、子孫はふもとの便利な町のほうに移住し…

続きを読むread more

エジプト:紅海沿岸から金鉱あとが見つかる。 人力で頑張った痕跡だぁ…

エジプトの紅海沿岸、Marsa Alamから大きな金鉱キャンプ跡が見つかったというニュースが流れていたので、メモがわりに。 出土している品からして末期王朝~ローマ支配時代くらいに稼働していたようだ。 A Large Camp Where Gold Was Mined and Processed in Antiquity, Fou…

続きを読むread more

古代エジプトの武器について:剣は「技術的な理由で」使われなかった、という話

基本事項として、古代エジプトは末期王朝まで青銅器時代である。鉄器の使用は、紀元前1,000年以降に開始される。それまでに使用された鉄は全て隕鉄だ。 エジプトだけでなく、西アジア全般でもそのくらいであり、ヒッタイトだけ先駆けて鉄の使用が盛んだったというわけでもない。なので、それまでの時代の古代エジプトや周辺国との戦争で使われた武器は、全…

続きを読むread more

世界帝国の中の文化・美術の交錯「帝国スペイン 交通する美術」

スペインは16世紀以降、「世界帝国」というにふさわしい広大な版図を抱える帝国を築く。その帝国スペインの中における、異なる文化が組み合わさった美術様式についての本である。 帝国スペイン 交通する美術 - 岡田裕成, 岡田裕成 切り口はいくつかある。 ・レコンキスタ後、スペイン領内に残ったイスラム様式とキリスト教文化の融合…

続きを読むread more