アマゾンの文明と南米の文化圏の広がり/知っておくと良い前提知識

なんだか最近、アマゾンに文明が!のようなニュースを見かけることが多くなった気がする。 たとえばこういうやつである。 アマゾン奥地でこれまで知られていなかった「古代都市」の遺跡を上空からのLIDAR調査で発見 https://gigazine.net/news/20220526-lidar-reveals-amazonian-u…

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うん○でわかる歴史がある。~ストーンヘンジビルダーたちの排泄物が語る歴史

遺物を前にして「数千年前の情報が語りかけてくる…!」とかロマントリップの出来る人は是非ともコプロライトでそれを試していただきたい。 すでに芳しき香りは失われていようとも、かつてそれは生物の体内よりいでて、他に無いたえなる芳香とぬくもりを持っていたものなのだから。 …ちなみにコロプライト(coprolite)とは糞石のことであり、…

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豆知識としての「ウルシ」、漢字の成り立ちと性質から考える付き合いの始まり

この間、100年前にフランスに渡り活躍していた、知られざる漆職人のドキュメンタリーを読んだ。 なかなかおもしろい内容だったのだが、その時に「そういや漆器について何もしらんな、日本人なのに」と思い至った。 家には漆器の菓子盆くらいはあるが、めったに使わず箱に収めたまんなのだ…。 そこで何冊か本を読んで色々調べてみたのが以下。 …

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学者が頓珍漢な発言で炎上するとき――その裏で何が起きているのか

「人糞(じんぷん)学者」というネットスラングがある。「人文(じんぶん)学者」をもじったものである。 クソみたいなことを言ってるくせにインテリぶっている肩書きだけの奴ら、というニュアンスの汚い言葉だが、残念ながらこの言葉はある程度の人口に膾炙してしまっており、実際、「これはちょっとひどすぎるだろ…」というような内容を平然と公表する人…

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エバーグリーン事件は布石だった…? エジプトさん、観光産業の大打撃をスエズ運河でカバーする

スエズ運河で台湾のエバーグリーンが所有するコンテナ船が座礁したのは2021年4月のこと。 その時に「損害賠償」として多額の要求があったことは記憶に新しい。 参考 https://www.jetro.go.jp/biznews/2021/07/436e13cb844937c9.html "現地報道によると、スエズ運河庁は水…

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トルコ沿岸のナイトクラブ「アポロン」、隣にあるアポロン神殿を不正利用したとて訴えられる

見つけた瞬間、これはww と思ってしまったニュース。 ギリシャ神なら怒らない気もするのだが、やるならバッカス神殿あたりでやるべきだったのか。 私有地のアポロン神殿の不正利用、刑事告発 http://www.el.tufs.ac.jp/prmeis/src/read.php?ID=53390 文化財として保護されているアポ…

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修道院ワインの隆盛と衰退の歴史「ワインと修道院」

修道院で作られていたワイン、という切り口で、そこに集中して歴史が書かれた珍しい本。 と同時に、ヨーロッパ出身でキリスト教世界に属する人が、他の文化圏や地域を考慮せずに書くと、どこまでが範囲に含まれるのか、という限界が分かる面白い本でもある。 具体的にいうと、「エジプトの偉大なところはピラミッドと修道院制を作ったところだ」のようなサラ…

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エジプトにある沙漠アート、消滅を意図していたのに遺跡化してしまう。

1997年にギリシャ人アーティストによって紅海沿岸のリゾート都市近くに作られた「Desert Breath」というアートが、いずれ砂に埋もれて消滅する想定だったのにそのまま残って遺跡化しようとしている、という面白い話。 Desert Breath: How Art Combined the Red Sea and Infinity…

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ヴァイキングはいつから活動していたのか。現在のところ最古級の証拠はエストニア

10年ちょっと前くらいにエストニアで発見された、サルメの船葬について。 家にある古い本だとまだ見つかってない時代に書かれてるものが多くて、これ出て来ないので、ついでにまとめておくことにした。 ■概要 2008年と2010年にそれぞれ1つずつ船と中に収められた遺体とが見つかっている。いわゆる船葬。両方ともクリンカー造り。 最初…

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エジプト・エスナ神殿のクリーニングが完了する。浮き彫りがキレイだ…

エジプト中部、エスナのクヌム神殿のクリーニングが終わったそうで、およそ2千年前の色彩が鮮やかに蘇ってきたようだ。 また、一緒に、ローマ属州時代に作られた彫像も発見されているらしい。 In Photos: Ancient engravings, reliefs uncovered during restoration of Tem…

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「古代エジプトではマリーゴールドが薬として使われていた!」→キンセンカ(ポット・マリーゴールド)のことだった

ハーブティー飲もうとしたら、中に入ってるマリーゴールドに「エジプト産」って書かれてて、ん? って思った中の人ですよ。 マリーゴールドは南米原産。なので、どっかの時代にエジプトに輸入されて栽培されるようになった、ハイビスカスと同じパターンなのかなーと思ってたのだが、ネット上でググってみるとどうも「マリーゴールドは古代から地中…

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トルコの地下都市遺跡の収容人口は盛られすぎではないか、という話

2年前に、トルコ南部のマルディン州ミディヤットで発見された地下都市。 発掘が進み、かなりの規模であることが判明して来ている。 このテの地下都市といえばカッパドキアのデリングユ、カイマクル、マズゴイなどのものが有名だが、小規模なものは数百あり、さらに最近では周辺の似た地質(掘りやすい柔らかい火山性地質)でも発見されてきている。 …

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事故死すれば楽園にいける。現代における「異世界」=古代で言う「死後の世界」に近い概念なのでは?

異世界転生もの、もしくは異世界に召喚されるというところから始まるファンタジー作品は、古今東西問わずよくあるものである。 過去の世界にタイムスリップ転生するものや、近い時代の別人の体に転生(?)するものなどもあるが、ここでは、現実世界とは全く別の「異世界」へ移動する、という作品に限って話をしたい。 端的に言うと、そうした作品で想定…

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ギザのスフィンクス信仰の変遷について

エジプト・ギザ台地にあるスフィンクスについて、ふと、「古代より中世のほうがまともに信仰されているのでは…?」という気がしたので書いておく。 前提として、「古代エジプト」の時代だとスフィンクスが単体で神として信仰された形跡は、ほぼ無い。 例外としてトトメス4世の時代に夢の中にスフィンクスが出て来て王位を与えてやると言った、という話…

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ヨーロッパの青銅器時代の短剣、戦士のステータスシンボルではなくお肉切り分け用だった可能性が高まる。

今までは見た目で用途を分類されていた副葬品に入ってる刃物、刃に残ってる使用痕や有機物の痕跡から用途を割り出す手法が考案された、という話。 今回の分析では北イタリアで発見された約4000年前の10本の薄手のナイフについてが対象で、いずれも有機物は動物の脂肪などと判明。動物の屠殺や肉の切り分けなどに使われていた、という結論になった。 こ…

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