古代エジプト人はチーズを食べたか

パンターチーズでふと思い出した件。
古代エジプト人は乳は飲んでいたがチーズやバターはあまり好きではなかったらしい。いちおう伝わったはつた弱ったもんの、一般的にはならなかったという説をどこかで読んだことがある気がして、改めて調べてみた。


家畜の乳はおそらく古くからそのまま飲まれていたと思われるが、そこからヨーグルト、チーズ、バター等の乳製品が作られたかどうかについては明瞭な証拠がない。
バター作りに用いられる土器製のチャーンは、ナカダ一期末~二期初頭に平行する時期に、デルタのブトやマーディにパレスチナから持ち込まれたことが知られているものの、エジプトにその伝統は根付かなかった。他方S・ヘンドリックス等は、比較的容易に作れる発酵乳(ヨーグルト)が、先王朝時代ナカダ三期頃からエジプトでも作られ始めたことを示唆している。その根拠は、この頃から登場する稜を持った浅鉢形土器と小型の壷形時が、発酵乳作りと保存に用いられた可能性が高いからであった。この指摘が正しければ、乳製品に関しても、先王朝時代に調理方法の開発によって利用幅が広がったことになる。

古代エジプト文明社会の形成/高宮いづみ/京都大学学術出版会



分かりにくいと思うので、これをもうちょい初心者向けに言い直すと、「ヨーグルトやチーズやバターは、エジプトに統一王国ができる以前の時代に、パレスチナ方面からナイル下流に入ってきてたんだけど、エジプト全土に広がったかどうかいまいち分からんのだよ…」 ということ。チャーンというのは現代でも使われている用語で、ググると円柱形の容器とかくはん用の棒がセットになった機材が出てくると思う。それの原始的なやつがエジプトから出土はしているということ。

ちなみに「ナカダ期」というのは、日本でいうところの縄文時代とか弥生時代みたいな時代区分のことで、紀元前4000年頃(つまり今から6000年くらい前)に始まった。代表的な遺跡がナイル上流のナカダという地名の場所なので、ナカダ期と呼ばれている。エジプトに最初の統一王国ができるのがナカダ三期。エジプト全土が、ナイル上流から始まったナカダ文化に染まり、ヒエログリフの使用も開始される。ナカダ三期後半は「第0王朝」と呼ばれることもある。
(王朝が始まるより前の時代なので、大きく分けると「先王朝時代」というわけだ。)


ナカダ三期からヨーグルトが作られ始めたということは、要するに、統一王国ができた頃からヨーグルトは作られていたんだよ、ってこと。



で、まあ、ヨーグルトはともかくチーズやバターはいまいち根付かなかったという話なのだが、これは古代エジプト人が乳製品嫌いだったわけではないと思う。ヤギや牛の乳は飲んでいたようで、壁画などに乳搾りのシーンが描かれることがあるし、子供が牛の乳にじかに口をつけてゴクゴクやってるシーンなんかもある。

なので理由を推測すると、たとえば

・作るの面倒。(エジプト人だしな…)
・塩が手に入りにくい?(入れなくても大丈夫そうだが、腐るかも?)
・暑いと作りにくい?(どうなんだろう…)

あたりなのかなぁ、と思うが、単純に 当時のチーズ・バターの味がパンと合わなかった とか、そんな理由のような気もする…。
(古代エジプト人はパンが大好き。歯が磨り減るくらいパンを食ってた)



古代エジプト文明社会の形成―諸文明の起源〈2〉 (学術選書)
京都大学学術出版会
高宮 いづみ

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ままあれだ。




古代エジプトにパンダはいないから

チーズ食うことを拒否しても大丈夫。

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