古代エジプト宗教からコプトへのミッシング・リンク

広く知られているとおり、古代エジプトはかつて、独自の神々をあがめる宗教を持っていた。
しかしその後、ローマ支配の時代を経て急速にキリスト教化されていく。現在もエジプト全体の約1割はキリスト教徒、カイロにおいては2割までもがそうだというから、実に強固な信仰の下地があると言える。

エジプトのキリスト教は、コプト教と呼ばれている。コプトはエジプトのこと、つまりコプト教徒は古代エジプトの血を引く、我こそはエジプトの正当な後継者と自負している人たちと言ってもいい。彼らは何処かの時点で先祖代々の古代エジプト宗教を捨て、キリスト教の教えを受け入れたという過去を持つ。その変化は、誰かに押し付けられたものでもないのにあまりに急速で、1世紀の終わりごろには既に多数の人々(とくに、外国からの影響の大きかったカイロ以北とアレキサンドリア)が改宗していたように思われる。



 人の信仰を変えるものとは何か。


さいごの女王クレオパトラ7世が死に、プトレマイオス朝が幕を下ろす紀元30年以降、キリスト教(コプト教)が広まりだすまでの百年に満たない間に、エジプト人の心理に一体何が起こっていたのかが知りたいと思う。

一説には、エジプト人はオシリス・イシス信仰を初期キリスト教の中に見ていたのではないかという。
死せる主の蘇り、聖家族、三位一体… キリスト教が古代エジプト宗教のエッセンスを取り込んでいるのは偶然ではなくて、そもそもエジプト人がそれを好み選択して取り込んでいったからではないかとも。しかしそれが全てとも思えない。

歴史の中にほんの僅かに見える隙間に、宗教とは何かという本質的な問題が潜んでいるような気がしている。





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村山 盛忠

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↑コプト教について分かる数少ない日本語の本のひとつ。
薄いわりに、情報は豊富でしかも読みやすい。
キリスト教の伝道師として、日本からはるばるエジプトへ飛んだ牧師さんの手記。
古い本なので古本屋で探すべし。

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