新境地「サラディン萌え」の極意

全盛期のサラディン伝説――


 2戦3勝は当たり前、4戦8勝も

 サラディンにとって篭城戦の勝利は敵説得のやりそこない

 エジプトに住んでいたらいつのまにか統治者になっていた

 同盟の使者を送り、代表者がサインしたと思ったら
 もう側近とともに目の前に来ていた

 散歩に出かけるだけで通過途中の町が泣いて城門を開いた
 脳卒中で倒れる指導者も

 暗殺教団に命を狙われて2度生還、しかも無傷

 グッとガッツしただけで4都市くらい解放された


テンプレの改造なので半分くらい適当ですが。


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とあるチャットで「サラディンは英雄なんかじゃない。ヘタレっぷりが可愛いのだ」と言われ、一緒にエジプト現地オフ旅行に行った絵師さんに、「サラディンゆかりのフスタートとシタデルは是非見ておくべき」と言われてもイマイチ判っていなかった、極意的な境地「サラディン萌え」。

歴史人物の中でも資料は多く、キャラ立ちしやすい存在とはいえ彼の活動範囲は日本からあまりに遠く、その活動時期、すなわち12世紀、十字軍とアラブ諸国との激突から聖地回復に至る時代は、ほとんどが西洋社会からの視点で語られがちだ。
侵略者側から見たサラディンは、強力な「守護者」であり強大な「敵」であり、自分たちが全力でぶつかって負けた(しかも何度も見逃してもらった)以上は、優れた指導者であってもらわなくては困る。カンペキな存在に萌えの要素は見出しにくい。

しかし、サラディン萌えを語った人々は、多分ここから彼を見ていたのだ。



サラディンこと本名ユースフ、アイユーブの息子。真の伝説。

・「叔父さん戦いに行きたくないです」と駄々をこねる
・暗殺教団(アサシン)に命を狙われるが生還
・命じられたとおりエジプトに行ったらファーティマ朝が途絶えて王になってた
・反逆を疑われて主君に会うのが怖くなり敵前逃亡 ( しかも2回 )
・それでも制裁されそうになるが直前に主君急死

・甥が死んだ知らせを受け取って人前で泣き出す
・敵側の婦人に「幼い娘がさらわれた」と聞いて涙を禁じえず部下に捜索を命じる
・敵の妻も助ける 敵の王も逃がす 
・占星術師「聖地を奪還しようとすれば片目を失います」
 サラディン「ぬるいわ! 聖地を取り戻せるなら両目を無くしても構わん」
・気前よく客人を持て成しすぎて死んだときほとんど財産なし


これらは、サラディン本人or近しい人々による記録から為る。

まず萌えに繋がりそうなポイントとしては、ヘタレ属性が挙げられるだろう。戦いに行きたくない、と言ったり、敵前逃亡したり、人前で泣き出したり。人前で父親に叱られた記録などもある。そのくせ、結果を見れば聖地エルサレムをはじめとする多くの土地から西洋騎士を追い出し、土地を取り戻している。
腕っ節は強いが涙もろく人情家、少年漫画にありそうな要素である。

続いてご都合主義的な強運。
いちばん弱そうで若いから、という理由でエジプトに送り込まれるも、ファーティマ朝の跡継ぎ(親友)が急死。狙ってないのにアイユーブ朝をたててエジプトの頂点に立ってしまう。
これを良しとせず強力な軍を率いて制裁にやってくるはずの主君、抵抗する気もなく逃げる気満々… しかし直前に主君急死。ほっとくと本国で内紛が起きるので、そのまま主君の権力もゲット。
気がついたらエジプトからシリアに至る広大な地域を支配する存在になっていた…!
まさに神に愛された男。

敵にも味方にも温情をかけ、客人を丁重にもてなし、一度結んだ約束は決してたがえない。
歴史人物としても人気が出る要素は多数含んでいるが、赤裸々なヘタレ話と、ギャグかと思うような棚ボタ伝説が「萌え」境地につながる要素だったわけですね。しかもアラブ世界のお約束としてヒゲだし。




古代エジプトはむしろオマケ、メインはアイユーブ朝が好き な人もいるエジプトマニア界…このジャンルの裾野はとてつもなく広い。そんなこんなで、ようやく私も、先人たちの歩む十字軍遠征時代の新境地に追いつけそうです…。

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