もう一つ間違いらしきものを見つけた。

前エントリからの続き、まだフルタルコスの「エジプト神 イシスとオシスの伝説について」をいじっている。

間違いと思われるのは古代暦の日付に関する部分。
21ページの日付に関する巻末の解説で、「新年のはじまる日」を9/6と想定しているが、エジプトに関する主な資料では7月なかばとなっている。

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なので、第一の月である「トト月」は7月半ば~8月半ば になるはず。
(ただしナイル上流と下流では氾濫の始まりに一ヶ月程度のズレがあり、7月半ばというのは国の中心部のあったメンフィス周辺での測定だとのこと。南北に国土が長く、ナイル河もの勾配は少ないため、上流と下流では氾濫に差が出る)


大もととなる一年の起算の月がずれているので、この文庫本の解説は、ほかの日付についての記述もおかしくなっている。

34ページの「アテュルの月」は古代エジプト語では「ハトホル月」、コプト語で「ハテュル月」と呼ばれた時期のことだと思われるので、11月ではなく、9月半ばから10月半ばのことを指す。

ただし、ハテュル月は「ナイルの河が枯れる」時期ではないという指摘は正しく、文中の記述に矛盾があるという指摘自体は間違えていない。この部分についてプルタルコスが書くべきだったのは、ハトホルではなくコンス(パコンス月)ではなかろうか…
しかし、オシリスの復活に関する記述が冬の到来=「冬至」を意味するなら、ハトホルでもコンスでもなく「メヒル月」のはず。メヒル月だとまだ河の水位が下がらない。

巻末で指摘されているとおり、オシリスの祭儀にかかわる日付は何かがごっちゃになっていて、そのまま信用できる部分ではなさそうだということだ。残念。


#手前味噌ですが昔作ったエジプト暦>現代暦換算のカレンダーとか参考にドウゾ

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