断片資料を頑張って整理した「ハザール 幻のユダヤ教騎馬民族国家」

中の人がハザール人について最初に興味を持ったのは、トルコの軍事博物館にいったとき「偉大なるトルコの祖先たち」の中にハザール人が入れられていた時である。 フン族の王アッティラが匈奴にされ、さらにトルコの祖先に入れられていて「???!」となり、突厥から繋がるハザールもトルコの祖先にされており、なんやこれ…騎馬遊牧民の系統ぜんぶトルコの祖先…

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2000年代初頭の就職事情覚書き。氷河期世代が新卒の頃に見ていた就活とは

氷河期世代、という言葉がある。新卒の頃に就職先がなく、新卒・第二新卒では就職出来ないまま歳を重ねてしまい、今更就職できなくなった人たちの多い世代のことだという。 年代的には1993年から2005年くらいに新卒の就職活動を行った人たち。この世代が厳しかったのは、2009年からリーマンショックによる不景気が再び襲ってきたことで、タイミング…

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南アフリカのサン族が描いた謎の動物は古代生物の化石か? →そもそもこれ動物じゃなくね?

タイトルだけ見ると面白そうな論文だったんだけど、内容見ると、うーん…という感じの論文。 約200年前に南アフリカのサン族が書き残した壁画の謎生物が、近くで出土している古代の単弓類 (Synapsida)の化石を元にして描かれたものでは? という話なのだが、根拠が薄い。 A possible later stone age pai…

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考古学論文と見せかけた巧妙なサツマイモ・キャンペーン「ニュージーランド先住民は南米産サツマイモを栽培してた!」

先行研究としては以下を参照。 ポリネシアで古くから栽培されているサツマイモが、どうも大航海時代に持ち込まれるより古くから存在するらしい→独自に南米と交易したのでは? という説が元々あり、それが最近では確実視されてきている。 ①サツマイモはどこから来たのか。その起源を巡る様々な研究 https://55096962.seesaa…

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日本語であんま資料出てこなかったので。トルコ・シャンウルファの「エデッサ王国の墳墓群」について

トルコ南部にあるシャンウルファ(または単に「ウルファ」)は、1万年以上に渡る居住の痕跡がある古い街である。ギリシャ語での街名はエデッサ。ギリシャ史から入った場合、こちらの名前のほうが馴染みがあるかもしれない。 この街はギョベックリ・テペ遺跡(約1万2千年前から居住開始)の最寄りとなっている。 なので1万年前くらいの遺跡から、古代…

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氷河融解でスイス・イタリアの国境線が変更に。思い出すのは、かつての「エッツィ」所有権事件

スイスとイタリアの間の高山地帯で氷河が融解し、氷河上にあった国境線が移動することなった。 この国境変更は2000年にも行われており、近年では2度めだという。 スイスとイタリアが国境を一部変更へ 氷河融解の影響 https://www.cnn.co.jp/world/35224463.html?ref=rss 実際にどう国…

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エジプト→ヒッタイト間の書簡往復はけっこう大変。ルート推測/陸路は途中のルートにある山脈が邪魔

新王国時代のエジプトと、帝国時代のヒッタイトは書簡の往復をし、条約を結ぶなどのやり取りもしていた。 これは古代史の本には頻繁に出てくる内容だ。ただし、実際どのルート通って使者が行き来していたかの資料は少ない。 双方の首都から書簡や碑文が発見されている以上、かなり頻繁に行き来があったと思われるが、古代世界の長距離旅行はそれほど安全では…

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ヒッタイトの首都の水源はどこ? 調べたらハイキング・コースとして観光地化されていた

ふと、「エジプトの集落とヒッタイトの集落の違いってなんだろうな」という疑問が浮かび、なんとなく地図を広げてみた。 一番大きな違いは、城壁が必須かどうかだろう。エジプトはナイル渓谷に沿って集落があり、上流のほうは川沿いは切り立った崖、下流は川を離れると砂漠か海、という状況なので、外敵の侵入ルートが読みやすい。国境の要塞などは城壁を作…

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古代エジプトの東の国境に「運河」はあったか。水路っぽい遺構の可能性について

古代エジプトの訓戒文学の一つに、「メリカラー王への教訓」と呼ばれるものがある。第一中間期の終わり、ヘラクレオポリス王朝の最後の王メリカラーに対し、父王ケティが授けたという体裁で書かれたものだ。 その中に、東からやってくるアジア人に対して防衛せよという内容があるのだが、水路らしきものを備えていたと読める部分がある。 (99行目) …

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アラブ帝国の”血縁関係"というフィクション「アラブ系譜体系の誕生と発展」

なんか何でもいいから本読みたい! という発作が来たので、図書館でテキトーに借りてきた本が、アラブ人という民族のナショナリズムに関わる内容だった。 ウマイヤ朝までのアラブ人は、それぞれが「xx族」のどれかの集団に属していることになっていて、その血縁関係の纏まり単位で系譜(ツリー)(になっていたという。で、「xx族」のツリーに属してる人は…

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夏山シーズン振り返り。この先、酷暑を避けて山に登るには…

夏山シーズン終了。山はもう秋です。山の上に見える空も。草花も。天候も、全部、秋。 なんか…ようやく普通に山に登れる…暑さに生命の危機を感じない…。 いやマジで、今年はクッソ暑かったんで、ちょっとマジメに死ぬかと思いましたねエエ。 吹き出す汗がハンパない。ちょっと1000mほど高度上げるだけで4Lの水を消費する。…

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AI利用でナスカの地上絵をさらに発見、用途の分析なども始まる

ナスカの地上絵をAIで追加発見! というニュースが流れていた。詳細は山形大のプレスリリースで見られる。 AIによってナスカ調査が加速したことで、既知の具象的な地上絵の数がほぼ倍増し、地上絵の目的が明らかになった https://www.yamagata-u.ac.jp/jp/information/press/20240924 …

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キプロス島のカバは人間が食い尽くしたから? 絶滅時期と原因についての研究

かつて、キプロス島には小型のカバとゾウがいた。 カバは150万年くらい前に原種のカバ(Hippopotamus amphibius)から分岐して、島嶼化と呼ばれる小型進化の過程を経てイノシシほどのサイズにになっていたし、ゾウはヨーロッパと西アジアに生息していた原種(Palaeolocodon antiquus)の10%ほどの大きさまで…

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メキシコ先住民の生活誌「エル・チチョンの怒り」、アメリカの不法移民事情について

「エル・チチョン」というのはメキシコにある火山の名前。1982年に噴火したが、その事件がタイトルとなっている。 ずいぶん前の話だなと思うかもしれないが、この本は実際にその頃からメキシコ南部の先住民の村で民俗的な調査をしていた話を取り扱っている。そして、増補版が出たのが最近のこと。 つまり、この本は、メキシコ南部の村の生活がどのように…

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古代エジプト人、痔になる。座り仕事のいまむかし

ディル・エル・メディーナ出土のパピルス一覧を見てたら、痔の治療法が懇切丁寧に書かれてて、ああ、座り仕事…。ってなったお話。 この村は、古代エジプト・新王国時代の墓作り職人たちの職人村である。その時代に古代エジプトの首都だったルクソールの西対岸にあり、歴代の王族・高官の墓がある「王家の谷」とか「王妃の谷」にアクセスし易い場所に作られてい…

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