超時空要塞☆アッティラ 改め 「覇王伝アッティラ」前編 ~これでもG・バトラー主演なんだぜ…
映画のタイトル思い出せなくて、「超時空要塞アッティラ」だの「機動戦士ハンニバル」だの色々言ってましたが、正しいタイトルは「覇王伝アッティラ」でした…。うろ覚え間違いすぎ! 全然ちげえ!!
2001年の映画。
ゲルマン民族の大移動を生み出した原因とされている、謎の多い騎馬民族「フン族」の実在した王、アッティラを題材にした映画なのですが、何しろ時代が五世紀初頭。フン族自体は文字を持たず、記録はローマ側のものに限られているため、アッティラの素性や、兄弟とされるブレラ、父か叔父とされるルアについては、ほとんど知られていません。
なので空想と愛だけでストーリー創っちゃった、かなり誰得な映画です。はい。
ほとんど軍備もなく、その機動力だけで東ローマを攻撃して一時は壊滅状態まで追い込んだ部族なわけで、当時のローマ人がめっさビビくりまくって記録残しているのでローマ史やってる人なんかだとよく知ってると思うんですよ。
だけど、一般的には、そんなめちゃくちゃ有名な人じゃないし…。
そのアッティラメインで2時間オーバーの作品をやっちゃうっていうのは…。
「誰得」というか、よく企画通ったな…くらいのレベル。
で、感想。
まずアッティラがイケメン。あり得ないくらい超イケメン。何この完璧超人。フン族って「荒野の魔女が生んだ醜悪な悪魔」とか書かれちゃうくらいの蛮族じゃなかったのか。そりゃまぁ主人公なんで多少イケメンでもいいんだけど。「アジア系民族」なのが定説となっていて、匈奴の一派か類する部族じゃないかと論じられるフン族に金髪いるのはどーなの。モンゴロイドは無理でも、せめて黒髪で統一してくれ。
裸馬に平気で乗りつつ信じられないくらいの機動力で強襲する部族… だったはずなのにちゃんと鞍と鐙がついてるし(笑) いやまぁ裸馬だと現代のキャストが乗れないんでしょうけどね。人馬一体の強襲が得意なフン族軍勢に徒歩がいるのはちょっと許せないよ? ゴート族ならともかくフン族で徒歩とか無いよ?
こないだの「ロビン・フッド」のゴドフリーと似たような容姿で似たような立ち位置なのに、何故かとってもカッコいいルアさん。人間は見た目じゃないんだよー…言動なんだよ、やっぱり。
西ゴート王テオドリクさんも参戦。
でも…これテオドリクって言われても全然わからんわ。てか、どっちかっていうとエルマナリクのイメージじゃないの? こんなショボいじいちゃんだっけ…。
ゲルマン系部族っぽさは、いちおうマントの留め金とかで表現されてはいるけど、何かいまいちゴートじゃない…。
(※ちなみにこっちは、ディートリッヒの原型のテオドリクとは別人です。)
「アッティラにラブレターを送った女」、ホノリアさんも登場。
後ろにいるバカづらが、ウァレンティニアヌス3世。アエティウスが孤軍奮闘する影で、このバカ殿が西ローマを滅亡に導いていくわけですな。てか、「東西ローマ」は後世の人間が勝手に呼んだだけだから、皇帝自ら「わが西ローマは」とか言っちゃダメ。
かなりの部分はストーリー作ってますが、歴史上の実在人物がそこかしこに出てきたり、実際に起きた出来事も散りばめられていて、元ネタを知っていれば「あーあれかー!」と思えます。逆に言うと元ネタ知らないと説明少なすぎて意味わからんかもしれん…。
戦闘シーンなんかもリアルにやり過ぎてて、歩兵どうしが激突するシーンは動きがノロいように見えちゃうんですよね。そら徒歩なんだから仕方ないっていうか。武器も、そんなすごい殺傷能力があるわけではないので、この映画当時の戦いでは、一回の戦闘で数十人死ねばたとえ敵側の王が無傷でも戦闘はそこで終わり、だったりします。
あとね。アエティウス×アッティラが狙いすぎです。
いやほんと、深読みしなくてもマズいんだって!
老獪な熟練武将アエティウスと、野心家で年若いアッティラの会話がいちいちヤバいんだって!
「フン族にしておくには惜しい男だな…(フフ」とか
「俺と来ないか?」とか
「いつでも俺のところへ来い。」とか、
いやでも、君たち将来仲違いして戦うんだよね?
結局アエティウス勝利するんだよね?
で、アッティラを倒したあと自分もあのバカ皇帝に殺されちゃって、そのせいで西ローマは異民族に対抗出来なくなって滅びるんだよね?
たまんねぇ…!(暴走中)
あれだ。この映画の監督がその歴史的対立をメインで描きたかったのなら、分かるぞー。気持ちはとってもよく分かるぞー。前半でやたらアッティラと親しくして「強敵と書いて”とも”と呼ぶ」状態を創りだしておきながら、二枚目ディスクの後半で悲しくもお互いの立場のために対立する展開なんだな? で、アエティウスは「だからあの時、お前は正直すぎると言ったのだ」とか言いながら勝利するんだろ? うっは誰得っていうか超俺得。すいません鼻血拭いてきます。
全般的に、「ローマ人はアエティウス以外みんなアホ」「フン族はバカ正直だけどカッコいい奴ら」って感じの描き方だったので、ちょっと新鮮でした。フン族側のキャストにイケメン揃えすぎ(笑
鼻血と脳汁が出過ぎたので、後編はまた明日視聴!
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とにかくアッティラが超イケメン!
ローマ以外の部族の衣装や戦争方法、集落、民俗については若干考証の甘さが目立つ気もしますが、それはおいといて、このへんの歴史に興味ある人はハアハアできます。ローマの腐敗っぷりなんかリアル。皇女ホノリアに「風呂」というものを教えてもらって大喜びしているアッティラが可愛い。
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ちなみに、フン族によるブルグント族の滅亡を題材に後世に作られた叙事詩が「ニーベルンゲンの歌」。
アッティラはエッツェルと名前を変えます。
ニーベルンゲンの歌や、同じ題材を扱ったシドレクス・サガなどは、フン族にフルボッコにされたゲルマン民族側の視点から描かれているので、当然のごとくアッティラおよびフン族は「卑怯なわるもの」または「女に弱い腰抜け」扱い。
歴史に客観的な視点などありません。征服者か、被征服者か、どちらが歴史を伝えるかで印象も事実もいくらでも変わる。たいていは勝者側の視点で作られるのが歴史というものですが、面白いことにこの場合、勝者であるフン族は何も、口伝の類すら残さなかった…ということか。
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ヴェネツィアの町が、あんな住みにくい干潟の上に形成されることになった原因を作ったのも、このアッティラ率いるフン族の猛威だったと伝えられます。
ヴェネツィア発祥の島といわれるトルチェッロ島には、「アッティラの椅子」なる謎の石があったり。歴史は色んなところでつながっています。
フン族は、「服従か死か」を文字通りに実行し、逆らった部族の男は皆殺しにしていたので、生き残るために人々は必死にならざを得なかった…と。
残されたフン族の記録が、その残虐性に焦点を置いたものになったのは自然なことともいえます・・・。
2001年の映画。
ゲルマン民族の大移動を生み出した原因とされている、謎の多い騎馬民族「フン族」の実在した王、アッティラを題材にした映画なのですが、何しろ時代が五世紀初頭。フン族自体は文字を持たず、記録はローマ側のものに限られているため、アッティラの素性や、兄弟とされるブレラ、父か叔父とされるルアについては、ほとんど知られていません。
なので空想と愛だけでストーリー創っちゃった、かなり誰得な映画です。はい。
ほとんど軍備もなく、その機動力だけで東ローマを攻撃して一時は壊滅状態まで追い込んだ部族なわけで、当時のローマ人がめっさビビくりまくって記録残しているのでローマ史やってる人なんかだとよく知ってると思うんですよ。
だけど、一般的には、そんなめちゃくちゃ有名な人じゃないし…。
そのアッティラメインで2時間オーバーの作品をやっちゃうっていうのは…。
「誰得」というか、よく企画通ったな…くらいのレベル。
で、感想。
まずアッティラがイケメン。あり得ないくらい超イケメン。何この完璧超人。フン族って「荒野の魔女が生んだ醜悪な悪魔」とか書かれちゃうくらいの蛮族じゃなかったのか。そりゃまぁ主人公なんで多少イケメンでもいいんだけど。「アジア系民族」なのが定説となっていて、匈奴の一派か類する部族じゃないかと論じられるフン族に金髪いるのはどーなの。モンゴロイドは無理でも、せめて黒髪で統一してくれ。
裸馬に平気で乗りつつ信じられないくらいの機動力で強襲する部族… だったはずなのにちゃんと鞍と鐙がついてるし(笑) いやまぁ裸馬だと現代のキャストが乗れないんでしょうけどね。人馬一体の強襲が得意なフン族軍勢に徒歩がいるのはちょっと許せないよ? ゴート族ならともかくフン族で徒歩とか無いよ?
こないだの「ロビン・フッド」のゴドフリーと似たような容姿で似たような立ち位置なのに、何故かとってもカッコいいルアさん。人間は見た目じゃないんだよー…言動なんだよ、やっぱり。
西ゴート王テオドリクさんも参戦。
でも…これテオドリクって言われても全然わからんわ。てか、どっちかっていうとエルマナリクのイメージじゃないの? こんなショボいじいちゃんだっけ…。
ゲルマン系部族っぽさは、いちおうマントの留め金とかで表現されてはいるけど、何かいまいちゴートじゃない…。
(※ちなみにこっちは、ディートリッヒの原型のテオドリクとは別人です。)
「アッティラにラブレターを送った女」、ホノリアさんも登場。
後ろにいるバカづらが、ウァレンティニアヌス3世。アエティウスが孤軍奮闘する影で、このバカ殿が西ローマを滅亡に導いていくわけですな。てか、「東西ローマ」は後世の人間が勝手に呼んだだけだから、皇帝自ら「わが西ローマは」とか言っちゃダメ。
かなりの部分はストーリー作ってますが、歴史上の実在人物がそこかしこに出てきたり、実際に起きた出来事も散りばめられていて、元ネタを知っていれば「あーあれかー!」と思えます。逆に言うと元ネタ知らないと説明少なすぎて意味わからんかもしれん…。
戦闘シーンなんかもリアルにやり過ぎてて、歩兵どうしが激突するシーンは動きがノロいように見えちゃうんですよね。そら徒歩なんだから仕方ないっていうか。武器も、そんなすごい殺傷能力があるわけではないので、この映画当時の戦いでは、一回の戦闘で数十人死ねばたとえ敵側の王が無傷でも戦闘はそこで終わり、だったりします。
あとね。アエティウス×アッティラが狙いすぎです。
いやほんと、深読みしなくてもマズいんだって!
老獪な熟練武将アエティウスと、野心家で年若いアッティラの会話がいちいちヤバいんだって!
「フン族にしておくには惜しい男だな…(フフ」とか
「俺と来ないか?」とか
「いつでも俺のところへ来い。」とか、
いやでも、君たち将来仲違いして戦うんだよね?
結局アエティウス勝利するんだよね?
で、アッティラを倒したあと自分もあのバカ皇帝に殺されちゃって、そのせいで西ローマは異民族に対抗出来なくなって滅びるんだよね?
たまんねぇ…!(暴走中)
あれだ。この映画の監督がその歴史的対立をメインで描きたかったのなら、分かるぞー。気持ちはとってもよく分かるぞー。前半でやたらアッティラと親しくして「強敵と書いて”とも”と呼ぶ」状態を創りだしておきながら、二枚目ディスクの後半で悲しくもお互いの立場のために対立する展開なんだな? で、アエティウスは「だからあの時、お前は正直すぎると言ったのだ」とか言いながら勝利するんだろ? うっは誰得っていうか超俺得。すいません鼻血拭いてきます。
全般的に、「ローマ人はアエティウス以外みんなアホ」「フン族はバカ正直だけどカッコいい奴ら」って感じの描き方だったので、ちょっと新鮮でした。フン族側のキャストにイケメン揃えすぎ(笑
鼻血と脳汁が出過ぎたので、後編はまた明日視聴!
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とにかくアッティラが超イケメン!
ローマ以外の部族の衣装や戦争方法、集落、民俗については若干考証の甘さが目立つ気もしますが、それはおいといて、このへんの歴史に興味ある人はハアハアできます。ローマの腐敗っぷりなんかリアル。皇女ホノリアに「風呂」というものを教えてもらって大喜びしているアッティラが可愛い。
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ちなみに、フン族によるブルグント族の滅亡を題材に後世に作られた叙事詩が「ニーベルンゲンの歌」。
アッティラはエッツェルと名前を変えます。
ニーベルンゲンの歌や、同じ題材を扱ったシドレクス・サガなどは、フン族にフルボッコにされたゲルマン民族側の視点から描かれているので、当然のごとくアッティラおよびフン族は「卑怯なわるもの」または「女に弱い腰抜け」扱い。
歴史に客観的な視点などありません。征服者か、被征服者か、どちらが歴史を伝えるかで印象も事実もいくらでも変わる。たいていは勝者側の視点で作られるのが歴史というものですが、面白いことにこの場合、勝者であるフン族は何も、口伝の類すら残さなかった…ということか。
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ヴェネツィアの町が、あんな住みにくい干潟の上に形成されることになった原因を作ったのも、このアッティラ率いるフン族の猛威だったと伝えられます。
ヴェネツィア発祥の島といわれるトルチェッロ島には、「アッティラの椅子」なる謎の石があったり。歴史は色んなところでつながっています。
フン族は、「服従か死か」を文字通りに実行し、逆らった部族の男は皆殺しにしていたので、生き残るために人々は必死にならざを得なかった…と。
残されたフン族の記録が、その残虐性に焦点を置いたものになったのは自然なことともいえます・・・。