ナミブ砂漠で有名な「フェアリー・サークル」、実は世界中に広く分布していることが判明。発生メカニズムがさらに謎に

ここまでの経緯は、過去記事を参照。 アフリカ南西部にあるナミブ沙漠に多数出現する、フェアリー・サークルと呼ばれる草の生えない丸い裸地が、どうやって出来るのかが分からんというので長年学者たちが研究しているのだ。有毒な物質を出すユーフォルビアという植物が原因、というかつての説は完全に否定。有力とされたシロアリ説も否定され、現在は、周囲…

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プルタルコス「テーバイの住人はクネプという神を信じている」→誰のことなのか探しに行ってきた

プルタルコスの「エジプト神イシスとオシリスの神話について」という本がある。有名な、イシスとオリシスの神話をまとめて記録した貴重な書物だ。 エジプト神イシスとオシリスの伝説について (岩波文庫) - プルタルコス, 柳沼 重剛 だが、プルたんはギリシャ人なのでエジプトからすると外国人、しかもエジプトがローマ属州となった1世紀の…

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オシリス・レックス、「王の帰還」なる。そして第二章へ

小惑星からのサンプル・リターンを目指して打ち上げられたNASAの探査機、「オシリス・レックス」がついに地球に戻ってきた。 中身はわからないが、試料の入ったカプセルは無事に回収されたとのことで、これからの分析が楽しみだ。 で、「何でオシリス?」とかいう人のために、これまでの経緯をかるくおさらいしておこう。 思い起こせば、あれは1…

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家に「経典」は何種類くらいある? 宗教的文書を掘り出してみた

キリスト教徒は意外と聖書読んでないし、イスラム教徒もコーラン読んでないけど、教徒でもないオタクは読んでいる。 というか自分も旧約聖書ひととおりは読んでいる。なんでかというと「出エジプト」の原典だからであり、他にもエジプト絡みの記述が多数あるからだ。エジプトマニアとしては読まざるを得ないのである。 でも実は、他にも宗教の経典いろい…

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ヒクソス王朝のスカラベは字がお下手。第二中間期の「ヒクソス・スカラベ」について

ヒクソス・スカラベとは、ヒクソス人王朝のあった第二中間期に大量に作られた「ヒエログリフがヘタ」なスカラベである。 というかその存在を自分はつい先日ようやく認識したところなのだが、ただ「ヘタ」なだけではなく、元の意味を理解せずに神の意匠を模様として使っているなど、独特な形状をしている。見るとすぐに分かるので事例を出してみる。 …

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「カナン人」とは何者か。出てくる文脈によって意味がだいぶ違う件について

最近、何冊か読んだ本の中で「カナン人」という言葉が出てきてたのだが、どうも本ごとに意味合いが違うっぽく、だんだん混乱してきたので少しまとめておきたい。 まず大前提として、カナン人、という言葉は、実は出てくる文脈によって少しずつ意味合いが違っている。 これは「カナン」という言葉が、地名/民族名/文化名それぞれに使われているから…

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古代エジプトのファラオたちは実際に戦場に出たのかどうか。もうひとつの可能性「魂だけ出陣してた」?

古代エジプトのファラオたちは、儀式用品や神殿の壁画などに華々しい戦場の手柄を刻みつけた。古くはナルメル王のパレットの裏側から、有名なものでは新王国時代のメディネト・ハブの大壁画まで。それ以外にも、記念ステラなどで戦功を誇っているものは多数ある。 だが、それらは実際に戦場に出て手柄を立てた(そして少々話を盛った)のか、実は戦場に出か…

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文学作品の中のファラオはいつから敬意を払われなくなったのかー「セトナ」シリーズに見るファラオの像

古代エジプト文学作品というと、「シヌヘの物語」が代表的だろう。その他には、あまり有名ではないが「ヨッパ奪取の物語」 、「カエムワセト神話群」と呼ばれる、ラメセス2世の息子カエムワセトを主人公にした魔法と不思議の物語がある。 これらに登場する。 時代一覧はむかし以下に作った。 これらは作品の舞台になった時代でリスト化しているので…

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古代メソポタミア人はなぜ、川の水位を測らなかったのか。→意味なかったからだと思う

古代エジプトには、ナイロメーターという階段状になったナイル川の水位を測る設備が作られていた。毎年起きるナイルの増水の際に、水量を測るためのものである。 水位の増加が適量なら豊作が見込めるが、多すぎれば村落が水没し、少なすぎれば収穫量が減ってしまう。ナイルの増水は、その年の麦の収穫量を占う重要な要素だった。そのため、ナイロメーターはナイ…

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ウルの都はなぜ沈んだか/古代メソポタミアの洪水伝説に海面上昇が関係していた可能性が提起される

メソポタミアの古代都市ウルの築かれた土地は、かつて洪水によって一度完全に水没したことが知られている。 これは「ウーリーの発掘穴」「洪水穴」などの日本語名で知られる、ウーリー卿の発掘調査によって、都市遺構の下に分厚い堆積層が見つかっていることが証拠になる。6mもの堆積層の上に、紀元前3000年~の都市遺構が載っているのだ。 …

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トルコ人が祖先とする「テュルク」とは何者だったのか。ルーツとかアイデンティティとかについて

以前、トルコの軍事博物館へ行った時、突厥も匈奴もまとめて「トルコ民族の偉大なる祖先」に入れられているのを目撃した。 その後、近年になってトルコはトゥルキエと名乗るようになった。テュルク人の国としてのルーツを全面に押し出すようになったわけである。が、実際には、今のトルコ人のルーツはテュルクではない。なぜならテュルク人という純粋な民族は過…

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メキシコで「人類ではない」ミイラが物議をかもすが…。話題になるだけの価値もないやつだった

さすがにこれは「ムー」でも取り上げないと思う、安っぽくて。 以前からUFOについてのオカルトめいた情報を発信しているジャーナリストが、地球外生命体のものだとしてミイラを提出し、メキシコ議会で取り上げられたというので話題になっていた。うん、メキシコ、大丈夫かな?? メキシコに宇宙人? かつて嘘がバレた研究家が死体を議会に提出 h…

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古代の海岸線はどこにあったのか、アレキサンドリアの「失われた港」の海底調査から

地中海に面したアレキサンドリアの町には、かつて海に向けた二つの港があった。大港と西港、またはグレート・イースタンとエウノトスと呼ばれる。地図で見ると以下のような感じだ。 これらの港の中間について、丹念に海底を調べてみたという論文があった。ここらへんはヘプタスディオン堤があったとされる場所。 内容的には「ふーん」という感じ…

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ファラオはなにゆえファラオたるか。「神王」の生まれた理由とは何か

…ということを、つらつらと考えていた。 ただの人間が、「神」とまで崇め奉られるわけである。ただ単に見た目が変わってたとか、頭が良かったとか、強かったとか、それだけでは成り立たない。そんなものは個人の業績であって、「王家」という血脈の生まれる理由にはならない。 ファラオは王家に生まれたからファラオなのである。古代エジプトの王家は、とに…

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