4/25は聖マルコさん記念日

画像


ヴェネツィアの守護聖人でもある聖マルコ(「マルコの福音書」を書いたといわれる人)の記念日は4/25。
マルコさんは現在ではヴェネツィアの守護聖人だが、もとはエジプトにいて、828年、アレキサンドリアからヴェネツィアに運ばれた。

このとき、ヴェネツィア商人たちはほとんど盗人に近いことをしでかしたようで、遺骨(とされている)をイスラム教徒が嫌う豚肉の塩漬け樽の底に隠して運んだのだという。タテマエとしては「異教徒が支配するアレキサンドリアに置いといたら害を受けるかもしれんじゃん」ということだったが、まぁ単に手ごろなアリガタイモノが欲しかったのですな(笑) 中世にはよくあった、聖遺物の盗難、「フルタ・サクラ」という行為。

聖遺物のあるなしで教会や町の格付けが決まる時代… まぁ聖遺物の盗難というのは良くあることで、同じキリスト教会の中でも、欲しい遺物のある教会に修道士を送り込んで盗ませるというような無茶苦茶な手口もあったり…。

そんなわけで、聖人の誘拐 と言えなくもないのだが、誘拐犯の町を今も守護しているというのだからマルコさんは健気なお方である。誘拐された土地とはいえ、一等地に立派な事務所(12世紀、サン・マルコ寺院完成)を貰って、それなりに良い暮らしをさせてもらって納得したのかもしれない。

画像


画像



ちなみにマルコさんのシンボルは冒頭の写真にもある「有翼のライオン」だが、これは2世紀以降、マルコさんの死後に成立した概念であるらしい。2世紀ごろの哲学者が、黙示録にちなんで「福音書書いた4人それぞれに、黙示録に出てくる動物をあてはめよう」と言い出して…

 聖マルコ=有翼獅子
 聖ルカ=有翼牛
 聖ヨハネ= 鷲
 聖マタイ=有翼人

こうなった、と。
つまり実は ライオンはもともとマルコさんと何の関係もなかった にも関わらず、今では「聖マルコといったら有翼獅子でしょ」といわれ、有翼獅子を見ると「ああ、聖マルコさんを意味しているのか」と判るようにまでなってしまったわけ。

これを初音ミクで喩えるならば、オフシャルミクはネギなんか持ってなくて元々ネギとは何の関係も無かったのに、二次創作やファンアートでネギが広まるにつれ、「ミクといったらネギでしょ」と言われるようになり、やがてはネギが描かれただけで「ああ、ミクを意味しているんだな」と分かるようにまでなり、ネギそのものがミクになってしまうというようなこと。シンボルというのは一人歩きするものなのだ。



ちなみに、福音書の著者たちを動物として描く文化は8世紀ごろに始まったという。
キリストの周囲にいる、翼の生えた人、牛、獅子と鷹の下にはそれぞれ、マタイ、ルカ、マルコ、ヨハネの名前が記されている。

この図は実はタロットカードの「運命の輪」にも使われていることがある。ただ、これは福音書の作者を意図したというより黙示録の動物を出したかっただけかもしれない。

画像




最後のほうは余談になったが、要するに…



 誘拐されても祟りのひとつもくれてやらず
 健気にヴェネツィアを守護してるくらい出来た聖人様なら
 シンボルの獅子をこんなことにしちゃっても
 怒らないよね! きっとね!

ってことです。うん。二千年近く聖人やってるんだし、このくらい許してくれるよね…




***

修道士の生活+少女漫画 という新境地を是非お楽しみください。
修道士ファルコ(元騎士)と修道士オド(元役人)のコンビがお気に入り。

修道士ファルコ (白泉社文庫)
白泉社
青池 保子

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by ウェブリブログ商品ポータルで情報を見る

この記事へのトラックバック