突撃! 古代メソポタミアの晩ごはん

何となく買って積み本になりかけていた「最古の料理」をひとまずクリア。
めっちゃ面白い、というほどでもなければ、つまんなくて寝てしまう、ほどでもない、まあまあな本。

最古の料理 (りぶらりあ選書)
法政大学出版局
ジャン ボテロ

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ただ法政が出しているものなのでハズレではないです。特に、この本の著者の後書きにある、↓このあたりは

今日知られているなかではもっとも古い「世界最古の料理」、メソポタミアの料理に関する「手引き書」の類を著そうとする意図も、頭の片隅にさえなかった。このような、われわれが無邪気にも待望しかねない著作は、断固として破棄されなければならない。心ある賢明な歴史学者が、そのようなものを書くわけがない。われわれが手にしている資料はあまりに少なくまた一面的である――最大でおよそ五十点ほどのレシピにすぎない――。


古代エジプトのレシピ とかいう本を嬉々として発刊したり、古代エジプト料理と銘打ってレストランで売らせたり、あまつさえそれを博学論文の代わりにしようとしたりする、どっかの自称エジプト考古学者には 是非とも見習っていただきたいものですよね・・・・!


文字の読み書きの出来る人間がごく限られていて、筆写道具もそう簡単に手に入らなかった古代において、レシピなんぞという覚えちょれば済むようなものをイチイチ保存用に書き記したりはしないのですよ。家庭料理のレシピはまず残らない。残っているとしたら、一年に一回くらいしか作らないような祭りの料理、特別な日に作る行事用、王や神に捧げられるもの、など、特殊な料理のレシピや、祭事記録としての料理の記録。

たとえば、こういうやつ。

小魚カマル180匹を
王と従者たちの食事用に受領。
シャルム・キマ・イリの決済。
キスキッス月三十日。

ARM XXI,no.90


ここから詳しい料理法や味まで再現するなんてのはまず無理で、辛うじて食材が判る程度だ。
「油1リットル」とあったとして、その油は何の油で、どんな製法で作られたものだろうか。
「アラッパーヌビール」とは、どんなビールか。
現代でいう「小さじスリきり一杯」のような独特の言い回しがあったとしても、現代人には、正確な訳が困難だったりする。

古代人のレシピを手にしたといっても、そこから正確な料理を再現することは、永遠に不可能だというのが正しい。



だからこの本は、古代メソポタミアに生きた人々の台所に、どんな設備があり、どんな食材が並び、料理するためにどのくらい手間をかけていたのか、などを知るためにある。祭りの日にどんな食べ物を捧げていたのか、王の食事は誰が用意し、一度にどのくらいのごちそうを準備したのか。基本的な生活のレイアウトは古代エジプトと大して変わらないので、たぶん自分には想像がつきすぎてあんまり目新しくなかったのだと思う。古代メソポタミアの生々しい生活を空想するのにあまり慣れてない人には面白いかも。

しかししみじみと思うのは、文化とは食の豊かさと連動しているよなー、ということ。
古代文明がある程度発達していた地域は、だいたい、その当時から多種多様な食材をさまざまに料理してきた歴史がある。食糧生産が安定して、余剰作物がなければ「文化」と呼べるものを発達させる余裕がない、ということだろう。

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