古代エジプト人の「隕鉄」に関する最古の記録は第5王朝。空から来るものとおそらく正確に認識されていた

鉄器時代の開始は紀元前1,000年前後(製鉄自体は紀元前1,300年頃にはアナトリアでやっていた)とされるが、鉄の利用の歴史は古い。製鉄しなくても、隕鉄が使えたからだ。 というわけで以前調べた隕鉄の資料を、おさらいとして老いておく。 世界最古級の鉄利用:古代エジプト5千年前の鉄製ビーズを調べてみた。 https://550…

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ナイルの増水は水位が8m変わる。つまり住居は8m以上→古代エジプトの古い農村は横浜。

横浜から東京方面の海岸線を眺めていて、ふと、「0水位が.5m上がったらダメみたいなとこ、よく住むよな…水没するよな…」って思ってた。 古代エジプトではナイル川の増水があったが、毎年、最低水位と最大水位はカイロ付近で8m違っていたとされる。そう8m。ナイルの増水を測るナイロメーターがやたら深い穴みたいになってたり、やたら長い階段になって…

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ローマはやっぱり滅ぼしたい。

ローマが最も美しいのは、炎に包まれている時である(自分・談) というわけで、中の人的にローマはどう滅ぼすかを考えるのが楽しい仮想敵国なので、滅ぼしたい目線で読んでいた。イタリア半島に位位置する都市国家に過ぎなかったローマが、いかにして地中海世界に広大な領域を持つ「帝国」になったのか、という歴史の、序盤部分のお話である。 ロー…

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巫女✕役人の古王国時代の墓が発見される。だがそこにロバ脱穀が…ロバ?!

エジプトで古王国時代の墓が見つかったらしいので画像を探しに行ってきた。壁画はなかなかいい残り具合である。場所はカイロから南へ33キロのあたり。 この墓の主は王室の役人と巫女の夫婦で、名前は Seneb-Neb-Af と Idet 。奥さんはハトホル女神の巫女らしいが、旦那さんの職業の詳細は不明。肩書をどう解釈すべきかが不明らしい。古王…

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イランの遺跡のカタツムリ食をちょっと調べてみた

イラク・クルディスタンの発掘「肥沃な三日月地帯東部の新石器化. ─イラク・クルディスタン、スレマニ地域チャルモ遺跡の調査」の今年の報告で、貝塚ならぬカタツムリ塚が出てきているという話を聞いたので、どういう状況でカタツムリ食べてんの? というのをちょっと調べてみた。 まず前提として、カタツムリはフランス料理で有名なエスカルゴだけでな…

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ホモ・ボドエンシスの分類に関するその後▶改定案がよく分からん、と却下されたっぽい

久しぶりにホモ・ハイデルベルゲンシス(Homo heidelbergensis)の名前を聞いたついでに、数年前の論争のその後について確認してみた。 ホモ・ハイデルベルゲンシスというのは現生人類とネアンデルタールとデニソワ人の共通祖先とされる分岐点の種族。 で、このヒト族について、「今までホモ・ハイデルベルゲンシスとして分類してた…

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第31回西アジア発掘調査報告会 参加メモ①

今年も、そっと紛れ込んできた。アジェンダとか報告内容は以下参照。 オンライン参加とはいえ2日間フル参加する余裕はなかったので、興味のある古い時代の遺跡メインで聞いてきた。 http://jswaa.org/240323-2/ ******************* ① 南コーカサス地方のネアンデルタール人 ─アゼルバイジャン…

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イースター島住民は南米と物資の交換をしてたかもしれない、という研究

なんか面白そうな論文がでてたのでちょっとメモ代わりに。太平洋のど真ん中、イースター島(現地語でラパ・ヌイ)の住民は、A.D.1000年~1,300年頃には南米とやりとりしていたかもしれない。という話があった。 定期的な交易があったのか、数回やり取りした程度なのかは不明だが、一時的にせよ、南米産の作物が栽培されていた痕跡があるのだと…

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古代エジプトの戦争のやり方 「火を放つ」はやらない? or やってたけど残ってないだけ?

今年も繁忙期終盤です。ぶっ倒れた奴がいるので中の人もクソ忙しくなってまいりました。 皆さぁ、体鍛えといてくれよな…。最後は全て体力だよ、体力でねじ伏せていくんだよ。 というわけで本題です。 町や村に火を放たれて焼け落ちた跡があれば、その時代に大規模な戦争が会った可能性が考えられる。具体的には土が焼けているので焼土層と呼ばれるこ…

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古代エジプトの「昼」と「夜」の長さは季節ごとに変わる。「1時間後」はだいぶ違うが「昼●時」は意外と固定

古代エジプトでは、「1時間」の長さが夏と冬で異なる。 日の出ている時間を12等分して「昼の12時間」、日の沈んでいる時間を12等分して「夜の12時間」。 時間を計測するために水時計を使っていたのだが、ご丁寧にも12ヶ月ぶん、12通りのメモリが刻まれているんである。 ※いちばん有名なカルナック神殿出土の水時計 …

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ピラミッドの基本的な構造と「玄室は地下または地表に近い所にある」という基本ルール

ピラミッドについては、日本語で読める概要本はたくさんあるので適当に探してほしいのだが、皆が創造する四角錐のピラミッド、内部構造はかなりシンプルである。 部屋がたくさんあったり、罠が仕掛けてあったりするのはファンタジーかゲームの世界だけなのだ。扉も一介閉ざしたらもう開けない。というか開けたら意味がないので。 という話をしておきたい…

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相変わらず需要がマニアック。「古代エジプト遺跡探訪 カルナク神殿/ルクソール神殿」

新刊出てたので買ってきた。古代エジプト本ばかりだしている出版社で、毎回「どこ需要だよォこれ!」みたいなマニアックな内容なのだが、今回もなかなかに濃いやつだった。 カルナック・ルクソール神殿パーツ図解である。 古代エジプト遺跡探訪 カルナク神殿 ルクソール神殿 - 松本弥 現代エジプトのルクソールにあるこの大神殿、エジプトに…

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古代エジプトの世俗法廷「ケンベト」と古代エジプトの法制度についての覚書き

ケンベト(kenbet)とは古代エジプトで新王国時代に採用されていた民間法廷のこと。日本で言うと「自治体が独自で持つ司法組織」とか「軽犯罪は各村で独自にお裁きをしている」みたいな感じの制度。現代の地方裁判所よりももうちょいランクは低そうな雰囲気である。 重要な犯罪は、下エジプトならメンフィス、上エジプトならテーベにある大法廷(高等…

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ミノア文明に輸入されたエジプト神タウェレトの転身「Minoan Genius」

ミノア文明に持ち込まれたエジプトの女神タウェレトが、とんでもない姿にされていた…という話をだいぶ前に書いた。 その時は気づいていなかったのだが、実はこの神、ミノア文明でかなり長い期間、盛んに信仰され、独自の形態/信仰を獲得していたらしいことが判明した。 ミノア文明に伝播したトゥエリス(タウェレト)女神、とんでもない姿にされる。 …

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