沈むナイルの遺産 メロウェダム Merowe dam(Hamdab dam/Kijbar dam)

スーダンはエジプトの南に隣接する国。ヌビアといえば、エジプトとスーダンにまたがる境界線あたりの地域のこと。

近年、中国の企業が、資源を持つ発展途上国(主にアフリカ)に多額の出資を行っていることは、あちこちで言及されていますが、スーダンもその1つ。

北京オリンピックボイコット運動で名前の掲げられる「ダルフール」というのはスーダンの西地域のことです。アフリカの紛争地帯に中国経由で武器が流入していて、その見返りに資源を受け取っている、これは人道的にどーなんだ? そんな資源でオリンピック開催されても気分よくないんだけど。って話ですね。

でもダルフールの話は散々言われているので他所様にお任せするとして、うち的なポイントは、このダムが出来る場所が、貴重な遺跡のたくさんある場所だってこと。

自国の伝統や歴史を持ちながら、それらを詳しく知ることもなく湖の底に沈めてしまうというのは、どんな気持ちなのだろうか。
短い間とはいえ、世界で最も強大な王の一人として君臨していたという事実は、長い目で見れば何者にも変えがたい誇りになると思うのだが、それが失われようとしている。メシの種にならないものなんて破壊してても、今すぐ西欧風の豊かさ、電気と技術が欲しいというのは、分からなくも無い…が、何か切ない。

ダムの完成予定は2008年、つまり今年である。
にもかかわらずあんまり情報が出てこないので、ちょっと心配になってきた…。


(懸念事項・1)このダムの建設によって失われる可能性のある遺跡について。

場所的にナパタの上流辺りが水没。スーダンの不安定な情勢などから、遺跡を救うことも調査も間に合っておらず、永久に失われる可能性が。

アスワン・ハイ・ダムが出来たときも、すべての遺跡を救うことは出来ず、多くの神殿が今も水中に没したままになっているが、今回は遺跡があるのかどうかすら調査できていない地域もあるという。2008年内に稼動開始予定ということで、もう調査する時間はほとんど残されていない。
アスワン・ハイ・ダムの場合と違って、「工事があまりにも性急過ぎた」という印象がある。

探してみたら2006年のインタービュー記事で「私たちも政府の冗談だと思っていた。数年前、中国がやってきてハルツームの政府が許可を与えるまでは」という記述があったんですが、着工が2003年ってことになってますね。

で、今年、2008年が完成予定。工事期間、たった5年…?


(懸念事項・2)ダム自体の強度について。

ドイツの技術者も参加しているというので、少しは安心できるのか… とは思うが、「中国の企業が落札しました」と聞くと、つい、中国の「完成直前に木っ端微塵になった橋」なんかを思い出してしまう…。

もし仮に、強度不足で地震一発で完全破壊♪ なんてことになったら、ダムの下流の集落は壊滅だろう。ちなみにエジプトのアスワン・ハイ・ダムは、万が一決壊して溜め込まれた水が一気に放出されようもんなら下流の町が悉く押し流されるとまで言われている。そのために厳しい管理がされており、常に軍隊が配備されているのだ。
スーダンは大丈夫なのだろうか。ダム建設に反対する住人と軍隊がいまだにぶつかってるような状態で、ダムを守りきれるのか。

メロウェダム決壊>下流のアスワン・ハイ・ダムも連鎖で決壊>古代の栄光よサヨウナラ とかになったら俺は泣くぞ。

ナイルは世界的に見ても勾配の少ない川なので、日本のように物凄い鉄砲水にはならないかもしれないが、災害を想定した作りになっているのだろうか。


ちなみに現在、スーダンの政権を握っているのは13世紀頃に移住してきたアラブ系の民族。昔から現地に住むアフリカ系の人々とは別民族。遺跡を作ったのとも別民族。とすれば、「他人の遺跡なんかどーでもいいや」と、いうことになっているのかもしれない。

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めも

日本語の記事はあんま見つかりませんでした。とりあえずココとか

ここらへんにダムが出来るらしいです。(現地の工事前の風景)

完成予想図と完成後の発電量など。※PDFファイル


※すんません、ダルフールと書くところハルツームに間違えてましたorz

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