「遊牧民」はなぜ誕生したのか。その生活スタイルの起源が意外と謎だった。

定住せずに、移動しまくりながら生活していく「遊牧」という生活スタイルは、一体いつ、どのようにして生まれたのか。 そんな疑問がフト浮かび、そもそも彼らはいつから遊牧生活してるのか、とか調べようと思った。意外と知らない遊牧スタイルの起源ーー。 ●遊牧と移牧の違い まず最初に、「遊牧」と「移牧」の違いをおさらいしておく。 遊牧…

続きを読むread more

マヤ人のお塩生産力はどのくらい? 文明を支えた「塩」の力とは

古典期マヤ(いちばん人多くて栄えてた時代)の塩の生産についての論文が出ていたので、ざっくり読んでみた。 この遺跡はベリーズの南、カリブ海に面したところにある。もともと海辺にあり、現在は海水面の上昇とともに沈んでしまっている場所になる。 Household salt production by the Late Classic M…

続きを読むread more

聖書に出てくるヘテ人と「ヒッタイト帝国」の違い。/時代と場所

前段はすっとばすが、旧約聖書に出てくるカナアン在住の「ヘテ人」と、古代エジプトと対立したヒッタイト帝国の「ヒッタイト人」の違いについて、ざっくりまとめておきたい。 両者はイコールではない。 系統的につながってはいるものの、イコールではないのでない。ヘテ人=ヒッタイト人の一部の末裔、くらいで認識しておくといい。 まず、ヒッタ…

続きを読むread more

あれから7年…ISに破壊されたニネヴェのマシュキ(Mashki )門の再建が始まる。

2016年にIS(イスラム国)によって破壊された遺跡の一つ、イラン北部、古代のニネヴェの町にあったアッシリア時代の門が復元されようとしているというニュースを見かけた。地面の下に埋もれていた美しいレリーフの一部は無事だったようで、そこが写真に出ている。 なお、この門は、アッシリアの王センナケリブの時代に建造されたものと考えられている。お…

続きを読むread more

【マジか】北海道の天然記念物「ヒブナ」、実は100年ほど前に新たに誕生した種だったことが判明

鮮やかな体色を持つ「ヒブナ」、色合いからして「金魚との交雑」説があったものの決定打もなく、「突然変異では?」と言われてきたのが、やっぱり金魚との交雑で、しかも100年ほど前に新たに誕生した種だったことがDNAの解析から判明。 種ってそんな簡単に発生するものなんだ? っていうのと、従来言われてきた「フナと金魚は交雑出来ない」っていうのは…

続きを読むread more

カナダ先住民と疫病死亡率。北米もかなりの影響を受けていた

なんとなく図書館で見つけて読み始めた「カナダ先住民と近代産業の民族誌」という本。 ざっくり内容を要約すると、鮭をとって暮らしていた河口の民のもとにヨーロッパ移住民資本の企業が入り込んで近代的な漁業スタイルが広まり、伝統が近代へ適合していったというものだった。 カナダ先住民と近代産業の民族誌―北西海岸におけるサケ漁業と先住民漁師に…

続きを読むread more

リビア砂漠で見つかる謎の土器、サハラが乾燥化する以前のウッドオイル製造器の可能性

何かを調べていたら全然別の論文が出てきたけど、エジプトのだったからとりあえず読んでみた。(いつもの) リビア砂漠で大量に見つかる先王朝時代の謎土器について、「かつて砂漠がまだサバンナで、木材があった頃に木片を蒸し焼きにしてオイル作ってたツボなのでは」と述べて再現実験をしている話だった。 Pharaonic Pyrolysis -…

続きを読むread more

メソポタミアの古都市ラガシュは「ベネチア式」の街だった、都市の発展についてのモデルが見直される結果に

メソポタミアは、現代のイラクでティグリス川、ユーフラテス川の下流付近の地域を指す。 統一された国家は長らく登場せず、初期には都市ひとつずつが国家の役割を持つ、いわば「都市国家」群の時代があった。その中の一つ、河口に近い場所にあったラガシュという都市についてのサーベイが進んでいる。 河口のため現在では泥の下に埋もれている都市遺構を…

続きを読むread more

ゲーム「シヴィライゼーションⅥ」に出てくる謎エジプト神、クシュ王国の神だった

人気のストラテジーゲーム「シヴィライゼーションⅥ」に登場する守護神、Sebiumeker(多分「セビウメケル」)。 エジプト神話の神ってカテゴリにされていたけど、そんな神しらんな…と思っていた。で、ふと調べてみたら おるやん?! というか、カテゴリがエジプト神話っていうより「ヌビアの神」。 エジプト南方、現在のスーダン中部あた…

続きを読むread more

紅海沿岸ベレニケの町/ローマ時代の鷹神の神殿と他民族の信仰

エジプトの紅海沿岸にあり、かつてベレニケと呼ばれていた港町での発掘調査が続いている。 その報告がなかなかおもしろい内容だったのでメモっておこうと思う。なお、時代的に3-5世紀あたりなので、「古代」エジプトの範疇からは外れる。 これは、ナイル流域での伝統的なエジプト宗教が廃れようとしていた時代に、辺境の地でカスタマイズされてエジプト人…

続きを読むread more

温暖化と「御神渡り」、実は定期的に起きるようになったのは最近ではという話

平成に入ってから、諏訪神社の「御神渡り」が起きなくなった、という話が定期的にニュースになる。 温暖化によって湖が凍りつかなくなったからだ、という話なのだが、平安時代も温暖な時代で、現代の気温と同じかそれ以上だったと言われている。ということは平安時代も御神渡りはほとんど起きなかったのではないかと思う。 参考: これまでの気温変化め…

続きを読むread more

タイトルでだいぶ損してる気がするが中身は硬派「謎の海洋王国ディルムン」

「謎の古代文明」みたいなタイトルつけると途端に胡散臭くなるんすよね、まぁ分かる人なら出版社とかレーベルでテイスト分かるんだけども。 ちょっとタイトルで損してる感はあるが、内容的には年表や地図を多く使ってわかりやすく仕上げてくれていた。 謎の海洋王国ディルムン-メソポタミア文明を支えた交易国家の勃興と崩壊 (中公選書) - 安倍 …

続きを読むread more

古代エジプト・第三中間期の墓~タニス王墓の謎

タニス王墓とは、ナイル下流のデルタ地帯にあるタニスに存在する第三中間期の王墓群のこと。 「銀の棺のファラオ」で知られるプスセンネス1世の墓もここにある。第21王朝~第22王朝の王と将軍、王子や王妃が埋葬された地下墳墓である。ほぼ未盗掘で発見されたわりに知名度が低い、不憫な遺跡でもある。 参考:第三中間期の王リスト ht…

続きを読むread more

ナイルの増水はエルニーニョ/ラニーニャで決まる。地球規模の気候とその変動の歴史

まず最初に、エル・ニーニョ現象、ラ・ニーニャ現象についての説明を見てほしい。 気象庁ページ この現象について、異常気象と結びつけて語られることが多いのだが、実は違う。1万2千年前に一時的に発生しなくなり、その後、5千年前に再び発生するようになり、以降は2-7年おきに定期的に繰り返されている地球の営みの一つだ。 …と…

続きを読むread more

イースター島で火災発生、モアイ像もコンガリ→実はイースター島めっちゃ火事多い

太平洋のド真ん中に浮かぶイースター島。チリ本土からは飛行機で約5時間。しかも風が強いとなかなか離発着できないので飛行機遅れるのはザラ。 そんな秘境の島で大きな火災が起きたとニュースになっていた。 起きた場所がモアイ製造の地ラノ・ララクなので、一部のモアイ像も焼けてしまったらしい。 In pictures: Easter Isl…

続きを読むread more