登山中の事故に見せかけて殺人はできるのか。登山部が教える「確実な殺し方」

いきなり物騒な話だが、まじめに聞いてほしい。 登山中の事故に見せかけて殺人、というのは現実的にはほぼ無理である。 最近読んだマンガで、「最近登山にハマったんだー」と言ってる女性の登る山を聞き出して、その山で殺人に及ぶ、というシチュエーションがあったのだが、いやいや無理っしょ。と思い切り突っ込んでしまった。 ・山道の…

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香料を炊いてみた理想と現実:結論「日本だと使いづれえ…」

ヨルダンでおみやげに買ってきた香料。古代エジプトでも清めに使われていたミルラである。(…とお店の人には言われたが、本物のミルラかどうか自分には判別がつかないので、実は別の香料が混じってる可能性もある。) 香炉と一緒に買ったのをちまちま炊いていたのだが、やってるうちに気づいてしまったことがある。 今回買ったやつは粉状なので…

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無知から根拠なき希望の時代へ「ヨーロッパとイスラーム世界」

本屋で適当に立ち読みしてて見つけた本。1980年とずいぶん古い時代に出されたようだが、今でも読み応えのある、厚みは薄いが内容の濃い本で、ヨーロッパから見たイスラーム世界、というか「接触の歴史」とでも言うべき内容になっていた。 ヨーロッパとイスラーム世界 (ちくま学芸文庫) - Southern,Richard William, サ…

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メキシコ展へ行ってきた。一級品ばかりで固めた「無難な一般向けイベント」という感じ

上野で開催中のメキシコ展へ行ってきた。コロナの間は時間予約制だったが、そういう縛りも今はなく、混雑している時は混雑してるなーって感じになっている。ただオンラインチケットが買いやすくなったのは良かったかな。 公式サイト https://mexico2023.exhibit.jp/ 今回はメキシコに栄えた古代文明全般。…

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ヴァイキングの料理はどんなだった? 料理研究家が再現する北の国の食卓とは

なんだか面白そうなことやってる人がいたので資料として。 ヴァイキングの料理を、実際に出土している台所用品や、魚の骨などの廃棄物などから推測した材料を使って再現した研究家の話。 前提として、ヴァイキングは基本的に「農民」。普段は農場主をしながら、たまに夏に遠征に出かけるという感じなので、基本は穀物を食べている。特に大麦は乾燥させて船に…

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トトメス3世「オロンテス川でゾウ狩ったで!」シリアにゾウはいるのか問題について

古代エジプトの王の一人、トトメス3世。エジプトのナポレオン、などという不名誉な名前で呼ばれることもあるが、とにかくそのくらい戦上手で若い頃は遠征しまくっていた王である。 その王が、シリアのオロンテス川のほとり、ニイ(ニヤ)という場所で「ゾウを120頭狩った」という記録がある。 頭数はいつものエジプト文脈で盛りに盛っていると思われ…

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シリア国立博物館とラメセス2世時代の収蔵品、行けない場所のこと

ふとしたことで、ヒッタイトとエジプトが結んだ和平条約の時代に関係する石碑がシリアにあることを知った。 この和平条約はラメセス2世の時代にエジプトとヒッタイトが現在のシリア付近で激突したのちに結ばれたもので、年表でざっくり書くと、こんな感じになる。 ヒッタイト・エジプト間友好条約の結ばれた時代の年表を書いてみた https://…

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古代エジプト人はスイカをどうやって食べていたか。古代キッチン用品から考えるスイカの割り方

夏だ! キャンプだ! スイカ割りだ!! というわけでスイカの割り方についての話をしたい。 古代エジプト人はスイカを食べていた。これは壁画に登場するスイカや、墓の中から見つかっている干からびた実物から確実である。 スイカの原産地は南アフリカのカラハリ沙漠で、アフリカ内部での人の移動によって、かなり早い段階からスイカの栽培は開始さ…

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ナイル上流、古代の制水設備について。(アマラ・ウェストの調査より)

わりと面白い着眼点だなーと思った論文見つけたのでメモがわりに。 アスワンからナイル上流、ヌビア地域の古代の制水設備(ダムではなくgroyne)についての調査。ナイル川沿いに古代の石積みが残っていて、ナイルの増水時期に流れてくるナイルシルトをとどめるなど、灌漑に使われていたファラオ時代の遺構のようだという話。 Three thou…

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アーサー王伝説の北欧版「フェロー諸島のバラッド」と何故か登場するフン族の王について

アーサー王伝説は、各国語で様々に語られたバリエーションがある。どれが原典に近いとかいうことはない。共通のキャラクターや大雑把な下敷きを共有した作品群だ。そのうちの一つが、「フェロー諸島のバラッド」。フェロー諸島は大西洋に浮かぶ島で、ノルウェーとアイスランドの中間にある。ただし所属はデンマーク。 この絶海の孤島に近いような場所にアーサー…

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エジプトの遺跡観光、キャッシュレス決済オンリーに変更。クレカ無しには行けない国に

やや話題に乗り遅れた感はあるが、エジプト政府の方針により、今年の五月からエジプトの遺跡観光がキャッシュレス決済オンリーに変更されるとのこと。 エジプトといえば財布を持たない文化の国のひとつで、くたくたになったボロ布のようなお札が入通しているのが持ち味だったのだが、それも減りつつあるということか。ちなみにアフリカ諸国、近年では「そもそも…

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古代エジプト・中王国時代のミニチュア来世、メケトラーの遺物一覧

メケトラーとは、古代エジプトの中王国時代、第11王朝~第12王朝にかけて王家に仕えた高官である。 分裂していた国土を再統一したとされるメンチュヘテプ2世から、第12王朝最初のアメンエムハト1世までの間に生きていたとされ、かなりの激動の時代だったと思われる。ちなみに第12王朝は王位簒奪王朝だったとされる。その時代に高官だったなら、彼も王…

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ヨーロッパの奴隷貿易はヨーロッパの奴隷貿易はどこまでアフリカ史に影響したか。全然関係ない地域もあるよ

大航海時代、ヨーロッパ列強がアフリカで非人道的なことをやらかしたのは、多少歴史をかじってる人なら、ある程度は知っていると思う。 具体的には、植民地支配、奴隷交易など。 これは現代に至るまで尾を引く問題で、ヨーロッパ=白人=発展している、アフリカ=黒人=発展途上 という対立の図式にもなっている。 しかし、ことはそう単純ではない。…

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古代のペスト菌はどこまで広がっていたか。青銅器時代にはブリテン島に到達していたことが明らかに

古代人の遺骨に残されたウィルスや菌のゲノムデータの解析、という研究は、最近ではもう珍しくなくなってきている。 中でもペストはわりとホットな分野で、このウィルスは実は大流行以前から長く存在していたことが明らかになっている。中世以降、大流行していたのは、遺伝子が変異して凶悪になったバージョンなのだ。 かつてのペストは、致死率がそんなに高…

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