スフィンクスの種類/ヘロドトスはスフィンクスの種類に言及してなかったよ
ここまでの経緯は、こちら。
要約すると、こういうことです。
”「エジプトのスフィンクスには、アンドロスフィンクス、ヒエラコスフィンクス、クリオスフィンクスって三種類がいるよ」とヘロドトスが「歴史」の中で言っている。と、多くのサイトで言及されている。しかし原文にその箇所が見当たらない。”
と、いうわけで皆で手分けして探しました。大航海の商会メンにも話題を振って探させました。どんだけですか。
例によって結論からいきますね。
ヘロドトスの「歴史(historiai)」の中に
スフィンクスの種類に言及した箇所はありませんでした。
全九巻、とりあえず手作業で前から探してみたー。
スフィンクスについて言及しているのは、ここの部分だけです。
「大スフィンクス」の部分は別訳だと「男スフィンクス」なっており、原語ではアンドロスフィンクスになってる模様。
オイディプスについて言及されている部分も探しましたが特にスフィンクスについての言及はありません。
つまり「エジプトのスフィンクスには三種類ある。」という記述も、「ヘロドトスはスフィンクスの種類を三つ挙げている。」も、誤った表記ということになります。エジプトの「人とライオンがドッキングした像」を”スフィンクス”と呼んだことは事実ですが。
では、以下の三種類の分別は、どこから出てきたものなのでしょうか。
「アンドロスフィンクスAndrosphinx(人頭スフィンクス)」
「クリオスフィンクスCriosphinx(羊頭スフィンクス)」
「ヒエラコスフィンクスHieracosphinx(鷲頭スフィンクス)」
この三つの単語で検索すると、幾つか外国語サイトがヒットします。それらが何であったかというと…
ダンジョンズ&ドラゴンズのサイト。(笑) →コレとか
…もしかするとこれは、「ブルトガングはヘイムダルの剣」とか、「ロキはサタン」とかの誤解と同じ原因なんじゃないでしょうか。かつて、ファンタジー関連で一般向けの書籍がほとんど存在せず、神話伝承といえば高尚な学術書しかなかった頃、一般人が簡単に手にすることの出来る神話の資料といえば、ゲームのルールブックか設定書だったのです。で、その設定が確実な資料に基づくものとされてしまったと…。
未確認ながら、これらの単語が記載された神話辞典サイトには、参考文献として「健部伸明と怪兵隊 『幻想世界の住人たち』 (新紀元社、1988) 」の名前がありました。出所がこの本だとすると、予想はおおむね当たってるんじゃないかと思います。新紀元社のこのシリーズって、原典に当たらず致命的な誤記載をしている部分がしばしば見受けられるものなので。
ちなみにD&Dのスフィンクスも今では三種類ではないようです。
英語版WikipediaのD&Dにはたくさんのスフィンクスの種類が。イビス頭スフィンクスなんかはなかなかレアなところに目をつけてきてますね。^^;
と、いう何だかかなりアレな結論になってしまったんですが、これでいいんでしょうか。
**************
追加はBBS該当スレ
要約すると、こういうことです。
”「エジプトのスフィンクスには、アンドロスフィンクス、ヒエラコスフィンクス、クリオスフィンクスって三種類がいるよ」とヘロドトスが「歴史」の中で言っている。と、多くのサイトで言及されている。しかし原文にその箇所が見当たらない。”
と、いうわけで皆で手分けして探しました。大航海の商会メンにも話題を振って探させました。どんだけですか。
例によって結論からいきますね。
ヘロドトスの「歴史(historiai)」の中に
スフィンクスの種類に言及した箇所はありませんでした。
全九巻、とりあえず手作業で前から探してみたー。
スフィンクスについて言及しているのは、ここの部分だけです。
かくて、まず彼はサイスのアテネのために高さにおいても大きさにおいても他のすべてをはるかにしのぐといった驚嘆すべき門を造営したが、それは驚くべく巨大な、かつみごとな石で出来ている。また、さまざまの大巨像と、頭部は人間で胴体は獅子である大スフィンクスを奉納し、そのほかに修理のために途方もなく巨大な石も運んだ。
(巻のニ、175)新潮社、青木 巌 訳
「大スフィンクス」の部分は別訳だと「男スフィンクス」なっており、原語ではアンドロスフィンクスになってる模様。
オイディプスについて言及されている部分も探しましたが特にスフィンクスについての言及はありません。
つまり「エジプトのスフィンクスには三種類ある。」という記述も、「ヘロドトスはスフィンクスの種類を三つ挙げている。」も、誤った表記ということになります。エジプトの「人とライオンがドッキングした像」を”スフィンクス”と呼んだことは事実ですが。
では、以下の三種類の分別は、どこから出てきたものなのでしょうか。
「アンドロスフィンクスAndrosphinx(人頭スフィンクス)」
「クリオスフィンクスCriosphinx(羊頭スフィンクス)」
「ヒエラコスフィンクスHieracosphinx(鷲頭スフィンクス)」
この三つの単語で検索すると、幾つか外国語サイトがヒットします。それらが何であったかというと…
ダンジョンズ&ドラゴンズのサイト。(笑) →コレとか
…もしかするとこれは、「ブルトガングはヘイムダルの剣」とか、「ロキはサタン」とかの誤解と同じ原因なんじゃないでしょうか。かつて、ファンタジー関連で一般向けの書籍がほとんど存在せず、神話伝承といえば高尚な学術書しかなかった頃、一般人が簡単に手にすることの出来る神話の資料といえば、ゲームのルールブックか設定書だったのです。で、その設定が確実な資料に基づくものとされてしまったと…。
未確認ながら、これらの単語が記載された神話辞典サイトには、参考文献として「健部伸明と怪兵隊 『幻想世界の住人たち』 (新紀元社、1988) 」の名前がありました。出所がこの本だとすると、予想はおおむね当たってるんじゃないかと思います。新紀元社のこのシリーズって、原典に当たらず致命的な誤記載をしている部分がしばしば見受けられるものなので。
ちなみにD&Dのスフィンクスも今では三種類ではないようです。
英語版WikipediaのD&Dにはたくさんのスフィンクスの種類が。イビス頭スフィンクスなんかはなかなかレアなところに目をつけてきてますね。^^;
と、いう何だかかなりアレな結論になってしまったんですが、これでいいんでしょうか。
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追加はBBS該当スレ