エジプト・アビドスで見つかった山ほどの「羊の頭のミイラ」とラメセス2世の関連性とは…

最初、日本語ニュースで読んで「ん?」となった話。 羊の頭のミイラ2000個発見 ラムセス2世への供物 エジプト https://news.livedoor.com/article/detail/23945324/ 「ラムセス2世の死後1000年を記念する儀式が行われた」とあるのだが、ラメセス2世が亡くなったのは1200年頃…

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ミン神は「ithyphallic」…その英単語がわからなかったので調べてみたら

エジプト関連の英語文書を漁っていたら、ふと見慣れない単語がミン神にくっついているのを発見した。 形容詞っぽいけど何言ってるのかわかんねえ。…というわけで調べてみたら。 英語詳しい人ならもう分かるよね、そう… これBokkiしている彫像用の単語だった。 こういう状態が代表例らしい…。 なるほど…

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ローマに現存する「魔法の門」と背景にある錬金術的な思想について

ローマの一角に、「魔法の門」とか「錬金術師の門」と呼ばれるルネサンス期の小門がある。 元はパロンバーラ邸にあったらしいのだが、荘園が解体される際に門だけ取り外され、移動させられた。現在ではトリップアドバイザーやWikipediaにも載っているフォトジェニックな観光スポットの一つである。 なにやら意味深な図像が刻まれ、いわくありげ…

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古代エジプト版「定礎」、建物を建てる際の儀式と竣工時の儀式について

古代エジプトでは、重要な建物を建てる前に執り行われる一連の儀式、「Foundation Ceremony」と呼ばれるものが存在した。 これは、基盤となる部分に遺物を埋め込む「Foundation deposits」(基礎埋蔵品)を伴う儀式になる。埋蔵品は、建築道具のミニチュアや儀礼的な壺などが多い。 たとえばこういう↓感じの品だが、…

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三葉虫には「第三の眼」があった、カブトガニ形式の外界認知方法

三葉虫の化石を詳細に調べたところ、全面にある一対の複眼の真ん中に「第三の目」の痕跡が見つかったらしい。 この眼は正中眼というもので、カブトエビなどにもあるもの。複眼とは別に、光などを感知するために使われる別用途の眼だそうだ。眼という器官の進化系統が少し書き換わりそうな話。 The median eyes of trilo…

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ピングー顔のシュメール人の像と、イラクの博物館に日本語音声ガイドがある件について

知り合いから「シュメール人ってたたまにピングーみたいな顔してない?」と言われ、なんのこっちゃと思いながら検索したらマジであったんだよピングー顔のシュメール人の像…。 こちらは、初期王朝の頃(紀元前2,800-2,300年)の祈願者像の一つ。 正面から見ても、めっちゃピングー。 祈願者像は、その名の通り神様になにかお…

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最後の聖域ーヌビアの「異教の砦」カスル・イブリームと遺跡のその後

カスル・イブリム(Qasr Ibrim)、またはカスル・アル・イブリームと呼ばれる遺跡が、アスワンの南、下ヌビアにある。 現在は上陸が許されているのは考古学者のみ、観光地にはなっていないので観光ガイドにも出てこないが、ダム湖の中に浮かぶ島に廃墟と化した城がなかなかにフォトジェニックな場所である。 だが、そもそもこ…

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健康食品モリンガは古代エジプトで愛された? 部分的には正解だが尾ひれがついている件

モリンガとは、かなり大きな樹冠を形成する植物で、和名だとワサビノキ。沖縄などにいくと町中に植えられているのも目にするはずで、ながーい豆のさやが枝からぶら下がっている目立つ木だ。 そんな木が今、スーパーフードとして健康食品界隈で話題になっている。 …のはいいのだが、ちょくちょく「クレオパトラも愛した」とか「古代エジプトでも珍重され…

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現代ギリシャと北マケドニアを巡る「アレクサンドロス帰属問題」、面倒くさいけど面白い

「古代地中海世界と文化的記憶」という本を読んでいて、マケドニア問題が出てきたのでふと思い出した話。 ギリシャの北にマケドニアという国があり、長らく国名でモメていたのだが、近年になってマケドニア側が折れて「北マケドニア」に改名したというニュースがあったのを、覚えている人はいるだろうか。なんでモメたのかというと、ギリシャ側が「アレクサ…

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金を積めばなんとかなると思うなよ! 古代エジプトの「三途の川の渡し船」、金ではなく知恵を要求する

ギリシャの三途の川の渡し守といえば、渡し賃を取ることで有名なカロンである。 日本でも三途の川には奪衣婆がいて、金を払えば服を脱がされずに済むとか、金を渡さないと川が渡れないとかいうパリエーションがある。 死者に渡し賃としてお金を持たせる文化・風習はあちこちに在り、「地獄の沙汰も金次第」のような言葉もあるくらい、死後の世界と貨幣制度は…

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ロゼッタ・ストーン以外の「二か国語石碑」の一覧を作っておいた

古代エジプト語解読の端緒となったロゼッタ・ストーンは有名だが、その後いくつか発見されている同様の石碑の情報が日本語で出てこなかったので、自分用に作っておくことにした。 まず前提として、ロゼッタ・ストーンは、それが作られた時代においては特殊なものではない。 プトレマイオス朝には、同様のギリシャ語とエジプト語の碑文がたくさん作られて…

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サルが偶然作った「石器もどき」、初期人類の石器と区別がつかない可能性があると示唆される

これは面白いなと素直に思った。 タイ南部に住む猿、マカクが硬いヤシの実やナッツの殻を割るために石をハンマーとして使っており、その際に出来る痕跡や剥がれた石片は書紀の人類が作ったものと区別がつかない可能性が高いというのだ。 Wild macaques challenge the origin of intentional tool…

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未知の言語解読はなぜ難しいのか。「ヒエログリフを解け」

ロゼッタ・ストーンの発見からヒエログリフ解読に至るまでの経緯を丹念に書いた本である。 概要は他の本でも何冊か出ているし、主役がフランスのシャンポリオンで、同時に解読に挑戦していたイギリスのヤングも出てくる。著者はイギリス人なのでまぁヤングについてのちょっと盛った記述はフランス人に全部譲りたくない「お国柄」だと思って読めばいいと思う。 …

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「乗馬の最古事例」とされたヤムナヤ文化の骨、実態はちょっと微妙。

論文を読んだ時点では、うーんこれはまだ議論が必要だなーと思っていたものの、ナショジオがさも確定事項のように記事で取り上げてしまったので、面倒くさいけどちょっと突っ込んでおこうと思う。 最も古い乗馬の証拠が見つかる、ヤムナ文化の勢力拡大に貢献か https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/23/…

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ナイル上流、スーダンのオールド・ドンゴラから予想外のヒエログリフ入り石材見つかる。石材は一体どこから来たのか?

スーダンでなんだか面白そうな発見があったというニュースが流れていた。ポーランド隊がナイル川沿いのオールド・ドンゴラにある「中世の」城を発掘していたところ、予想外にヒエログリフの刻まれた石材が発掘されたのだという。呼ばれたエジプト学者はこれをアメン神殿の一部と鑑定。紀元前1000年頃=エジプトの末期王朝頃のものと推定されている。 た…

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