ザヒ・ハワス博士、ついに本丸・大英博物館に遺物返還要求。「ロゼッタストーン返してよね^^」

ルーブル、ベルリン、そしてお次は大英博物館。
来春でエジプト考古庁を定年退職の予定のザヒ・ハワス博士、ついに本丸・大英博物館に「ロゼッタストーン返せ!」と迫った模様です。

http://www.47news.jp/CN/200912/CN2009120901000110.html

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ベルリン・ルーブルに続き一番難しいところへ…。
ここで突っぱねたら大英博物館もエジプトから締め出されるんでしょか。それはかなり影響範囲が大きいような…。

気になるのは、記事の中で「フランスのルーブル美術館が所蔵する古代エジプト期の「王の石柱」の返還に成功した」と書かれていること。それって以前ネタにしたコレのこと? だとすると一般人の墓の壁画のはずなんだけど…? いつのまに変わったんだ。

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こう返還要求が相次ぐと、世界中のエジプトコレクションはほとんどエジプトに返さなあかんのちゃうか? という疑問を抱く方もいるんじゃないかと思うんですが、エジプトから「合法的に」持ち出された品物もあります。

たとえばエジプト政府ないし過去のエジプト統治者が「譲渡」したもの。
これは、たとえばメトロポリタン美術館にある小神殿なんかがそーですね。あれはアスワン・ハイ・ダムが出来るときに、水没してしまうことが確定して、どうせ沈むんだったらアゲルヨ、解体して持ってってー と言われて持ち出したものだったりします。

パリのコンコルド広場に立ってるオベリスクも、エジプトからフランスに贈られたものですな。(代わりに貰った時計台はソッコー壊れてしまったのに、オベリスクは時を越えて今もたち続けているというオチつき)



他、エジプトから古代遺物の持ち出しが禁止される以前に持ち出されたものとか。

その意味では、19世紀初頭に持ち出されたロゼッタ・ストーンも「盗品」とは言えないはず。ナポレオンが沢山学者を連れて行ったお陰で、当時手も付けられていなかった遺跡の貴重な記録が沢山残ったんだから、正式に譲っちゃえばいいんじゃないのか。それとも、最終的にフランスではなくイギリスが持ってっちゃったことが気に食わないのか。

ロゼッタ・ストーンは、イギリスのエジプト・コレクションにおける最高のものの一つ、という位置づけだし、大英博物館でもエジプト部門の入り口にどかんと置かれているもの。売店ではロゼッタ・ストーングッズが山盛り売られていたりして、経済効果も大きそうな代物です。

博物館の「顔」とも言うべきモノを、そう簡単に渡すわけにはいきません…
おそらく最後は政治的な話になって、「エジプトで公演や発掘を拒否された場合の損失」と「ロゼッタ・ストーンを変換した場合の今後の大英博物館の損失」+「英国人のプライド」が秤にかけられるんではないかと。




個人的に、ロゼッタ・ストーン返還は難しいし、必要なかろうと思ってます。


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オマケ

これが秀逸。 :Dr Zahi Hawass' Most Wanted
http://www.flickr.com/photos/pradpatel/4117397798/

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