古代エジプトといえば「ネコ」だけど、"飼い猫"が登場するのは古王国時代末ごろから! 一般化するまでには時間がかかる…

かなり古い本で入週困難になっていた、「古代エジプト動物誌」が復刊されて新装丁で出てきたらしい。これはいい本なのでぜひみんな読んでねという感じなのだが、このジャンル、本職のエジプト学者ではなくエジプト・マニアであった翻訳家の何十年の前の本がいまだに現役なのは新陳代謝が出来ていないのでは。とも思う。 さいきんの発見で書き換わってる部分…

続きを読むread more

セティ一世の出した「ナウリの勅令」、神殿所領の免税の話かと思ったらそうでもないらしい

「ナウリ勅令」とは、第19王朝のファラオ、セティ1世が発令した王様からの命令文で、ヌビアのナウリという場所の崖に書かれているものが残っているのでこの名前になっている。勅令の指示先はヌビアの砦を守る守備隊長やヌビアの知事、役人など。別名は「ナウリ法令」。 Nauri Decree あたりで検索すると資料は出てくる。 ナイル上流の第三瀑…

続きを読むread more

古代エジプトに「ナツメヤシ」はあるけど「アブラヤシ」はない。エジプトで使われた油の種類についての注意点

古代エジプトで使われていた植物油の中にヤシ油がないなあ、と思って調べてみたら、「そもそもパームオイルの原料となるアブラヤシはエジプトには生えない。生えているのはナツメヤシなのでナツメヤシ油(Date Palms Oil)ならある」という記述に突き当たり、「???!!」となってしまった。 まさかの。ヤシの種類違い。 これは盲点… …

続きを読むread more

GWが暇な人むけ。最近書いたもの詰め合わせ

GW暇してます? あ、うちの書いたもの読んで行きます…? (なんか去年かそこらにも同じことを書いた気がするが。) というわけで、某所に置いてるエジプト小説とか色々、再掲しときますね。 最近は生成AIで「なんかそれっぽいエジプト風の絵」とか作ってもらって表紙絵にしてるよ。ウフフ。 ******* ●エジプトのやつ…

続きを読むread more

古代エジプト人が使った「植物油」についての覚書き

書かないと忘れそうなので、調べた分は自分用にまとめておく。 以下、古代エジプト人が使っていたと思われる植物油の種類について。 **** ●ヒマ ヒマシ油の元になる植物。11月~12月ごろに植えて翌年(古代エジプトの暦ではその年収穫期)に収穫。 葉や種子にリシンという猛毒の物質が含まれるため、誤飲すると中毒をおこすことが…

続きを読むread more

日干しレンガのピラミッド、労力はいかほどだったのか。センウセルト三世のピラミッドから

へにょへにょになりながら帰ってきて、玄関でけつまづいて卵を2個割った私ですこんばんは。 そんな悲しいことがあっても、元気に生きていきたいとおもいます。(キリッ) *閑話休題* 古代エジプトの日干しレンガの作り方についての論文を読んでいたら、レンガ建造物としてピラミッドの事例が出てきて、使われたレンガの数についての記載があった。…

続きを読むread more

今さらのように「B.C.1177」を読んでみた。内容は無難だがタイトルで無理したなという感じ

少し前(?)に話題になった、B.C.1177を見つけたので、おっそういや読んでなかったなぁーという感じで手にとってみた。 実は訳本が出る前に論文のほうでこれに関わる議論は見てたので、今更感は無くもない。 B.C.1177 (単行本) - エリック・H・クライン, 安原 和見 なお、中の人は、「紀元前1,200年のカタストロ…

続きを読むread more

古代エジプト、ナイル下流はある時点まで人口が少なかった? 洪水デバフの威力とは

まず、前提となる基礎知識について。 古代エジプトは、ナイル川の上流と下流をそれぞれ「上の国」「下の国」と呼んで行政区分されていた。それぞれ州わけされていて、「上の国」は22州。「下の国」は20州。宰相は「上の国」と「下の国」で一人ずつ。税収は各州で取りまとめたものを宰相がそれぞれ集めてお国に申告。これが中王国時代に完成されたツリー型の…

続きを読むread more

古代エジプトの「かつら」の作り方と、屋外では使えなかったのでは疑惑について

古代エジプト人の工房でどんなものが、どうやって作られていたかを具体的に知りたいなぁということで、こないだから、思いついたものをちょろちょろと調べている。今回は「かつら」である。そう、古代エジプト人の貴族や王族が使っていたとされるアレ。 まず前提。 ・「かつら」は高位の人間なら必ず使っていたものではない。地毛でイケる人は地毛。…

続きを読むread more

ツタンカーメンの副葬品、「チーター皮の盾」の現在

以前、古代エジプト人はヒョウ皮とチーター皮をあんま区別せず使っていたっぽい、という話を書いた。 高位神官の服装で、ヒョウ皮とされるものが実は絵を見るとチーターと混じってることがあるのだ。 古代エジプト高級神官の服・その毛皮はヒョウかチーターか。 https://55096962.seesaa.net/article/20190…

続きを読むread more

トト神の聖地・ヘルモポリス(上エジプト第15王朝)の墓地、デイル・エル=ベルシャについて

ヘルモポリスのトト神神官団って、教義とか記録とかが無いから何してたか全然わからない。もともとアメン神はここの神だったのでアメン神官団と対立していたアクエンアテンは嫌っても良さそうなものなのに、実際には、アテン神の都アマルナが作られたのはここのすぐそば。ヘルモポリス側は、別の神の聖地を近くに作られても別になんも抗議した形跡がなくて、何なら…

続きを読むread more

古代エジプトの皮なめし資料。最近の説だとタンニン鞣しは「昔からあったかも」になっているらしい

前回までのあらすじはこれ 皮なめしの資料が出てこなくてウダウダやってたわけですが、そういや日本の発掘隊がやってたアコリスの遺跡で皮なめし遺跡みたいなのなかったっけ…? と思ってちょっと調べてみたら、めっちゃ資料あった まさかの。英語資料より日本語資料が充実してるパターン。 ありがとう…日本語資料ありがとう…。 htt…

続きを読むread more

ローマ初期におけるイシス女神信仰:物語無くして信仰は広まらない

以前ポンペイ展に行ったとき、イシス神官の絵やエジプト意匠を多く見かけた。エジプトがローマに支配されて以降の1世紀頃、ポンペイとその周辺のイタリア半島には、多くのイシス・カルトやエジプト文化が入り込んでいたのだ。 ポンペイからはイシス神殿のあとが見つかっているし、近くのヘラクレネウムの街からはイシス信徒のフレスコ画が出ているので、そ…

続きを読むread more

近年のトルコは降水量減、赤い河と干ばつについて

近年のトルコは雨量減がデフォルトになりつつある、と聞いて、ちょっと調べてみた。 まず基本知識なのだが、トルコは広い国で、今回調べているのはヒッタイトの栄えた中央アナトリア付近である。イスタンブールはトルコの中でも西の端でいちばんヨーロッパに近いところであり、地中海に面しているので気候が違う。気候区分は以下のサイトなどを参照。 h…

続きを読むread more

古代エジプトの亜麻布(リネン)の作り方を調べたら、ものすごい重労働で泣いた

少し前に、古代エジプトではロバで麦の脱穀をしていたという話を調べた。ロバ以外に牛も使っていたらしいのだが、それ亜麻にも使わなかったんだろうかと気になったので調べてみた。 結論、パドルみたいな亜麻叩きの道具を使って人力で繊維を取り出していたと分かったのだが、そこまでたどり着く過程がめちゃくちゃ大変なやつだった…。 Spinni…

続きを読むread more