旧約聖書の「大洪水伝説」に元ネタはあるのか?

何百人分もの人間の骨と

何件もの古代の大量死事件を連続で観てきた…


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もう ウンザリですorz
(古代の骨を見ることは苦にならないと思っていたけど、さすがにここまで連続して見るとウェップ… 助けてギデオン教授…)




映画「天使と悪魔」をプッシュするための特集として、ここのところディスカバリーチャンネルでもナショジオチャンネルでもやたらと聖書・キリスト教関連の特集をやっている。片っ端から録画して見ていってるのだが、何か全然関係ない番組も多く。「バチカン地下墳墓の謎」なんて、状況説明だけして「結論は出ませんでした」なんて終わり方だし…。延々一時間、大量の骨と発掘情景だけ見せられるのはキツい…。

ノアの箱舟の探索は、今までに「箱舟を見つけた」と証する証拠を否定してお仕舞い、現地ロケも特になし。

まあまあ面白かったのは十字軍の番組くらいか。基本事項ばかりだったので、イマイチ時間を有意義に使った感じがしなかったが。

それでも、最もつまらないと思う特番ですら、日本の民放バラエティーより遥かに良い出来だと思いましたよ^^;




さて、そんな実りのない特番消化の中、一つだけこれは面白いなと思った部分。それは旧約聖書の中に残された「史実」の手がかり、大洪水の伝説に元ネタがあるかもしれないという説。

大洪水によって世界がいったん滅び、ノアの家族と一部の動物だけが箱舟で生き残ったという伝説は有名だろう。これによく似た物語が、メソポタミアの石版に残されている。「ギルガメッシュ叙事詩」ではウトナピシュティムという名の老人がギルガメッシュに「自分は洪水を生き残った」という話を語る。しかしこの洪水伝説は、メソポタミアでたびたび起きた実際の洪水、メソポタミアは文字通りティグリス川、ユーフラテス川の「中州」に位置し、何度も町もろとも洪水に巻き込まれたという事実を元にしているに他ならない。

旧約聖書は、それが形成された近隣地域の伝承を多く取り込んでいる。メソポタミアの伝説が受け継がれた結果、洪水伝説に変化したのだという説は今までにも聞いた。

しかし今回のは、ちょっと違っていた。
氷河期の終わり、地球が暖かくなり極地の氷が溶けて海水面が上昇した際、黒海が海に変わった瞬間の「天変地異」が洪水伝説の元ネタではないか、というものだ。

ポイントとなるのは地中海からイスタンブールを目指す手前の部分。ボスポラス海峡。


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氷河期の終わりまで、黒海は海ではなく淡水の「湖」だった。
水のある面積も今より小さく、湖のほとりには、おそらく人が住んでいただろうと考えられている。(証拠は今では海の底だが、気候的に住みやすい地域だったと考えられる)

しかし海水面が上がると、地中海から海水が流れ込む。もともと河口だったボスボラス海峡は海水に侵食されて幅が広がり、湖はごく短期間に海水へと変化して、淡水生物が大量死するとともに、湖のほとりの集落も悉く飲み込まれる。

メソポタミアの伝承のように文字としては残っていないし、メソポタミア文明の栄えた時期は約5000年前なのに対し、氷河期の終わりは約10000年前。
氷河期の終わりに世界各地で大規模な気候変動が起きたのは確かだが、その記憶が受け継がれ、のちに旧約聖書となったかどうかは疑問が残る。ただ、観点としては面白いかな。



ていうか、「天使と悪魔」には、旧約どころか そもそも聖書関係ないんだよ…
なんで聖書特集なんだ。

イルミナティ特集は? って言いたいところだけど、ほとんど活動せずに消えた組織だから、一時間持たせるネタが無いんだろうな^^;



関連エントリ:古代エジプトに「洪水」は無く、メソポタミアに「洪水」はあった

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