古代エジプトで最古の王族ミイラ<未確定> ジェル王(?)の腕

だいぶ前、掲示板のCGI入れ替え前に投稿された質問で「最古と最新のファラオの遺体って?」と、いうものがあった。

あの時はすっかり忘れていたのだけれど、おそらくそれは、第一王朝のジェル王の腕ではないかと思う。
昔のナショナル・ジオグラフィックを掘っていたら発見した。これだ。
1899年ごろに発見された、と発見年代からしてアバウト。発見者はフリンダース・ピートリ(Flinders Petrie)だった。有名どころの学者さんだ。有名な学者さんが発見したのなら、その腕についての研究があるのでは? と思うかもしれない。だが残念なことに、この腕については何も分かっていない。それどころか、せっかく発見されたのに現存してもいないのだという。


その腕は、腕輪とともに現在のカイロ博物館の前身であるブーラク博物館(ブーラーク、ブラークとも)に送られたのだが…

学芸員が、捨てちゃったらしい…。

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腕輪は保存したけど、骨と、骨を包んでいたリネンはイラネって捨てちゃったらしいですよ、奥さん。
ファラオのものかもしれなかった腕の骨を。ミイラじゃないし骨だからって。
ピートリはそれを知って当時の学芸員の学の無さにガッカリしたそうですが、まあ確かに骨とボロボロの布切れじゃ価値があると思うほうが特殊かもしれない。古いものに興奮したり価値を認めたりするのはある意味変人の域。

ピートリ自身はこの腕は王妃のものだと思っていたようですが、つけていたブレスレットの意匠が王を意味するものだったため、王のものだったんじゃないかという説もある。腕の骨から男性か女性かある程度目測がつくはずで、もし残っていたら… と思わずにはいられない。100年以上前に廃棄された骨が戻ってくるはずはないのだけれども。
しかし勿体無い。なんて勿体無い。


古王国時代のミイラは、ミイラ化の技術がまだそれほど洗練されていなかったことと、中王国時代や新王国時代に比べれば古い(江戸時代と室町時代と平安時代の違いみたいなもんと思いねえ)ことから、土に戻ってしまったか、辛うじて骨として残っているくらいで、ミイラとして出てくることはなかなか無いらしい。

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