文化は世界と通ず 東京国立博物館

お花見ついでに、東博こと東京国立博物館へいってきた。
http://www.tnm.go.jp/jp/servlet/Con?pageId=X00/processId=00


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特別展で行くことはあっても常設展をじっくり見るというのがあんまり無かったので、常設展だけ見て回ったのだが、こいつがなかなかすごい。さすが国立博物館。国宝・重文ざっくざく、なんか教科書で見たことあるやつが次から次へ出てきて、懐かしくなったり嬉しくなったり。

しみじみ思うんだけど、「ウチの国はこれこれこういう歴史があります(キリッ」て言えるのは、幸せなことだと思うのよ…。
民族が生まれた土地にもう住めなくなっていたり、物的証拠が戦乱などで破壊されて存在しなかったり、という状況だったら、自分たちのルーツを語る口伝の伝承や宗教のようなカタチのないものを寄り代にするしかないわけで。今、ここにいる自分が、遠い昔の誰かから繋がっているという確信を持てることは重要だと思う。

歴史なんて無くても大したことないだろうと思うかもしれないけれど、仕事でもなくどこか遠い国に行って、ただ一人の人間として在る時、「お前は誰なんだ」と問われて答えるとすると、相手に価値を認めてもらえる返事っていうのは、たぶん、「私は日本人です」という答えだけだと思う。国に帰属しているつもりはなくても、愛国心など持っていなくても、完全な外のコミュニティの中で真っ先にその人を規定するものは、性別を覗けば「国籍」や「民族」だろう。

日本人は、自国の歴史にもっと興味を持ったほうがいい。誇りを持つかどうかは別としても。






さて、東京国立博物館。

ここで面白かったものは何かというと、日本のものに混じって中国のものが沢山あったということ。正倉院宝物庫しかり、陶器しかり。渡来モノは「ああ、これ日本のものじゃない」とすぐに分かるのだけれど、日本のものによく似ている。中国から入ってきた文化が日本で熟成されて変化していくさまがよく分かる。

で、中国モノを見たあとに表慶館に行くと、ペルシャやアッシリア、エジプトのものなんかもあるわけです。中国の図像の一部、模様のモチーフなんかは西アジアの影響を受けていて、中国とアッシリアを並べるととても近い。さらにアッシリアとエジプトを並べると近い。文明は一方向に流れるわけではなく、多くの場合は相互作用なので、どっちがどっちをパクったというわけではなく、影響しあってなのは勿論だけど、展示品を見ていくにつれて世界が繋がっていくのが分かる。

日本とエジプトの美術品は、そりゃあんまり似てないけど、エジプトからアッシリアに200年かけて伝わって、アッシリアから中国に200年かけて伝わって、中国から日本に200年かけて伝わって… という感じで伝播していけば、600年後にはエジプト人の思いついた「俺の考えるカッコいい模様!」が、日本に入ってくることも出来なくはない。文明の道は時間と空間を越えてどこまでも繋がっていくわけだ。


 人は、一人では自分になれない。
 文明もまた、たった一人で花を咲かせるわけではない。


世界は一つ、だの、皆のために、だの奇麗事は言わないけれど、今ここにいる自分と今ここにある世界は、色んな人たちが繋がって作り上げてきたものだということを忘れちゃダメなんだぜ。



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で、東博にあるミイラさん。

http://www.tnm.jp/jp/servlet/Con?processId=00&ref=2&Q1=&Q2=&Q3=&Q4=________9____&Q5=&F1=&F2=&pageId=E15&colid=TJ1835

100年ほど前のエジプト学者で、ハワード・カーターとケンカした(笑)マスペロさん寄贈というこちらのミイラ。今は展示されていないんだけど、棺の表面が黒い樹脂のようなものでベッタリ塗られている。

棺には、持ち主の名前や呪文が書かれているもの。それを消してあるのは一体どういうことやねん? と、という話が、王家の谷のKV63発見時にも言われていたと思う。でもそれは、KV63から見つかった棺だけの話ではなくて、他にも同様の例があって、しかも日本で見れたりする。どーもこれ、棺の名前を消すためとかじゃなく、葬式の時にぶっかけたオイルが変色して真っ黒になっちゃったか、防腐剤が化学変化しただけじゃないの? という気がしなくもない…。

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