トンガ噴火で気候変動? その理由は火山性ガスではなくまさかの「水蒸気」

今年1月に起きたトンガの大噴火。 火山噴火は大量の火山性ガスを噴出するものだし、今回は成層圏まで到達するような大噴火だったので、寒冷化など気候変動に結びつく可能性はあるのでは…。と思っていた。 その研究で興味深い論文が出ていた。 今回の噴火は火山性ガスとしてはあまり出ていない。(おそらく海水に吸収されて放出されなかった) た…

続きを読むread more

本屋が何故かシベリア特集をやっていたので…。シベリアの歴史と「シベリア送り」の実体とは

シベリア特集やってたんですよね! 何故か!! うんまあ、赤い本とかダイレクトにロシアの本とか並べたら政治的な意図がもにゅもにゅになるんで、いいチョイスかなと。 今回読んでみたのは、復刊の「シベリアの歴史」。元々がかなり古い時代に出されたものだが、扱っている情報は時事的なものではないため、今でも通用する内容になっている。 シ…

続きを読むread more

古代エジプト人は墓の天井の曲線をどうやって作ったか。意外に簡単だったのでは? という論文

古代エジプトの墓の天井(ヴォールト)の曲線、とは、たとえば、こういう感じのやつのこと。 この美しい左右対象の曲線を、どうやって描いていたか? という論文を見つけたので、備忘録代わりに書いておこうと思う。 An elegant vault design principle identified in Old and New…

続きを読むread more

実在した王国ダホメ(=現ベナン)を舞台にした歴史映画がアメリカ公開。これは面白そう…!

DVDかアマプラで日本にもこねーかな。歴史映画はちょいちょい予告編とかチェックしてるんだけど、久々に「これは面白そうかも」というのを見つけた。 THE WOMAN KING https://www.youtube.com/watch?v=3RDaPV_rJ1Y&t=152s この9月からアメリカ公開、予告編見る限りなかなか…

続きを読むread more

短命に終わった「バルカンのケルト人王国」テュリスについてちょっとまとめてみた

テュリス(Tylis/Τύλις)は、ヨーロッパ中央部からバルカン半島まで進出してきて一時期そこに住み着いていたケルト人の王国である。 アレクサンドロス亡き後の王国分裂後、マケドニアはリュシマコスが支配していたが、そのリュシマコスが紀元前281年に戦死。出来た権力の隙をついて進出してきた。 なお、ケルト人自体はそれ以前からちょい…

続きを読むread more

ヒッタイトを襲った「エジプトの呪い」の正体。紀元前14世紀の疫病の正体と、当時の検疫事情について

古代エジプトとヒッタイト、といえば、ラメセス2世の時代に起きたカデシュの戦い、そしてその後に結ばれた停戦協定あたりの下りが有名だが、2つの大国の関わりの歴史は、それより百年前には既に始まっている。 で、ラメセス2世に先立つ第18王朝あたりの記録を調べてみると、ざっくりと以下の概要のような歴史がある。 ************* …

続きを読むread more

ヒッタイトの言葉4種と範囲・内容の覚書き

のちにヒッタイト帝国の版図となるアナトリアの紀元前2000年頃、帝国の成立前の時代には、4種類の民族言語集団がいたとされる。 「民族言語集団」とは聞き慣れない言葉だが、要は血縁とか文化とかでの区分ではなく、使っている言語の「xx系統」によって集団を分類したもの、と思えばいいかと思う。 内訳は以下。  ①アッシリア人(アッシ…

続きを読むread more

2022年夏、北半球の渇水まとめ。いろんな遺物が出てきましたよね

今年の夏は世界各地で渇水が発生、各地で「水没していた遺跡が出てきた」「川底の恐竜の足跡が出てきた」「川の中にあった昔の碑文や仏像が出てきた」のようなニュースがたくさん流れていた。 だが、結局どこが渇水だったのかのニュースを探していくと、なかなか面白い結果になっていた。 ほとんどの渇水地域は、普段より雨が降らなかった地域と、降った…

続きを読むread more

モンゴル遊牧民の考え方が面白い、「交渉の民族誌」

サブタイトルは「モノをめぐる情報戦」、この言葉の意味は本を読んでいくと分かる。 遊牧民の世界では情報が価値観を持ち、モノに付随する情報もまた「所有財産」の一つのような扱いを受けている、という話だ。 よく遊牧民はモノをあまり持たない、モノに執着しない、と紹介されることがあるが、実際は逆で、すぐに替えが手に入るわけではなく、お店もな…

続きを読むread more

エジプトさん、環境NGO団体の活動を締め付ける →実は今まで色々あったからです

こんな記事が流れてたんだけど、あーこれ書いた人は今までの経緯知らんのやなあ…ってちょっと思ったので代わりに書いておく。 エジプト、環境団体の活動困難に 政府が締め付け―国際人権団体 https://www.jiji.com/jc/article?k=2022091300636&g=int まずエジプトさんが厳しく扱…

続きを読むread more

ロバの家畜化起源地は東アフリカか。DNAの研究で示唆される

今までウマとかイヌとかネコとかの家畜化起源地論争は取り上げてきたけど、そういやロバって無かったなぁと、ついでに拾っておくことにした。 現代のイエロバと古代のイエロバのDNA分析から、ロバの家畜化の起源地は東アフリカで、かつ他の地域では家畜化されていない可能性が高い、との研究結果が出された。 なぜ現代と古代のものを両方調べているのかと…

続きを読むread more

スパコン的な敵は排熱口を塞げば倒せる。リアルで考える近未来SF

最近はAIに絵を描かせるのが流行ったり、スパコンで演算処理された災害予測が日常生活でも触れられるようになってきたりと、何かとコンピュータの高性能化が取り沙汰されるようになってきている。 もっとSFや現代が部隊のファンタジー作品では、だいぶ前から「人間を越える知能を持つ人工知能」という存在が活躍していた。指示を出していたボスの正体がデカ…

続きを読むread more

需要がニッチすぎるが面白い、ケニアの呪術の民族誌「信念の呪縛」

タイトルと説明と表紙見て「アッこれ絶対おもしろいやつやん」とポチった本。 たまに圧倒的な存在感で呼びかけてくる本あるからね…まぁそういうのってだいたい面白いのよ、うん。 需要はたぶんそんなに無い、あと分厚さとお値段からしてもめちゃくちゃ売れることはほぼ無いんだけど、同じ趣向の人ならニコニコ顔で読めると思うんだ。 信念の呪縛──…

続きを読むread more

ウェールズ伝承「海に沈んだ国」は高波で侵食された? 古地図の研究で可能性が示唆される

ボドリアン図書館が所蔵する英国最古の地図、ゴフ地図 Gough Map (13-14世紀のもの)に、伝説上の「失われた王国」が載っているかも、という研究があって、面白そうだなと思ったのでちょっと拾っておく。 元論文 The ‘lost’ islands of Cardigan Bay, Wales, UK: insights i…

続きを読むread more

パキスタンの豪雨被害でモヘンジョ・ダロが被害を受ける。

大雨被害が報道されているパキスタン。実はモヘンジョ・ダロなどインダス文明の遺跡の多くはインドではなくパキスタン側にある。 被害出てるんじゃないかなと思って調べてみたら、やっぱり…という感じだった。 洪水でモヘンジョダロの壁損壊 パキスタン世界遺産、国連支援 https://www.sakigake.jp/news/arti…

続きを読むread more