ザ・バイキング 海賊船/富といけにえ (後編の日本語字幕がおかしい。)

録画しておいたナショジオチャンネルのヴァイキング番組をようやく消化…
「ザ・バイキング 海賊船」 と、 「ザ・バイキング 海賊船」の二本を連続で。

二本とも日本語字幕がイマイチ、といいますか明らかに間違っている箇所がいくつかあります。
まずタイトルからして内容にあってなくて「??」な状態。分かりやすい日本語タイトルにしようとしたら、

 「ヴァイキングの歴史~栄光から消滅まで~ <全編>」 「<後編>」

くらいなんじゃないかと。

前編ではヴァイキング時代の始まりから、ヴァイキングたちの強さの秘密、勢力を急速に拡大することの出来た要因、というのがメイン。「船」「武器」「戦闘能力」という3つの観点からそれらを述べていきます。(ヴァイキング・シップについての考察が大きなウェイトを占めますが、それが全てではない。ヴァイキングシップの扱いも、海賊船ではなく奇襲に適した高速移動船という感じ)

後編では、そうして勢力を拡大したヴァイキングが定住生活を始め、略奪者から王や司祭、戦士や農民といった階級社会の構成員となっていく姿を描きます。階級社会、定住生活の枠からはみだし、なおもヴァイキングとして生きる人々が、東方遠征や北米・グリーンランド移住の失敗ののちに消えてゆき、ヴァイキング時代が幕を下ろすまでという内容。(いけにえ全く出て来てません。タイトルの英語を直訳したつもりなのか…)

で、タイトルは我慢するとして、字幕がちょっと酷い:; 情報は落ちまくりだし間違っているし。
元の音声では「アイスランドのサガによれば」と言っているところを「伝説によると」と訳すくらいの無茶っぷり。「サガ」も「伝説」も同じ二文字なんだから、文字数の都合じゃないよねそれ…。全くニュアンスが異なることに気づかなかったのか。
”ニューファンドランド島の”ランス・オ・メドウズは「ランス・オ・メドウズ島」にされてるし。(そんな島ねーよ。)
ヴィンランド・サガに至っては音声では出てくるのに字幕は全く無視、ここも「伝説では」としてヴァイキングの北米移住地がヴィンランドと呼ばれていることを説明しないまま話を進めた上で、唐突に「学者がビンランドを探しています」… おいおい、それじゃ意味が通じないよ。
おまけにヴィンランド・サガに出てくるインディオの呼称「スクレーリンギャル」の部分を「先住民」としやがった。間違いじゃないけど、音声ではちゃんと説明してるのに何故飛ばす?

番組は面白いんだけど、字幕だけ見ると所々意味が通じていません…。字幕のヘタさで番組の評価が下がる典型みたいなものでした。


一番「これはひどいだろ」と思ったのは、イングヴァール石碑についての字幕。
東方遠征したヴァイキングたちのルーン石碑がいくつか出てくるのですが、特にこの石碑は。

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我々の父アーヌンドゥを偲び

イングヴァールとともに東方に遠征した 


って後ろの音声は言ってますが! ぜんぜん違うじゃないですか。
音声では「イッラ、イェールヴィ」という名前も聞こえるので、↓これじゃないのか…。

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次のは、ウーヴェルグラン教区のヴァールプスンドゥの橋近くにある石碑。
これは字幕の問題ではなく、インタビューした学者さんのセリフの問題だと思うんですが、東方ヴァイキングが東方で戦死したことについて述べる際の画像に使われていました。

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書いてあるのは「アンドゥとヴェットゥとコールとイェーテとブレーセとイェールヴが父グーンレヴを偲び、この石碑を建てた。彼は東方でイングヴァールとともに命を落とした。神よ、彼らの魂を救いたまえ。アルリックがルーンを刻んだ。彼は船の操舵に長けていた。」
戦死したとは書かれていないし、イングヴァールは最終的に疫病で死んでるんだから「共に」だったら戦死とは読めないので、ここで使うのは不適切かと…。


これは多分、グレップスホルム城の入り口に立っている石碑。ここの字幕はおかしくないです。

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書いてあるのは「トーラが、イングヴァールの兄弟で息子のハーラルドゥを偲び、この石碑を建てさせた。彼らは雄雄しく旅立った かなたの黄金を求めて そして東方で 鷲に餌を与えた。 彼らは南で没した セルクランドで。」
ただ、この石碑が一番新しいというのは違うと思う。

石碑の内容の検証がしたいというよりは、風景的に絵になる石碑ばかり順番に辿っていった感じなんですよね。
イングヴァール石碑って確かどこかの空港の中に設置されてるのとか、民家の軒先にあるのとかあったはず。
そういうのは出てきませんでした。


それと、998年はまだ「東方遠征をした」イングヴァールは、生まれてないすよ…。

「ヴァイキングはビザンチンに傭兵として雇われた」のあと「イングヴァールはヴァイキングたちのリーダーでした」と続けちゃダメだろう。それだとビザンチンまで行って雇われたヴァイキング集団のリーダーがイングヴァールだったことになってしまう。
と、いうかこの番組自体が、東方遠征の理由を「傭兵として働くため」だったことにしてしまっているのだけれども。
(サガでは、王に重用されたものの王子ではなかったために王位を継げなかったから、ということになっている)




と、まあ、若干難ありの番組でした。さすがに三回見れば多少の文句も^^;
前編は良い出来だと思うし、当時の武器防具の強度実験など面白い内容でしたが、後編がちとマズかったかな。映像も使いまわしが多いです。でもキャストのヴァイキングの人や衣裳はカッコイイので、自分的にはそこそこ満足。

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素敵なおじさまチラリズム。


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石碑の訳文出典はすべて以下の本からですよ。



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