古代エジプトの夢占い
いきなりだが単刀直入に解説すると、古代エジプト人は”夢占い”をしていたらしい。
占い、というと何か胡散臭いが、占いというよりは、神託。
文書として占いの内容を残しているものは、大英博物館所蔵の「チェスター・ビーティパピルス」3番。デイル・エル・メディーナで発見されたもので新王国時代のものだが、内容的に中王国時代の用語が使われているため、少なくとも中王国時代には存在したのだと考えられている。
どっかにテキストで挙がってないもんかなー と探してみたけど見つからなかったので、既に和訳されているもの(一部だけだが)を探してきた。内容的には、こんな感じだ。
現代的な感覚では、意味のわかるものと分からないものがある。^^; 「パレットに文字を書く」=文字を書くのは主に書記=学校を卒業しても、就職先が見つからないと食いっぱぐれるか給料安い地方公務員にしかなれない職業。みたいな知識があると意味が分かりやすいかもしれない。
以前紹介した「ぬるいビールを飲む夢は凶、苦い思いをすることになるだろう」もそうだが、古代エジプトの生活に密着した内容となっているので、現代人には使えないもののようだ。
古代エジプトにおいて占いは、庶民だけが使っていた迷信というわけではないらしい。
ギザ大地に立つスフィンクスの足元には「夢の碑文」と呼ばれるものが立っている。これはトトメス4世が、若かりし頃に昼寝をしていたら、スフィンクスから、「埋もれているワシを掘り出してくれたら王にしてやるから。」というご神託を受けたという内容を記したもの。トトメス4世の王位継承を正当化するためのプロパガンダでもあるのだが、王家が夢によるお告げを利用していたという証拠になっている。
また、夢というと眠り、夜に属するものに思われるが、昼寝中に見た夢の内容もご神託になるというのなら、夢で何かを告げる神様は夜属性の神様に限られない。神様は誰でも、寝ている人間に運命を暗示することが出来たという設定なのだろう。
ところで、夢解きの方法が文書として残っているということは、実際にそのマニュアルを使用して夢を解く人がいたということだ。夢を告げるのが神なら、夢解きの役目はおそらく神官がこなしただろう。
末期王朝時代には、夢でお告げを貰うために宿泊する施設が、神殿に付属していたという。これはなかなか良く出来た社会的システムだと思う。心に病を持つ人や、大きな悩みを抱えている人は、神殿にやってきて眠ることで神の啓示という形で回答を得ることが出来る。一方的な祈りは空しいだけだが、回答がもらえるなら気持ちは楽だ。悩める人々は、神官の解釈した答えを(実質、神官から貰ったものにも関わらず)、神からのものとして喜んだだろう。
つまり、神殿が精神的な癒しの場を兼ねており、神官はセラピストでもあったというわけ。
そうしてみてみると、夢占いの結果には、やたらと「吉」が多く、内容的にもポジティブかつ曖昧なものが多いように思える(笑) 豚と交接する夢なんか普通ミネエヨ。
夢に見そうな生活風景は、だいたいが「良いこと」に繋がっており、ご神託の解釈についても、なかなか巧い具合に出来ているものである。
占い、というと何か胡散臭いが、占いというよりは、神託。
文書として占いの内容を残しているものは、大英博物館所蔵の「チェスター・ビーティパピルス」3番。デイル・エル・メディーナで発見されたもので新王国時代のものだが、内容的に中王国時代の用語が使われているため、少なくとも中王国時代には存在したのだと考えられている。
どっかにテキストで挙がってないもんかなー と探してみたけど見つからなかったので、既に和訳されているもの(一部だけだが)を探してきた。内容的には、こんな感じだ。
大型の猫を見たときは、吉であって、夢を見た人に豊作が来るであろう。
ぶどう酒を飲んだ夢を見たときは、吉であって、夢を見た人は正しい生活を送るであろう。
血を飲んだ夢を見たときは、吉であって、夢を見た人の敵に止めを刺すであろう。
牡牛を殺す夢を見たときは、吉であって、夢を見た人の敵を排除するであろう。
豚と交接する夢を見たときは、凶であって、夢を見た人は財産を失うであろう。
おのれの尿を飲む夢を見たときは、吉であって、神から与えられた糧食を得るであろう。
ナツメヤシの実をもぎとる夢を見たときは、吉であって、神から与えられた糧食を得るであろう。
マストに登る夢を見たときは、吉であって、夢を見た人は神の助けでマストの頂きにとどまるであろう。
女性の奴隷を捕えた夢を見たときは、吉であって、夢を見た人は何かを得て満足するであろう。
パレットに文字を書く夢を見たときは、吉であって、夢を見た人は役職の決定を見るであろう。
背中を露わにする夢を見たときは、凶であって、夢を見た人はいずれ孤児になるであろう。
<ピラミッド101の謎/酒井傳六/文春文庫>
現代的な感覚では、意味のわかるものと分からないものがある。^^; 「パレットに文字を書く」=文字を書くのは主に書記=学校を卒業しても、就職先が見つからないと食いっぱぐれるか給料安い地方公務員にしかなれない職業。みたいな知識があると意味が分かりやすいかもしれない。
以前紹介した「ぬるいビールを飲む夢は凶、苦い思いをすることになるだろう」もそうだが、古代エジプトの生活に密着した内容となっているので、現代人には使えないもののようだ。
古代エジプトにおいて占いは、庶民だけが使っていた迷信というわけではないらしい。
ギザ大地に立つスフィンクスの足元には「夢の碑文」と呼ばれるものが立っている。これはトトメス4世が、若かりし頃に昼寝をしていたら、スフィンクスから、「埋もれているワシを掘り出してくれたら王にしてやるから。」というご神託を受けたという内容を記したもの。トトメス4世の王位継承を正当化するためのプロパガンダでもあるのだが、王家が夢によるお告げを利用していたという証拠になっている。
また、夢というと眠り、夜に属するものに思われるが、昼寝中に見た夢の内容もご神託になるというのなら、夢で何かを告げる神様は夜属性の神様に限られない。神様は誰でも、寝ている人間に運命を暗示することが出来たという設定なのだろう。
ところで、夢解きの方法が文書として残っているということは、実際にそのマニュアルを使用して夢を解く人がいたということだ。夢を告げるのが神なら、夢解きの役目はおそらく神官がこなしただろう。
末期王朝時代には、夢でお告げを貰うために宿泊する施設が、神殿に付属していたという。これはなかなか良く出来た社会的システムだと思う。心に病を持つ人や、大きな悩みを抱えている人は、神殿にやってきて眠ることで神の啓示という形で回答を得ることが出来る。一方的な祈りは空しいだけだが、回答がもらえるなら気持ちは楽だ。悩める人々は、神官の解釈した答えを(実質、神官から貰ったものにも関わらず)、神からのものとして喜んだだろう。
つまり、神殿が精神的な癒しの場を兼ねており、神官はセラピストでもあったというわけ。
そうしてみてみると、夢占いの結果には、やたらと「吉」が多く、内容的にもポジティブかつ曖昧なものが多いように思える(笑) 豚と交接する夢なんか普通ミネエヨ。
夢に見そうな生活風景は、だいたいが「良いこと」に繋がっており、ご神託の解釈についても、なかなか巧い具合に出来ているものである。