メロウェ・ダム建設の進捗状況
Project’S News が更新されていました。何か、一気にきたな…(汗
5月に入ってから発生した、首都ハルツーム付近での反政府武装集団との衝突に触れた記事(「JEM's Attempt to Target Merowe Dam Aimed at Halting Development」という見出しのもの)があるところからして、
「国民を豊かにするはずの、この素晴らしい計画を邪魔しやがった愚かな集団がいたけど
ご心配なく、計画は順調です」
と、いうことをアピールする狙いがあるのではないかと思う。
国家の威信にかけて今年中に完成させる! らしいですが、既にデモや武力衝突で散々遅れてるはずなのに、そんな急いで大丈夫か? 巻き巻きで作業すると、どっか致命的な穴が出来そうな気が…。
しかし、写真を見ると確かにほとんど完成してるんですよね。外見だけは。 自称先進国ですら見た目綺麗なのに鉄筋が入っていない建造物が作られていたことが最近発覚したばかりなので、余計に心配をそそる。
ちなみにメロウェダムの位置は↓ここだ。
これは、八千代エンジリヤニングさんが出してる「ナセル湖上流域総合環境改善事業調査」というpdfから拾った図。(検索するとPDFファイル本体が出てくるので興味ある人はそっちで拾ってください)
メロウェ・ダム以外のダムの位置も記載されている。
これに、スーダン側ヌビアの確認されている遺跡の地図を並べてみよう。
場所比較。
ジェベル・バルカルやナパタって有名どころだと思うんですが、無事なんでしょうか。
ダムを造ることは決して悪いことじゃない。
エジプトの場合、国土の95%が人の住めない砂漠、残り5%に人が密集して住んでいる。
その5%も、人口が拡大し続ける中で手狭になりつつあったのが今世紀初頭。誰が言ったんだったかわすれたけれど、巨大ダム建設当時のエジプトの偉い人で、「今のナイルではエジプトを支えきれない」という悲痛な言葉を残した人がいた。その通り、住む場所も食べ物も、かつてのようにナイルの自然氾濫に頼っていたのでは足りない。人は生きるために、古代の恵みを殺してでも新たな道を探さなくてはならなかった。
その結果、ダムが作られ、一年の半分はナイルに沈んでいた土地が住居や畑として利用できるようになった。
代償として塩害、下流の猟場の死滅、植生の大きな変化などを引き起こしたが、それが神罰というほどエジプトの神々は懐狭くないだろう。
ナイル下流の猟場が死んだ一方、アスワン・ハイ・ダムによって出現した巨大なダム湖は、ティラピアという魚の一台養殖場となり、稚魚の放流なども行われ、漁場としても使われている。また、ダムから砂漠に水を引き、荒野に緑地を作る「トシュカ計画」も行われている。(ダム建設によって故郷を失ったヌビア人が、「砂漠にヌビアを蘇らせる計画だ」と言っていたのが印象的だった)
もしも、アスワン・ダム、アスワン・ハイ・ダムが作られていなかったら、エジプトはどうなっていただろう。
自然や遺跡はそのまま守られたかもしれないが、深刻な食糧不足、住居不足や、今以上の貧富の差を生み出していたかもしれない。今、そこに生きている人々の幸せは、命は、たぶん過去の遺産より大事だ。
ダム建設によって失われた過去があった反面、守られた未来もある。少なくとも、エジプトのケースの場合、私はそう思っている。
では、このスーダンのケースでは、どうなのだろうか?
このダムは、永遠に失われようとしているものより多くのものを与えてくれるのだろうか。
スーダンを豊かにし、人々の未来に貢献してくれるものなのか…?
過去と未来を天秤にかけること自体が間違っているのかもしれないが、何か今ひとつ釈然としないものを覚える。
何十年か後になれば分かるかもしれない。しばし、様子を見守ることにしよう。
図の出典は↓これね
ダムと神殿―ヌビアの遺跡を訪ねて (1963年)
5月に入ってから発生した、首都ハルツーム付近での反政府武装集団との衝突に触れた記事(「JEM's Attempt to Target Merowe Dam Aimed at Halting Development」という見出しのもの)があるところからして、
「国民を豊かにするはずの、この素晴らしい計画を邪魔しやがった愚かな集団がいたけど
ご心配なく、計画は順調です」
と、いうことをアピールする狙いがあるのではないかと思う。
国家の威信にかけて今年中に完成させる! らしいですが、既にデモや武力衝突で散々遅れてるはずなのに、そんな急いで大丈夫か? 巻き巻きで作業すると、どっか致命的な穴が出来そうな気が…。
しかし、写真を見ると確かにほとんど完成してるんですよね。外見だけは。 自称先進国ですら見た目綺麗なのに鉄筋が入っていない建造物が作られていたことが最近発覚したばかりなので、余計に心配をそそる。
ちなみにメロウェダムの位置は↓ここだ。
これは、八千代エンジリヤニングさんが出してる「ナセル湖上流域総合環境改善事業調査」というpdfから拾った図。(検索するとPDFファイル本体が出てくるので興味ある人はそっちで拾ってください)
メロウェ・ダム以外のダムの位置も記載されている。
これに、スーダン側ヌビアの確認されている遺跡の地図を並べてみよう。
場所比較。
ジェベル・バルカルやナパタって有名どころだと思うんですが、無事なんでしょうか。
ダムを造ることは決して悪いことじゃない。
エジプトの場合、国土の95%が人の住めない砂漠、残り5%に人が密集して住んでいる。
その5%も、人口が拡大し続ける中で手狭になりつつあったのが今世紀初頭。誰が言ったんだったかわすれたけれど、巨大ダム建設当時のエジプトの偉い人で、「今のナイルではエジプトを支えきれない」という悲痛な言葉を残した人がいた。その通り、住む場所も食べ物も、かつてのようにナイルの自然氾濫に頼っていたのでは足りない。人は生きるために、古代の恵みを殺してでも新たな道を探さなくてはならなかった。
その結果、ダムが作られ、一年の半分はナイルに沈んでいた土地が住居や畑として利用できるようになった。
代償として塩害、下流の猟場の死滅、植生の大きな変化などを引き起こしたが、それが神罰というほどエジプトの神々は懐狭くないだろう。
ナイル下流の猟場が死んだ一方、アスワン・ハイ・ダムによって出現した巨大なダム湖は、ティラピアという魚の一台養殖場となり、稚魚の放流なども行われ、漁場としても使われている。また、ダムから砂漠に水を引き、荒野に緑地を作る「トシュカ計画」も行われている。(ダム建設によって故郷を失ったヌビア人が、「砂漠にヌビアを蘇らせる計画だ」と言っていたのが印象的だった)
もしも、アスワン・ダム、アスワン・ハイ・ダムが作られていなかったら、エジプトはどうなっていただろう。
自然や遺跡はそのまま守られたかもしれないが、深刻な食糧不足、住居不足や、今以上の貧富の差を生み出していたかもしれない。今、そこに生きている人々の幸せは、命は、たぶん過去の遺産より大事だ。
ダム建設によって失われた過去があった反面、守られた未来もある。少なくとも、エジプトのケースの場合、私はそう思っている。
では、このスーダンのケースでは、どうなのだろうか?
このダムは、永遠に失われようとしているものより多くのものを与えてくれるのだろうか。
スーダンを豊かにし、人々の未来に貢献してくれるものなのか…?
過去と未来を天秤にかけること自体が間違っているのかもしれないが、何か今ひとつ釈然としないものを覚える。
何十年か後になれば分かるかもしれない。しばし、様子を見守ることにしよう。
図の出典は↓これね


