牛飼育の起源と牛神様の起源が被っているかもしれない妄想

「ごはんとパンの考古学」という本をさらっと読了。
農耕・牧畜の起源と歴史についての本だった。内容的にそんなに難しくなく語り口も平易。その昔、世界史の授業で習ったことを思い出すような感じ。

コメ・麦 は、やはり偉大であるなあ。


で、農耕と牧畜はセットになって広まっていくのだけれど、コメとセットになるのが「豚」、麦とセットになるのが「ヤギ・羊」なのだそうだ。コメ栽培の起源はおそらく長江あたりで、麦はメソポタミアの上流。
即座に「ブタまん」と「バターロール」を連想した私は多分正しい。ただ残念ながらバターは大抵、牛なんだ。

と、いうわけで牛の飼育の起源が気になったので、探してみた。


牛は、どうやら麦の栽培が始まった地域と同一の場所で飼育が開始されたわけではないらしい。
最古の牛の骨が発見されている地域はナイル上流の西のほう。

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面白いと思ったのが、この辺りって先王朝時代には既に牛の崇拝が始まっていたと思われている地域だってことだ。精霊信仰や神を動物の姿に模す精神活動は、身近にいる動物を対象として行われるはずで、ナイル上流地域で古くから牛が重要な動物だったのは牛の飼育が早い段階から行われていたことの裏付けでもあると思う。

もっとも、メソポタミアでも牛は重要な神話のシンボルだから、どっちが早いとは言えないけども。



しかし、この本のお陰で、世界じゅうの神話に登場する動物がある程度決まっている理由がなんとなく分かった気がする。主要な食料となる穀物と、飼育される動物がセットになって伝播していくなら、集落が形成される初期の時点で重要視されていた動物が、ある程度かぶっていたんではなかろうか。

主要な食べ物が麦でもコメでもない地域は、麦やコメが伝播できなかった=文化的な交流がない or 下地となる気候が大きく異なるため、同じ動物が生息できない とも解釈できるし。

ヤギの神話登場率が高い地域を、いちど洗ってみると面白いかもしれない。
麦を主食とする地域とかなり重なっているんじゃないだろうか。

…コメを主食とする地域は、豚の神話登場率とは被らない気がするけどね…。

ごはんとパンの考古学 (市民の考古学 (1))

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