ばあちゃん家のニオイを構成する成分を予想する
愛用していた座椅子がいい加減そろそろダメそうなので、廃品回収に出すことになった。
陽だまりで本読むときに使っていたやつで、暑い日も寒い日も座り続け、上でゴロゴロし、伸びをし、ときどき御茶屋おやつもこぼし、時に足をひっかけてけつまづき、そんな座椅子である。ひっくり返してみたら、裏地が完璧に破れていた上に人の顔に見えなくもない染みのようなものがじんわりと浮かび上がっていたので頃合だと思った。これ以上使いこむと 何かが憑依してしゃべりだすかもしれない。
さて、椅子をかたしているときにフト思ったことなのだが、うちの座椅子からは、ばあちゃん家特有の「あのニオイ」がしない。使い込まれた古い座椅子、畳の床… 条件は同じはずなのに、あの、ばあちゃん家の座椅子から仄かにかほる「ばあちゃん家臭」は微塵たりとも感じない。老人の体のニオイとも違う、妙に所帯地味て古びた、嗅ぐと無意識に「昭和」の二文字が浮かぶあの形容し難い香り…。
あの香りの根源は、ただ「ふるい」ということだけではなかったのか。
そう思うと、いかにすれば再現できるのだろうかと疑問に思えてきた。そもそも、あの、ばあちゃん家の「昭和スメル」を構成している成分は一体。
ばあちゃん家にあって、うちにないもの。
それは…
予想するに、
(1) ふきん
台所にやたらと置いてある台所用のふきん。窓のところに手ぬぐいかけをくっつけて干してあるやつ。
米の炊き汁とか醤油とかのニオイがごっちゃになって染み付いている感じの。
臭いわけではない。生活臭がっつりって感じ。
(2) ピコレット
と、表現していいのかどうかわからない、トイレの安い芳香剤。匂いを発散するとじょじょに縮んでいく奴。やたらとニオイが強烈。ドアノブにかわいらしいカバーつけてるのもあいまって、あの香りが染み付いてる。
(3) 畑と空き地
土間(?) とベランダから常に流れ込んでくる田舎の香り。土の匂いとでもいうべきか。雨上がりにむわっと地面から立ち上る、ああ地球は今日も生きてる 的なやつ。田舎民ならきっとわかるよね。
(4) じいちゃんの整髪料
シャンプーじゃなくて油みたいなやつ。ちょっと黄色くてドロっとしててガラス瓶に入ってるアレ。
トイレ前までいくとやたらと匂う。
(5) 仏壇
というか、お線香の香り。仏間から居間にかけての空間の大部分を支配する、染み付いたあの香り。
仏間は涼しいので昔よく昼寝していて慣れてしまっていたのだが、久しぶりに嗅ぐと意外と強烈だったり。
…… 以上、「昭和スメル」の成分を思いつく限りあげてみたのだが、なんつーかこれ、成分だけ見るとあんまりいい匂いじゃないように見える。(笑) 実際は、懐かしくて落ち着くような、甘酸っぱくて二度と思い出したくない子供の頃のあれこれとか、そんな記憶を呼び覚ましてくれる匂いなのだが。
線香とピコレットだけでかなり「昭和」な気分になれそうな気もするので、いつか思いついたらちょっち試してみたいと思う。
そして多分死ぬほど後悔すると思う。
思い出は、二度とその時に戻れないからこそ美しく、切ない。
過去に戻れちゃったらそれはそれであれだ悪夢だ、ははは。
陽だまりで本読むときに使っていたやつで、暑い日も寒い日も座り続け、上でゴロゴロし、伸びをし、ときどき御茶屋おやつもこぼし、時に足をひっかけてけつまづき、そんな座椅子である。ひっくり返してみたら、裏地が完璧に破れていた上に人の顔に見えなくもない染みのようなものがじんわりと浮かび上がっていたので頃合だと思った。これ以上使いこむと 何かが憑依してしゃべりだすかもしれない。
さて、椅子をかたしているときにフト思ったことなのだが、うちの座椅子からは、ばあちゃん家特有の「あのニオイ」がしない。使い込まれた古い座椅子、畳の床… 条件は同じはずなのに、あの、ばあちゃん家の座椅子から仄かにかほる「ばあちゃん家臭」は微塵たりとも感じない。老人の体のニオイとも違う、妙に所帯地味て古びた、嗅ぐと無意識に「昭和」の二文字が浮かぶあの形容し難い香り…。
あの香りの根源は、ただ「ふるい」ということだけではなかったのか。
そう思うと、いかにすれば再現できるのだろうかと疑問に思えてきた。そもそも、あの、ばあちゃん家の「昭和スメル」を構成している成分は一体。
ばあちゃん家にあって、うちにないもの。
それは…
予想するに、
(1) ふきん
台所にやたらと置いてある台所用のふきん。窓のところに手ぬぐいかけをくっつけて干してあるやつ。
米の炊き汁とか醤油とかのニオイがごっちゃになって染み付いている感じの。
臭いわけではない。生活臭がっつりって感じ。
(2) ピコレット
と、表現していいのかどうかわからない、トイレの安い芳香剤。匂いを発散するとじょじょに縮んでいく奴。やたらとニオイが強烈。ドアノブにかわいらしいカバーつけてるのもあいまって、あの香りが染み付いてる。
(3) 畑と空き地
土間(?) とベランダから常に流れ込んでくる田舎の香り。土の匂いとでもいうべきか。雨上がりにむわっと地面から立ち上る、ああ地球は今日も生きてる 的なやつ。田舎民ならきっとわかるよね。
(4) じいちゃんの整髪料
シャンプーじゃなくて油みたいなやつ。ちょっと黄色くてドロっとしててガラス瓶に入ってるアレ。
トイレ前までいくとやたらと匂う。
(5) 仏壇
というか、お線香の香り。仏間から居間にかけての空間の大部分を支配する、染み付いたあの香り。
仏間は涼しいので昔よく昼寝していて慣れてしまっていたのだが、久しぶりに嗅ぐと意外と強烈だったり。
…… 以上、「昭和スメル」の成分を思いつく限りあげてみたのだが、なんつーかこれ、成分だけ見るとあんまりいい匂いじゃないように見える。(笑) 実際は、懐かしくて落ち着くような、甘酸っぱくて二度と思い出したくない子供の頃のあれこれとか、そんな記憶を呼び覚ましてくれる匂いなのだが。
線香とピコレットだけでかなり「昭和」な気分になれそうな気もするので、いつか思いついたらちょっち試してみたいと思う。
そして多分死ぬほど後悔すると思う。
思い出は、二度とその時に戻れないからこそ美しく、切ない。
過去に戻れちゃったらそれはそれであれだ悪夢だ、ははは。