マチュピチュで豪雨 のニュース補足@遺跡周辺の気候条件

少し前…
ペルーにあるインカ時代の遺跡、マチュピチュ付近で豪雨が降り、クスコが冠水、道路が切断されて日本人含む多くの観光客が遺跡に取り残されたというニュースが流れていた。マチュピチュ(Machu Picchu)は、標高約2400mの高地に位置し、かつてのインカの首都クスコ市は、約3500m。富士山が3800m程度であることと比較すれば、相当な高さにあることは理解できるだろう。

なぜ、そのような高地に豪雨が? と思うかもしれない。
しかしペルー周辺の気候では、実は 高地ほど雨が降りやすい ようになっているのである。


インカの都市の多くは、アンデス山脈に築かれた。アンデスは最高峰で6000mを越す山を持つ峰峰の連なりで、それ自体が巨大な「壁」と化している。その壁に向かって、南東から貿易風が吹いている。貿易風とともに南方から呼び寄せられるのは、南極付近を経由する冷たい「フンボルト海流」。
風はアンデスに阻まれ、太平洋沿岸を岸に沿って北上する。そしてペルー周辺も通過していく。

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さて、雲は、水蒸気から出来ている。
当然ながら水が蒸発しないと出来ないわけだが、海はもちろん水の塊なので、たとえ冷たい水であっても、一定の量が蒸発する。その水蒸気が海から陸へと吹き寄せられるわけだが、平地の気温が高ければ水蒸気は雲にはならず、高い山に至り気温が下がると雲になる。

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で、貿易風が山に向かって吹き寄せながら海の水蒸気を運び、しかし山が高いため出来た雲は峰に引っかかり… かくて山には雨が沢山降る。雨季は12月~3月。まさに今のシーズンだ。


マチュピチュやクスコのあるあたりの標高は、専門用語で「ケチュア」と呼ばれる地域である。年間降水量は250mm~500mm。しかし実はもっと高い山の上に行くと、雪が降るため降水量は500mmを越える。年間250mmというと、日本とくらべると少ないように思うが、エジプトの首都カイロの20倍近く。北京の8割くらい。決して少ないほうではない。

雨が標高の高いところで降る間、海岸部は乾季になっている。


では季節が逆転するとどうなるのかというと、雨量は少ないながら、いちおう海岸部にも雨季があり、その頃には逆に山間部の雨量は少なくなる。

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こんな感じ。
貿易風が弱まると、北上するフンボルト海流の勢いも衰え、赤道付近から南下してくる温められた海流が全体的な海温を高くする。(エルニーニョ現象、海温の高い範囲が変化することで台風の発生頻度が変わったりする)
山に向かって吹き寄せる風も弱まっているため、海に近い平地でも雲が出来る。


※ものすごいザックリした図です。本来はもーちょっと細かい条件もあります



と、いうわけで、マチュピチュ付近ではもともとこの季節は雨が多いんだけど、何かの条件で突発的に雨雲が集中してしまったのが今回の事象なのだろう。貿易風が強すぎたとか、エルニーニョ現象が関わっているとかあるかもしれないが、そのへんはあまり詳しくないので分からない。

ちなみに、ガラパゴス諸島の生態系にも、この冷たいフンボルト海流が関わっていたりする。
http://rikanet2.jst.go.jp/contents/cp0220f/contents/02/020401.html ←音出ます注意。

ペルー周辺の太平洋岸の地域は、太平洋の循環が生み出した気候の上に作られているといえよう。

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