ピラミッド地下迷宮はお好きですか? センウセルト3世のピラミッド

古代エジプトでピラミッドといえば、みんな古王国時代の石造りのピラミッドを連想すると思う。でも、日干しレンガで作られた低コストな中王国時代のピラミッドのほうが、ネタ的にはかなりおいしいのです。 おいしいポイント ・数が多い ・建てられたロケーションや構造で、ある程度、施工主の意図が読める ・盗掘を防ぐため様々な仕掛けをして…

続きを読むread more

ラメセス2世展ワールドツアー、来日決定。王のライブがはっじまるよー!(※ミイラは来ません)

ミイラは来ないけど3Dファラオと王妃ネフェルタリが来るらしい。FGOコラボ待ったなし…? でも史実のネフェルタリは王より年上だぞさてどうする。 どうでもいい心配は置いといて、ファラオ特化のエジプト展楽しみだNE!★ 公式サイト https://ramsesexhibition.jp/ さて、このイベントの情報探し…

続きを読むread more

古代エジプトの東の国境線「支配者の壁」の位置の覚書き

昔のエジプト本だと、「エジプトは海や砂漠という天然の国境に守られているため城壁はほとんど必要なく…」ととか書かれていることがあるが、全然そんなことはない。めっちゃ壁ある。というか勢いのある時代のファラオが財力に任せておもくそ長城作っとる。世の中、どこのと支配者も考えることはだいたい同じである。 というわけで、「支配者の壁」(古代エ…

続きを読むread more

古代エジプトの歴史「中間期」についてー基準・開始時期・終了条件

少し前にボロクソに突っ込んだ本で、「第一中間期の始まりを明らかにすることに意味がない」という、自分視点からすると「あなたもう、歴史の本書くの止めたほうがいいよ…」って言いたくなるくらいのフレーズがあってゲンナリしたので、「そもそも中間期って何だよ」という話を書いておきたいと思う。 自分自身もこの話題を語れるほど知識があるわけではな…

続きを読むread more

鉄道工事中にユカタン半島でマヤの養蜂場の跡を発見。ミツバチの種類が全然違うぞ

適当にザッピングしてて見つけたやつ。 メキシコ・キンタナロー州の鉄道工事中に見つかった遺跡が、マヤの後期古典期の養蜂場と判明したそうだ。 このあたりの地域は西暦950年頃から1550年くらいまでハチミツの一大生産地だったそうで、jobón lids(または地元の言葉で「panuchos」)という石灰岩で作った丸っこい道具をハチの巣と…

続きを読むread more

タイトルに偽りあり、どうしてこんな構成にした…「世界のピラミッド」

タイトルと表紙が良かったのでなんとなく手に取ったのだが、中身を見てビックリしてしまった。 半分エジプト。1/4がマヤ。残りはほぼピラミッドじゃない。 いや、さすがにこの内容で「世界のピラミッド」ってタイトルは無いわーwww 無いわー…。 先行で出ている「世界のピラミッド大事典」あたりの真似したかったけど、予想より執筆者が集まら…

続きを読むread more

ローマ支配時代エジプトのファイユームの集落「カラニス」の放棄年代に関する新説

カラニスとは、ギリシャ人が入植したエジプトの中部、ファイユーム地方の都市。大きな湖(今はかなり縮小している)のほとりに作られていた集落である。 場所はココ。 ファイユーム地方はギリシャ人がたくさん入植していて、その中でも異国ルーツの人たちが多かった街だが、今では砂に埋れた遺跡と化している。 で、5世紀くらいに放棄されたというのが今…

続きを読むread more

ピラミッド近くにナイルの支流の痕跡を発見、気候変動とピラミッド建設場所の関係が面白い

リシュトからギザに至る、ピラミッドがたくさん建てられている地域に、今は消えてしまったナイルの支流が流れていた、という研究が出ていた。 ナイルに「今は消えてしまった」支流が沢山あったことは知られているし、ナイル川の位置が時代ごとに変化していたことは知られている。というか、大河が何千年も変化せずに流れることはあり得ない。これは日本の身近な…

続きを読むread more

王を讃えよ! 交響組曲「ラメセスⅡ世」(日本産)

高校生の吹奏楽部をテーマにした人気アニメ「響け!ユーフォニアム」が放映中ですが、高校生の吹奏楽コンクールでラメセス2世をたたえる曲が使われてたこともあるらしいんですよね。というわけで調べてきましたこちら。 交響組曲「ラメセスⅡ世」 Symphonic Suite -Ramesses Ⅱ- https://www.mod.go.j…

続きを読むread more

何の救いもないバッドエンドがお好みの人向け「パレスチナの民族浄化」

タイトルのとおりの内容の本で、「イエラエル建国の際に先住民をいかにして追い払ったか、虐殺したか」という内容の本である。実はこれを書いてる時点では半分しか読めていない。重たいというよりは、かなりメンタルにくる内容なので、一気読みは難しい。 そして、この本が書かれたのは2006年であり、今は2024年。つまり、我々はこの本の書かれた時代の…

続きを読むread more

古代エジプトの「書記」にはレベル差がある。識字率は低いと言われるが別に全部読めなくてもいい

突然だが、古代世界の識字率の低さについて、実際は一般的な認識と違ってただろう部分について語りたい。 古代エジプトの場合、全く文字がわからない人は、実はそれほど多くないと思われる。なんでかというと、たぶん数字くらいは分かってたからだ。 採石場に「今日はここまでやった」みたいメモ書きを残していた作業者たちがいる。工房から、つたない文…

続きを読むread more

古代人を見下した歴史家の書く本はキツい。「神々のささやく世界 オリエントの文明」

なんか本屋に目立つPOPと一緒に置かれていた本。「地中海世界の歴史」というシリーズの最初の巻になるらしい。 鳴り物入りで売られてる歴史書は9割9分ハズレだという確信とともに、最初からあまり期待はせずに手に取った。結論から言うと「うん、やっぱね」という感じ。 私は一巻で脱落するが、今後シリーズものとして八巻まで出るらしいので、それ…

続きを読むread more

ギザ台地のピラミッドの側で謎の遺構を発見!→遺構そのものより土地利用の経歴が重要では

クフ王の大ピラミッド近くの「空白地帯」地下に遺構を新発見したぜ! というニュースが流れていたが、この手の話は元論文を辿ったほうが情報量的に多いので元のやつ読みにいってきた。 クフ王の大ピラミッド近くの「空白地帯」地下に遺構を新発見。日本・エジプト共同チームが発表 https://artnewsjapan.com/article/…

続きを読むread more

ピラミッド労働者はニンニクを食べていた!エネルギーの源! →エジプトにニンニク入ったのはもっと後の時代

お仕事忙しいと現実逃避でエジプトがはかどる!いやあ楽しいなァ!(早く寝ろ) なぜか「古代エジプトの労働者はニンニクを食べて活力を付けていた!」というような宣伝文句があちこちで見かけられますが、実際にはピラミッド作ってた時代にニンニクがエジプトで栽培されてた証拠が無い。 今日はそんな話をしたいと思います。 原産地は中央アジア…

続きを読むread more

アクエンアテンがアケト・アテンの都に引きこもるまで。思想はいかに先鋭化されるのか

異端王として有名な古代エジプトのファラオ、アクエンアテンには年の離れた兄がいた。 この兄は猫だいすきなプタハ神官だったことは以前書いた。この兄が早世せずに王位を継いでたら、王朝の歴史は変わっていたかもしれない。 さて、兄の死後のアクエンアテンだが、皇太子になったあといきなりアテン信仰には目覚めていない。当初は従来の信仰。しばらく…

続きを読むread more