エジプト考古学庁、ルーブル美術館との関係停止 ――Tetakiの墓から盗まれた壁画の返還要求

ルーブル美術館、「盗品」展示=エジプトが協力停止発表 (時事ドットコム)
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2009100700971


例によって、日本語ニュースだと情報量少ないんで海外ソースをあさってみました。

盗まれたものは、ステラ(石碑) ではなく レリーフ(壁画) でした。
AFPソースまた間違ってるぞコレ…。


テーベの王家の谷にある、貴族Tetakiの墓(1908年ごろに発見とのソースがあるが出所不明のため保留)から切り取られ盗まれた4枚の壁画だそうです。
盗難は1980年代ですが、ルーブルが購入したのは去年。 →毎日新聞ソースだと「00年と03年に入手したもの」で、盗品だということが発覚したのが去年だそうです。マリエットも何たる皮肉かと泣いておるぞ…。

実物の画像は発見できずですが、「来世へ向かう貴族の図」とのことなので、まあ墓に描かれた死者の来世ゆきのシーンの一番いいとこ剥ぎ取って持ち出したんじゃないかと。

この壁画の返還を求め、エジプト側は、既に


 ・サッカラの墓地での、ルーブルが支援する発掘を中止させた。

 ・Christiane Ziegler(元ルーブルのエジプト考古学部局長)さんのエジプト講演も中止させた。


だ、そうです。実力行使ですね。
断片を盗品と知りながら入手したことに対する厳重な抗議ということで、ルーブル側も慌てて「協議で結論が出れば返還する」つもり、らしい、そうですが、責任者が語ったわけではなくニュースではよくある「関係者は語る」というやつなので、どうなるかは分かりません。ただ、発掘も講演もシャットアウトされると痛いですから、返還はするしかないよねえ。

今までエジプトは、他国の技術や知識に頼らないと発掘や研究ができなかったんですが、国内の学者さんなども育ってきて、ある程度強気に出られる土壌が出来てきたみたいです。ザヒ・ハワス博士が強気なのもあるんでしょうが。




これで今回、エジプトは、「ウチの国から持ち出した盗品返さんかったら、あとあとエライ目にあうで」と脅しをかけたことになります。どこに対する脅しかとゆーと、主にドイツのベルリン美術館と、イギリスの大英博物館。ベルリンはネフェルティティの胸像をもってて、大英はロゼッタ・ストーンを持ってます。そしてこの2つの重要な遺物に対し、エジプト考古学庁は返還要求を出し続けてました。

ルーブルに対する処置は、ネフェルティティ像が不当に持ち出された証拠は集まりつつある、とザヒ・ハワス博士が語った直後でもあり、次はドイツ狙いでいくんじやないかなあと。来期、考古学庁の長官ポストをご退職されるということもあって、短期決戦でいくんでしょう。




…ちなみに、どーでもいいことですが、盗難された時期が1980年代となっていて、盗難年がハッキリ分かっていないのは、おそらく、しばらく墓を放置していたからだと思われます。エジプト、遺跡めっさ多いんで、重要なもの以外は見張りとかいません。砂漠の中にあった墓が、発掘終了後に埋もれて行方不明になり再発見されました^^ とか、良く聞きます…。ピラミッドの遺構ですら行方不明になるんだエジプト。

Tetakiの墓の発見が本当に1908年だとすると、50年くらい誰も見てなくて、ある日ふと考古学者がたずねていったら壁画がガッツリなくなってたよ!! とか、フツーにありそうだから困る。いや、ていうか、フツーにあったんです。世界中の美術館にある壁画の切り取られたパネルは、だいたいそのようにして持ち出されとりますんで…。

過去エジプトは、国力の問題/国内の人手不足のせいで、あまりキチンと遺跡の管理を出来ていなかったのです。
遺物を盗んで売り飛ばしたのも大半が国内の人間ですし、エジプト側に全く非がないというわけではない。

現在起きている、エジプトと各国の遺物返還要求に関するやり取りのニュースを読むときは、そのへんの事情も頭の片隅においておくと、よりニュートラルな視点で判断が出来るんじゃないかと思います。

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