チリ落盤からの生還者「大地母神パチャママに感謝する!」(※インカの神)

テレビのワイドショーは、チリの落盤からの生還者を「ただいま○人目を救出中!」とか、ライブ中継すんのヤメレ。

久しぶりに朝のワイドショー見てビビったわ… こんな頭悪くなりそうなもの流すんだっけ、テレビって…。低俗にもほどがある。人の不幸を面白がってるようにしか見えないし、そもそもそんなことよりもっと流すべき大事なことがあるだろう。
最近では新聞も似た様なもん、というか、テレビに飽きて朝日新聞を手に取ったら天声人語の欄がちょうどチリの落盤の話を取り扱っていて、しかもその内容がどーでもいいような話でうんざりした。天声人語が受験に役立つなんてウソだろう。あんな内容のないただのポエムが何のやくにたつというのだ。


…そもそも、チリのあの鉱山の落盤事故って、ろくに安全管理もせずに見切り発車・利益優先でガンガン掘り進めてたら発生したもんなんですわ。チリでは鉱山の落盤事故はとても多い。
もともと人命使い捨てのつもりで送り込んで、たまたま助かった人がいたからコレ幸いと大統領が支持率回復のためにショー化したのが今回の救出劇なわけで、それに何も考えずに乗っかってワーキャー言ってるワイドショーって何なんだろうね。

根本原因は何も解決されていないので、チリではこれからも落盤事故が相次いで、ガンガン人死ぬんだと思うんですけど。
たぶんそんなの報道されないよね。

…33人以外の、助からなかった人の家族にどんな顔すればいいんだろう、とか、少しでも考えてみればいいのに。






と、いろいろイラッとさせられた既存メディアなわけですが、朝日新聞の記事にあったこの一文にピクっと反応。


  「大地の神パチャママに感謝する」


ソース
http://www.asahi.com/international/update/1013/TKY201010130516.html

画像


サラっと言ってますが、これ、インカ時代の神様ですから。

たぶん記者は何も考えずに、言ったことそのまま書いてるんだと思うんですが、九死に一生を得たときに真っ先に出てくる名前が「パチャママ」ですよ。公式記録ではクリスチャン90%のこの国で、人々が真っ先に祈るのが大地母神パチャママなんですよ。


以前、インカの発掘現場についてのエントリで、「リマ市での発掘では、発掘前にパチャママへの捧げものをするらしい」という話を取り上げたんですが…↓

インカの遺跡発掘現場
https://55096962.seesaa.net/article/200811article_9.html


インカの神、いまだバリバリ現役であることが判明。

大地母神であるところのパチャママは一部聖母マリアと同一視されているところもあるんですが、しかしパチャママへの感謝はトウモロコシで作った酒(チチャ)を大地に注ぐことで行うというから、インカ時代から変わらず続く信仰があるんだと思う。
インカ文明、なにげに息が長い。王政が崩壊しても民衆レベルでは変わらないこともあるんだなぁ。と、こんなニュースの片隅でしみじみと思ってみる次第。


#ちなみに

アステカもインカも、べつに文明として滅びたわけではないです。
ただ、疫病や戦争で短期間で大量に人が死んで伝統の多くが失われたのと、王侯貴族を含む神官などの知識階級が優先的に殺されたり捕虜になったりしたので文字や儀礼など特権階級しかもっていなかった知識が失われてしまったのです。

なので、生き残った一般レベルの民衆は、過去の伝統をそのまま受け継いで今に至るという。
インカの労役に金鉱掘りとかありましたが… 子孫は、いまも鉱山で働いてるんですね…。

※参考
https://55096962.seesaa.net/article/200909article_5.html

アステカ(メキシコ) →100年で人口の約90パーセントが消失
インカ(ペルー) →100年で人口の約50パーセントが消失

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