古代エジプトには雨は降らない。資料あるんだから見ようぜ!

おそらく昔の少女漫画シリーズからの伝統だと思うのだが、古代エジプト/エジプトが舞台の作品なのに何故か雨を降らせようとする作品がわりと多くて、中の人は悲しくなってきた。他の人の描写をなんも考えずにそのまま転用すると、二次創作にしかならないんだ…。 「エジプトは沙漠の国」。これはきっとみんな分かっているはずだ。沙漠には雨は降らない。 …

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ペルー北部・カハマルカ地方の遺跡で見つかった巨石建造物、紀元前2600年以前のものと判明する

「エジプトのピラミッドより古い!」といういつもの売り文句で記事が引っかかってきたんじゃよ…うんまあいいんだけど(笑) ペルー北部、カラクプーマ CALLACPUMAという渓谷で最近発見された巨石建造物の放射性炭素年代測定結果から、紀元前2632年から紀元前2884年という数値が出たらしい。中間の年代をとって「今から4750年くらい前」…

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自分と同じ名前の古代エジプト人・アキ氏の葬送ステラ

実は「アキ」って名前はわりと普遍的なので色んな文化圏で使えるんですよね、現代ドイツでもいるし。男性だけど。 古代エジプト人にもいるんですよ。やっぱり男性だけど。あと発音的に日本語の「ア」より「オ」に近い可能性はあるんだけど。 というわけで古代エジプト人、第13王朝前半に生きていたアキ氏のステラを紹介しておきたい。 ライムストー…

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偏頭痛に悩む人は古代エジプトにもいた。古代語「半頭」と治療の方法

春の気候は頭痛に繋がりやすい、とかなんとか。わりと周囲で頭痛に悩んでる人がいて、「そういや古代エジプトの医療パピルスで偏頭痛のやつあったな」と思い出したので、ちょっと掘り出してきた。 偏頭痛は、元は「片」頭痛で、ギリシャ語ではhemicrania。これが語源となってmigraineという現代の用語が生まれたらしいのだが、古代エジプ…

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ピラミッド頂上は見つかっているのにピラミッド本体が見つからない。第13王朝、メンネフェルウラー・アイ王

第13王朝は、およそ100年ちょっとの間に50人以上の王が立った混乱期だ。平均して一人だいたい2-3年の即位期間。実際には、ほとんど統治の実体のな王もいると言われ、王名表には存在するが実在したのかどうか遺物から判定できない人もいる。古代エジプト史の中でも、いちばん資料が混沌としている王朝かもしれない。 その第13王朝の中でも例外的…

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進化論とエジプトミイラの話「ミイラが現代のと一緒やから進化はしない!(ドヤア」

適当に読んでた記事にエジプトの話が出てたのでメモしておく。 進化論の考え方が登場した頃、「生物は神に造られたもので、変化しない」とする学派と、「生物は環境に合わせて進化する」と考えた学派がいたことはよく知られている。 フランス自然史博物館の博物学者ジョルジュ・キュヴィエとジャン・バティスト・ラマルクはそれぞれの派閥に属していて、…

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イスラームの到来なくしてサハラ交易は成立しなかった「黒アフリカ・イスラーム文明論」

「黒アフリカ」とは、サハラ以南のアフリカ世界になる。実際肌が黒く濃い人も多いのだが、サハラ以北と顔つきが全然違うとかそういうわけでもない。いきなりざっくり民族が別れるとかではなくて、南下していくにつれてだんだん色が濃くなっていくイメージだ。サハラ以北は地中海に近いので、地中海人種の顔をしており、エジプトやチュニジアのように過去に大量の移…

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古代人はどうやって髪の毛を「剃った」か。そこから見えてくる散髪事情について

「5000年前の日常」というメソポタミア本を読み返していて、ふと気がついた部分があった。 「青銅製の剃刀で安全に頭を剃るのは大変だぞ」という話である。 五〇〇〇年前の日常 シュメル人たちの物語 (新潮選書) - 小林 登志子 古代世界に、ハサミはない。「古代メソポタミアに存在した!」と書いてあるサイトも出てくるのだ…

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ブラジル・アマゾンの気候変動、「乾季は水がより少なく」、「雨季はより多く」という極端な状況に

昨年、ブラジル北部を流れるアマゾン川で大渇水となり、川底から遺跡が出てきたというニュースが流れていた。 アマゾンが干ばつで大ピンチ、だが川底から2,000年ぶりに遺跡が出てきたぞ https://55096962.seesaa.net/article/501227027.html このニュースの際に「気候変動による問題」と…

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「壺を買え。」と人に迫られたので仕方なく買ってしまった話

「壷を買いませんか。」そんなことを言われたら、怪しい宗教の勧誘だと思うだろう。だが古代エジプト宗教なら買うしか無い… エジプトの壺 まんますぎるお名前にちょっと笑ってしまう。ガチャポンで買うカプセルトイである。 近所のガチャポンコーナーで見つけてしまったので、思わず回した…。 https://tarlin-cap…

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メソポタミアの黒曜石はエジプトで使われたものと産地が違う:その理由は「川の繋がり方」

少し前に、「エジプトでは黒曜石が取れないので全て輸入品」という記事を書いた。 古代エジプト人と黒曜石の利用;輸入ルートの実態など https://55096962.seesaa.net/article/502192420.html 事情はメソポタミアでも同じ。だが、メソポタミアの黒曜石は産地の多くがアナトリアになっていた。…

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古代エジプトネタでミステリジャンルっぽいものを書いておいたぞ。

古代エジプトを舞台にして「ファラオ」「ピラミッド」「ミイラ」とかのわかりやすいアイコン出してくるのは、日本がテーマだからって「ニンジャ」「フジヤマ」「ゲイシャ」とかセットで出してくるとおんなじくらい安っぽくてn番煎じなんだと、いい加減みんな気づいてほしい。 という文句を人に言っても自分の読みたいものは出てこないので自分で書きました…

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バレタインデーだよ! というわけで、バレンタインの起源とかの本を読んでみた

図書館行ったらフト目に入ったので、おっ季節ものだし読んでおくか~みたいな感じで軽率に手に取った。いつもどおりのアレである。 パレンタインデーは聖人ウァレンティヌス(バレンタイン)とは元はあんま関係ない祭りだった、というのは薄っすらと知っていたが、まさかの一ミリも関係ないところからスタートであった。たまたま2/14に殉教してたので、その…

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古代エジプトの学生さんが使った教科書「ケミィト」についてちょっと調べておいた。

「ケミィト(Kemit)」は、書記学校の学生さんが使っていた教科書の名前である。日本語資料だとあんまり出てこないので、ちょっとまとめておくことにした。 教科書から書き写して丸暗記するためのものなので、学校で見習い書記が書いたものが山ほど残っている。たとえばこんなかんじ。「あんまり上手くない」と評価されているが、うん、まあ、見習いだから…

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炭化した巻物の解読PJリザルト。巻物全体の5%が解読される

ペスピオ火山の麓に埋もれた街。ヘルクラネウムから見つかった黒焦げパピルスをAIで解読しようとする試みの結果が、一年を経て発表された。結果は上々。ていうか、この黒焦げの巻物からちゃんと文章拾えてるのはマジですごいな。 去年の記事 炭化した巻物に書かれた文字の痕跡をAIで解読する試みが進展中。これはなかなかの技術 https:…

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