人類のオーストラリア遠征6万年前説はおそらく間違い。だが行程の一部は明らかに。

人類がはじめてオーストラリアに渡ったのはいつなのか。 かつては4万年前くらいではとされていたのが、現在では遺跡の調査や先住民のDNAの分析から、5万年までは確実に遡るとされている。この時代、オーストラリアに最も近い陸地はスンダランドと呼ばれるタイからインドネシア付近の島が合体した陸地で、その先は幾つかの島々を挟んでオーストラリアと…

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トリノ聖骸布を巡る奇妙な物語と真贋論争について:「本物で無いことは確定している」

トリノ聖骸布についての研究は定期的に発表される。古代エジプトにおけるツタンカーメンと同じく、研究すればどんな結果が出ようと話題になり、研究者の名前が売れるからだ。しかし、それは真贋論争の本質の部分とは何の関係もない。 イエス・キリストの遺体を包んだとされる布、現在はトリノにある「聖なる包み布」は、イエスの死体を包んだ布であるはずも…

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古代エジプト人とおパンツの話・皮ふんどし

過去に何度か、古代エジプト人のパンツに関する情報を出してきた。なぜパンツ? 大事なところだからだ。そうパンツは大事。ファラオの腰布の中がブラブラしてるのか何か履いてるのかでは全然違う。 結論から言うとリネン(亜麻)製の三角ふんどしが一般的で、王も貴族も庶民も身につけていたらしいことが分かっている。 古代エジプト人はパンツを履くか…

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面白い本だが細部は眉に唾をつけながら「インカ帝国 歴史と構造」

新刊出てたのでとりあえず読んでみた。インカ帝国についての本。 わりと既存説に挑戦している内容の多い上に、かつて生きていたインカの人々に近い視点を探ろうとしている、考え方の面白い本だった。まあ読んで面白いのはいいんだけど、「これあってる? ほんとに?? 聞いたことないんだけど」みたいなのも多いので、自分としてきは、眉に唾をつけながら読ん…

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クローヴィス石器の溝は「パイク」にするためだった? 新たな仮説が出る 

「パイク」というのは、柄の長い槍のこと。要するに、石器を長い槍の先端につけて使っていたかもしれない、という話である。 まず前提として、クローヴィス石器とは、新大陸に渡った人類が培った最初期の文化の一つ。 (複数あったかもしれないため現在の表現ではこうなる。また、かつては最古とされていたが、新大陸に到達した時期が遡りつつあるため最古か…

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マチュピチュの「ピチュ」は「峰」の意味ではない? そもそも元のケチュア語の翻訳に諸説ある件について

マチュピチュといえば遺跡マニアの憧れ、しかし近年はオーバーツーリズムの影響で入場制限がかかったり入場料が釣り上がったりといろいろあるペルーの高地にあるインカ時代の都市の一つ。 一般的に、マチュ・ピチュという名前は「古い峰」という意味だと説明される。これは遺跡の隣にある山の名前でもある。 対して、向かい側にあるもう一つの山はワイナ…

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ヒッタイトの粘土板、「太陽神の消失」

ルーブル美術館に収蔵されているヒッタイトの粘土板の中に、神話の書かれているものがある。その内容が結構面白そうなのでメモしておこうと思う。 内容は「太陽神が霜の神(悪霊?)に捕らえられた、嵐の神は救出しようとするが上手く行かない」というもの。おそらく冷害などの天変地位を神話として理由付けようとしたものなのだと思う。 ただ、中の人がフラ…

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ヒッタイトの神像について~メソポタミアのは残って無いけどヒッタイトは残ってるなという話

古代エジプトの神々の姿は、壁画も神像も残っているので誰もがイメージしやすいと思う。 だが、メソポタミアの神像については、ほぼ残っていない。御本尊にあたる神像はもちろん、個人が身につけたアクセサリのようなものまで含めても限られた数しかなくて、印章に刻まれた姿など、限られた手がかりしかないのが現状だ。 その理由については、だいぶ前に…

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カマキリの雪予報が科学的ではない理由とカマキリの生態「カマキリに学ぶ」

前回、「カマキリは積雪量を予測して卵を生んでいない」=カマキリが雪予報をするという説は誤り、という話について書いた。 きちんと論文を出して一度は学会でも認められたものの、その後、追試などによって否定されたということだ。これは科学的な手法としては正しく、正規の手続きが踏まれている。 カマキリは積雪量を予測して卵を生んでいない。最新…

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北アフリカ(マグリブ)の先住民について「ベルベル人ー歴史・思想・文明」

まず前提となる「マグリブ」という土地について。この↓範囲である。 北アフリカといってもエジプトのあたりは入らず、サハラより北側の海沿いの地域。ここは、北と西を海に、南と東を広大な砂漠に隔てられた環境である。おそらくサハラが乾燥化した時代に、降水量が比較的多めの海沿いに移動してきて集団を形成したのだとされる。エジプトは入らない。 …エ…

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文明は必ずしも大河を必要としない。というかエジプト・メソポタミアと他は条件違うよね? っていう話

まず最初に、「四大文明」というのは日本独特の概念で他ではあまり使われていないこと、そもそも「四」大という概念自体が偏っており、実際には一次文明と呼ばれるものだけでももっと数はある。という話のおさらいをしておきたい。 「四大大河文明」はもう古い、いい加減使うのやめようぜ。っていう話 https://55096962.seesaa.…

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「神聖なるかたち」、古代エジプト人の描いた「スカラベ」の特徴とは

こないだ行ってきた昆虫展に、エジプトのフンコロガシの標本があった。(正しい日本語名としては「タマオシコガネ」と上品になっている。玉=球状のウ●コ) おおーこれこれ、これだよ古代エジプト人が神聖視していたスカラベのフォームだ! と大喜びしながら写真撮っていたのだが、この実物にこそ、古代エジプトもののイラストやマンガでスカラベを描く上で重…

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「メジェド」という名前の古代エジプト神は本当は存在しない/名前が日本限定で定着した経緯とか

ここ最近、当たり前のように古代エジプトネタの創作物に顔を出すようになった「メジェド」という神がいる。 だが、この神が一躍有名になったのは2014年のことで、しかも日本ローカルの話である。 うん、めっちゃ最近なんだ。 でも10年前だから、当時のことを知らない人は経緯とか初耳かもしれないよね。だから書いておくよ。 ●有名…

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カマキリは積雪量を予測して卵を生んでいない。最新の研究結果は果たして定着するのか

少し前、「セミの成虫の寿命は一週間ではなく一ヶ月が正しい。一週間というのは俗説」という研究が出た。 https://www.asahi.com/articles/ASQ8C67CFQ85UTFL00R.html 実際に捕まえた個体に記しをつけて確認した結果なので妥当性は高く、専門誌に論文も載った。だが、その時は話題になったものの…

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