ネコ飼育の歴史が変わりました。飼い猫の起源は古代エジプトではないようです>反論説あり
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このエントリには続き(オチ?)があります。
読み終わったあとに反論説についてもご参照ください。
2009/7/14:一部修正&追記しました。
2014/10/27:一部修正&追記しました。
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ネコといえば、かつては「最初に飼いならしたのはエジプト人、たぶんリビアヤマネコがイエネコになった」というのが常識でした。古代エジプトでは、飼い猫に名前をつけたり、墓に人間と一緒に収めたり、墓の壁画に描いたり、亡くなったあとペット専用墓地に収めたり… と、古い時代から飼い猫を可愛がっていたようで、乾燥した気候もあいまってネコのミイラなどの証拠見つかりやすかった。現時点で、エジプト最古のネコの飼育例は紀元前4000年ごろ(今から約6000年前)の個人墓からのネコの遺骸の出土。これが長らく「最古の飼いネコの証拠」されてきたわけですが、
・遺伝子解析により、現在の飼い猫はリビアヤマネコ一種から発展している
・エジプト以外の地域からの、さらに古い猫の遺骸の出土がある
(約9500年前/キプロス島出土)
考古学+遺伝子学により、「飼い猫エジプト起源説」に挑戦する論文が出されたようです。
キプロス島というのはエジプトにも近い地中海の大きな島。
現段階(2009年のこの時点)で最も古い、人間とネコの関わりを示す証拠がここで見つかりました。
・ 人間の墓にネコが一緒に埋葬されていたが、生後8ヶ月ほどの子猫のため現地で生まれたと考えられる
・ ネコは人間と同じように西向きで埋葬されていたため、供物などではなくペットの可能性
・ 後述するが、キプロスのネコは遺伝子的には北アフリカに住むリビアヤマネコだった
・ …つまりキプロスで見つかったネコが飼い猫なら、最初にリビアヤマネコを飼いならして、それを輸入した経路があったことになる
約一万年前に別の場所で飼いならされたリビアヤマネコの子孫たちが、いつかの時代にキプロス島に持ち込まれ、飼い猫として広まっていったという説のようです。
あんまり頭のスペックが高くないのでここらへんは何か間違ってるかもしれんのですが^^; 参考文献などは末尾にまとめて貼り付けてあるので、元論文から漁りたい人はそちらをどうぞ。
各資料の内容を判りやすくまとめると、こういうことです。
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ある時期、人は狩猟採集の時代から、定住しての農耕生活への移行を試みます。それは穀物の栽培が始まるのと同じ時期。しかし穀物の栽培と貯蔵は、同時に、新たな敵: ネ ズ ミ との戦いの始まりを意味しました。
穀物栽培は、年に1回とか2回しか得られない収穫を、通年で消費していきます。穀物の貯蔵は生命線を守るとても重要な課題。苦労して得た食料、ネズミ野郎ごときにくれてやる余裕などありません。何とかして穀物を守りたい人間。あの手この手で侵入し、食べ物を掻っ攫うネズミ。そこへ颯爽と現われたる救世主―― ネコ!
論文内では、「人がネコを捕えて飼いならしたのではない。エサが多く、保護もしてもらえる人間のもとにネコから進んでやってきたのではないか」とされていました。犬も同じで、人間と「群れ」を作ることで効率的に狩りが出来ることに気づき、狩猟を行う人間の中に自分たちから組み込まれたという説があります。猫の場合、人間が穀物を貯蔵しはじめ、ネズミを呼び寄せて人工的に狩場を作りはじめたことが、人間社会に接触する切っ掛けになったという推測です。
つまり、人と猫の歴史は、同時に、人とネズミの戦いの歴史でもあるということ。ネコの家畜化は、穀物栽培の知識・技術の伝播とともに行われたということ。ちなみに麦の栽培が最初に始まったのは約1万年前の西アジア、ティグリス・ユーフラテス川を取り巻く「肥沃な三日月地帯」と呼ばれる場所といわれます。(米は約9000年前の中国というのが一般説。)
キプロス島には野生の猫はいないので、飼いならされたのは別の場所、麦の栽培がキプロス島に伝わるとともに飼いネコも伝わったのではないか?
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―― これが説のあらましとなります。
(※ この仮説については、続きのエントリ も参照のこと。結論から言うと、「穀物栽培の伝播とともに飼い猫が広まった」という説は間違いと思われます。ギリシャで猫飼育が始まった証拠は紀元1世紀。それと現在のところ、エジプトがローマ属州になる以前にエジプト以外の地域で猫が飼育されていた証拠が出てきません)
さて。
次にDNA解析について元論文からひろってきた図を貼り付けます。
ぶっちゃけ一枚目の系統樹みたいな図の見方はわかりません! DNAの似てる比率から系統樹を作成してるのか? 途中に入ってる数字は…何だろう。
(追記) どうやら遺伝子は時間経過とともに変異していくので、変異率から系統の分岐した時間を逆算しているらしいです。
次の図はわかりやすい。
これを見ると、世界中のネコたちの遺伝子分類による内訳がわかります。
(円グラフの中に入っている数字は、その地域で調べたネコの匹数と思われる。論文の最初の方で、「979匹の家ネコと野生ネコの遺伝子を調べた」と言ってるので。)
要約すると、母系でしか遺伝しないミトコンドリアDNAから調べた結果、世界中のネコは全部で5つの母集団に分かれている。その中でリビアヤマネコとイエネコが同じカテゴリに入るため、イエネコはリビアヤマネコから派生したという従来説を裏付けるものとなる。また、リビアヤマネコの中でも、現在中東に住むものはイエネコとほとんど遺伝的な差異が無いため、中東のリビアヤマネコが直接の祖先と思われる。
また、この論文で調べた範囲内のイエネコについては、最低5匹の母ネコから発生しているとのこと。「調べた範囲内」で辿れるミトコンドリア・イヴが5匹いるってことですね。
(追記) ここでミトコンドリアDNA(図中でmtDNAと記されている)について注釈を。
ミトコンドリアは、人間にもあるし、あらゆる動物の細胞にある、その生物のDNAとは別に独自のDNAを持つ細胞器官。通常の細胞DNAと違い、ミトコンドリアのDNAは雌/女性からしか受け継がれません。精子と卵子が出会ったとき、精子側のミトコンドリアは卵子に侵入できず破棄されてしまうからです。つまりミトコンドリアDNAの分析からでは父親が何かはわからない。
ということで、ミトコンドリアDNAだけの分析であれば、血統書つきの飼い猫にもかかわらず野生のヤマネコという結果が出る―― といった状況も在り得るわけです。(ヤマネコと交雑した場合は、そうなる。ただし基本的にイエネコはヤマネコとは交雑しない。)
世界的に見ると、飼い猫のミトコンドリアDNAは圧倒的にNear Eastern Wildcat、祖先であるリビアヤマネコの遺伝子を濃く受け継いでいます。しかし、一部にはCentral Asian Wildcatの血も混じっている。紫色はCentral Asian Wildcat、中央アジアの野生の猫のぶぶんです。イエネコは基本的にヤマネコとは交雑できませんので、まだ飼育されて初期のころ(= 原種のヤマネコに近い) に交雑したものと考えられ、ここからイエネコは中東付近で飼いならされた説にたどり着いているようです。
ほかに、中国の一部のネコだけは、「Chinese desert cat」(濃いピンク色)と黒い線で描かれた砂漠に住む砂漠猫(サンドキャット)は、母系で見た場合、世界にいる5つのヤマネコの集団のうち、イエネコとは一番関係が離れていて、イエネコの元となったリビアヤマネコとは遠い昔に分かれたのだと理解できます。
アフリカ南部に広がる水色はSouth African Wildcatに微妙にオレンジが混じっているのが謎ですが… ネコが砂漠を越えるのは難しいので、論文内で言われているように人間が運んだと見るべきでしょうか。でも南アフリカにもイエネコいるんだな。ヨハネスブルグの飼い猫って生きていけるんだろうか…(何
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という感じです。
中の人の脳みそスペック的に、ここらへんまででイッパイイッパイなんで、もうちと遺伝子用語とかわかる人がいたら解説しなおしてください(^^;
あとこの記事で修正前にヨーロッパのヤマネコ(ヨーロッパオオヤマネコ。参照これ)とイエネコが交配したかもしれないと書きましたが、冷静に考えると大きさ的にムリですね。トラとネコではナニ出来ないわ。(おい
どうでもいい話ですが、なんでネコの起源を調べ始めたかというと、「中国ではネコ料理があるらしい」→「ネコ大好き古代エジプト人が聞いたら暴れるな」→「中国4000年vs古代エジプト5000年バトルでどうだろう」 という友人との会話からでした。そんななので、中国のネコは他地域の飼い猫とあまり接触がなく母系遺伝で見ると独立してるように見えるっていうのは、皮肉な結末だったり。ネコも仙人か…。
しかし、あんなバカ話からこんなことになるとは…。
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Wikipedia(英語)の「Cat」の項目
↑の適当和訳
『最近まで、一般的に猫が飼いならされたのはネコが信仰対象でもあった古代エジプトだったと信じられていました。
しかしながら、2004年に、最も早く猫を家畜化したのが古代のキプロスであると発見されました。そして、その後の研究によって、2007年、すべての飼い猫の家系は、紀元前8000年頃に近東でアフリカの野生の猫(Felis silvestris lybica=リビアヤマネコ)から飼いならされたわずか5匹だということが判りました。』
ここの書き方はちょっとおかしくて、元論文を読む限り、「キプロスが最も早く家畜化した」とは言ってなくて、「現時点で最も古い家畜化された”かもしれない”猫が見つかっているのがキプロス」が正解です。
これについて、Wikipediaの注釈にもありますが、参考文献は以下のとおり。
Early taming of the cat in Cyprus
2004年9月の「Science」誌(Volume 304)掲載論文。
キプロス島で9,600年前の墓に、人と共に埋葬されたネコの遺体が確認されたというもの。
これは考古学による資料。
上記の要約が↓これ
Oldest Known Pet Cat? 9,500-Year-Old Burial Found on Cyprus(National Geographic)
次に遺伝子分析、母系でしか遺伝しないミトコンドリアDNAによる分析結果が、こちらの論文。(要約ですが)
Driscoll, Carlos A. et al. (2007-07-27).
"The Near Eastern Origin of Cat Domestication" (PDF).
Science 1: e3. doi:10.1126/science.1139518. PMID 17600185. Retrieved on 2008-04-02.
上記は専門用語が訳せなくて意味がよーわからんかったのですが、↓NewyorkTimesの記事が要約してくれています。ここが一番わかりやすいかな。
Study Traces Cat’s Ancestry to Middle East
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注意:
このエントリ及び、続きのエントリについては、2007年と比較的新しい研究が元になっております。また、論文を解釈しているのは、ただの物好きであるこのブログの管理人:岡沢です。
よって、今後の研究によって内容が新証拠によって覆される可能性、及び岡沢が解釈をミスっている可能性は大いにあります。そこらへんは適当にご注意ください。
このエントリには続き(オチ?)があります。
読み終わったあとに反論説についてもご参照ください。
2009/7/14:一部修正&追記しました。
2014/10/27:一部修正&追記しました。
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ネコといえば、かつては「最初に飼いならしたのはエジプト人、たぶんリビアヤマネコがイエネコになった」というのが常識でした。古代エジプトでは、飼い猫に名前をつけたり、墓に人間と一緒に収めたり、墓の壁画に描いたり、亡くなったあとペット専用墓地に収めたり… と、古い時代から飼い猫を可愛がっていたようで、乾燥した気候もあいまってネコのミイラなどの証拠見つかりやすかった。現時点で、エジプト最古のネコの飼育例は紀元前4000年ごろ(今から約6000年前)の個人墓からのネコの遺骸の出土。これが長らく「最古の飼いネコの証拠」されてきたわけですが、
・遺伝子解析により、現在の飼い猫はリビアヤマネコ一種から発展している
・エジプト以外の地域からの、さらに古い猫の遺骸の出土がある
(約9500年前/キプロス島出土)
考古学+遺伝子学により、「飼い猫エジプト起源説」に挑戦する論文が出されたようです。
キプロス島というのはエジプトにも近い地中海の大きな島。
現段階(2009年のこの時点)で最も古い、人間とネコの関わりを示す証拠がここで見つかりました。
・ 人間の墓にネコが一緒に埋葬されていたが、生後8ヶ月ほどの子猫のため現地で生まれたと考えられる
・ ネコは人間と同じように西向きで埋葬されていたため、供物などではなくペットの可能性
・ 後述するが、キプロスのネコは遺伝子的には北アフリカに住むリビアヤマネコだった
・ …つまりキプロスで見つかったネコが飼い猫なら、最初にリビアヤマネコを飼いならして、それを輸入した経路があったことになる
約一万年前に別の場所で飼いならされたリビアヤマネコの子孫たちが、いつかの時代にキプロス島に持ち込まれ、飼い猫として広まっていったという説のようです。
あんまり頭のスペックが高くないのでここらへんは何か間違ってるかもしれんのですが^^; 参考文献などは末尾にまとめて貼り付けてあるので、元論文から漁りたい人はそちらをどうぞ。
各資料の内容を判りやすくまとめると、こういうことです。
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ある時期、人は狩猟採集の時代から、定住しての農耕生活への移行を試みます。それは穀物の栽培が始まるのと同じ時期。しかし穀物の栽培と貯蔵は、同時に、新たな敵: ネ ズ ミ との戦いの始まりを意味しました。
穀物栽培は、年に1回とか2回しか得られない収穫を、通年で消費していきます。穀物の貯蔵は生命線を守るとても重要な課題。苦労して得た食料、ネズミ野郎ごときにくれてやる余裕などありません。何とかして穀物を守りたい人間。あの手この手で侵入し、食べ物を掻っ攫うネズミ。そこへ颯爽と現われたる救世主―― ネコ!
論文内では、「人がネコを捕えて飼いならしたのではない。エサが多く、保護もしてもらえる人間のもとにネコから進んでやってきたのではないか」とされていました。犬も同じで、人間と「群れ」を作ることで効率的に狩りが出来ることに気づき、狩猟を行う人間の中に自分たちから組み込まれたという説があります。猫の場合、人間が穀物を貯蔵しはじめ、ネズミを呼び寄せて人工的に狩場を作りはじめたことが、人間社会に接触する切っ掛けになったという推測です。
つまり、人と猫の歴史は、同時に、人とネズミの戦いの歴史でもあるということ。ネコの家畜化は、穀物栽培の知識・技術の伝播とともに行われたということ。ちなみに麦の栽培が最初に始まったのは約1万年前の西アジア、ティグリス・ユーフラテス川を取り巻く「肥沃な三日月地帯」と呼ばれる場所といわれます。(米は約9000年前の中国というのが一般説。)
キプロス島には野生の猫はいないので、飼いならされたのは別の場所、麦の栽培がキプロス島に伝わるとともに飼いネコも伝わったのではないか?
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―― これが説のあらましとなります。
(※ この仮説については、続きのエントリ も参照のこと。結論から言うと、「穀物栽培の伝播とともに飼い猫が広まった」という説は間違いと思われます。ギリシャで猫飼育が始まった証拠は紀元1世紀。それと現在のところ、エジプトがローマ属州になる以前にエジプト以外の地域で猫が飼育されていた証拠が出てきません)
さて。
次にDNA解析について元論文からひろってきた図を貼り付けます。
ぶっちゃけ一枚目の系統樹みたいな図の見方はわかりません! DNAの似てる比率から系統樹を作成してるのか? 途中に入ってる数字は…何だろう。
(追記) どうやら遺伝子は時間経過とともに変異していくので、変異率から系統の分岐した時間を逆算しているらしいです。
次の図はわかりやすい。
これを見ると、世界中のネコたちの遺伝子分類による内訳がわかります。
(円グラフの中に入っている数字は、その地域で調べたネコの匹数と思われる。論文の最初の方で、「979匹の家ネコと野生ネコの遺伝子を調べた」と言ってるので。)
要約すると、母系でしか遺伝しないミトコンドリアDNAから調べた結果、世界中のネコは全部で5つの母集団に分かれている。その中でリビアヤマネコとイエネコが同じカテゴリに入るため、イエネコはリビアヤマネコから派生したという従来説を裏付けるものとなる。また、リビアヤマネコの中でも、現在中東に住むものはイエネコとほとんど遺伝的な差異が無いため、中東のリビアヤマネコが直接の祖先と思われる。
また、この論文で調べた範囲内のイエネコについては、最低5匹の母ネコから発生しているとのこと。「調べた範囲内」で辿れるミトコンドリア・イヴが5匹いるってことですね。
(追記) ここでミトコンドリアDNA(図中でmtDNAと記されている)について注釈を。
ミトコンドリアは、人間にもあるし、あらゆる動物の細胞にある、その生物のDNAとは別に独自のDNAを持つ細胞器官。通常の細胞DNAと違い、ミトコンドリアのDNAは雌/女性からしか受け継がれません。精子と卵子が出会ったとき、精子側のミトコンドリアは卵子に侵入できず破棄されてしまうからです。つまりミトコンドリアDNAの分析からでは父親が何かはわからない。
ということで、ミトコンドリアDNAだけの分析であれば、血統書つきの飼い猫にもかかわらず野生のヤマネコという結果が出る―― といった状況も在り得るわけです。(ヤマネコと交雑した場合は、そうなる。ただし基本的にイエネコはヤマネコとは交雑しない。)
世界的に見ると、飼い猫のミトコンドリアDNAは圧倒的にNear Eastern Wildcat、祖先であるリビアヤマネコの遺伝子を濃く受け継いでいます。しかし、一部にはCentral Asian Wildcatの血も混じっている。紫色はCentral Asian Wildcat、中央アジアの野生の猫のぶぶんです。イエネコは基本的にヤマネコとは交雑できませんので、まだ飼育されて初期のころ(= 原種のヤマネコに近い) に交雑したものと考えられ、ここからイエネコは中東付近で飼いならされた説にたどり着いているようです。
ほかに、中国の一部のネコだけは、「Chinese desert cat」(濃いピンク色)と黒い線で描かれた砂漠に住む砂漠猫(サンドキャット)は、母系で見た場合、世界にいる5つのヤマネコの集団のうち、イエネコとは一番関係が離れていて、イエネコの元となったリビアヤマネコとは遠い昔に分かれたのだと理解できます。
アフリカ南部に広がる水色はSouth African Wildcatに微妙にオレンジが混じっているのが謎ですが… ネコが砂漠を越えるのは難しいので、論文内で言われているように人間が運んだと見るべきでしょうか。でも南アフリカにもイエネコいるんだな。ヨハネスブルグの飼い猫って生きていけるんだろうか…(何
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という感じです。
中の人の脳みそスペック的に、ここらへんまででイッパイイッパイなんで、もうちと遺伝子用語とかわかる人がいたら解説しなおしてください(^^;
あとこの記事で修正前にヨーロッパのヤマネコ(ヨーロッパオオヤマネコ。参照これ)とイエネコが交配したかもしれないと書きましたが、冷静に考えると大きさ的にムリですね。トラとネコではナニ出来ないわ。(おい
どうでもいい話ですが、なんでネコの起源を調べ始めたかというと、「中国ではネコ料理があるらしい」→「ネコ大好き古代エジプト人が聞いたら暴れるな」→「中国4000年vs古代エジプト5000年バトルでどうだろう」 という友人との会話からでした。そんななので、中国のネコは他地域の飼い猫とあまり接触がなく母系遺伝で見ると独立してるように見えるっていうのは、皮肉な結末だったり。ネコも仙人か…。
しかし、あんなバカ話からこんなことになるとは…。
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Wikipedia(英語)の「Cat」の項目
Until recently the cat was commonly believed to have been domesticated in ancient Egypt, where it was a cult animal. However, in 2004, the earliest known location of cat domestication was discovered to be ancient Cyprus, and a subsequent study in 2007 found that the lines of descent of all house cats probably run through as few as five self-domesticating African Wildcats (Felis silvestris lybica) circa 8000 BC, in the Near East.
↑の適当和訳
『最近まで、一般的に猫が飼いならされたのはネコが信仰対象でもあった古代エジプトだったと信じられていました。
しかしながら、2004年に、最も早く猫を家畜化したのが古代のキプロスであると発見されました。そして、その後の研究によって、2007年、すべての飼い猫の家系は、紀元前8000年頃に近東でアフリカの野生の猫(Felis silvestris lybica=リビアヤマネコ)から飼いならされたわずか5匹だということが判りました。』
ここの書き方はちょっとおかしくて、元論文を読む限り、「キプロスが最も早く家畜化した」とは言ってなくて、「現時点で最も古い家畜化された”かもしれない”猫が見つかっているのがキプロス」が正解です。
これについて、Wikipediaの注釈にもありますが、参考文献は以下のとおり。
Early taming of the cat in Cyprus
2004年9月の「Science」誌(Volume 304)掲載論文。
キプロス島で9,600年前の墓に、人と共に埋葬されたネコの遺体が確認されたというもの。
これは考古学による資料。
上記の要約が↓これ
Oldest Known Pet Cat? 9,500-Year-Old Burial Found on Cyprus(National Geographic)
次に遺伝子分析、母系でしか遺伝しないミトコンドリアDNAによる分析結果が、こちらの論文。(要約ですが)
Driscoll, Carlos A. et al. (2007-07-27).
"The Near Eastern Origin of Cat Domestication" (PDF).
Science 1: e3. doi:10.1126/science.1139518. PMID 17600185. Retrieved on 2008-04-02.
上記は専門用語が訳せなくて意味がよーわからんかったのですが、↓NewyorkTimesの記事が要約してくれています。ここが一番わかりやすいかな。
Study Traces Cat’s Ancestry to Middle East
------------------------------------------------------------
注意:
このエントリ及び、続きのエントリについては、2007年と比較的新しい研究が元になっております。また、論文を解釈しているのは、ただの物好きであるこのブログの管理人:岡沢です。
よって、今後の研究によって内容が新証拠によって覆される可能性、及び岡沢が解釈をミスっている可能性は大いにあります。そこらへんは適当にご注意ください。