「覇王伝アッティラ」後編 ~武将たちの華麗なる散りざまと監督の愛を堪能せよ
今日もパソコンモニタ前に正座してスタンバーイ。
と、いうわけで前編に引き続き「覇王伝アッティラ」、二枚目Disc突入でございます。
色々とおかしい脳内麻薬が出すぎてヨロヨロしてますが、それではいってみましょう。アエティウス×アッティ… じゃない。西ローマvsフン族、その戦いの結末へと!
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ちなみにアッティラって、実は本名じゃないんスよね。「ビックファーザー」みたいな意味合いの言葉で、本名は記録に残っていないのです。まあ、本名残ってないんで他にどうしようもないんですが…。
後半になってくると、歴史考証のアマさと描写のおかしさがますます際立ってくるようになりました。
食卓にフォークとナイフのある東ローマ。
ねぇよ! そんなのまだ使われてねぇよ!! 食卓にバカでっかいスイカが載ってるのはともかく、食事はまだ手づかみの時代だろー。
ちなみに、このテオドシウス帝がまた最悪な男ですた。典型的な小物っつーか、いちいちイラっとする言動。この監督ほんとローマ嫌いだったんだな…。ローマ側は東西含めて、アエティウス以外、誰一人としてマトモな人物がいない(笑) いやまあアエティウスも、ローマ至上主義で、いかにも帝国っぽい発想で人を切り捨てていくとこなんかは全然マトモじゃないんですが。。
アッティラのハレムは何故かトルコ風。
ヒジャーブつけた女奴隷とか、この時代まだおらんやろ…。
※アッティラの宮廷はイランの影響をうけていたと言われる。ので、トルコじゃなくてイランのつもりかもしれない…。
で、たぶん布かかげてる出典はコレ。
アッティラが部下のひとりオネゲシウスを訪ねたときの模様をローマからの使者が見たという記述。
ローマ風呂もオネゲシウスが作らせたものらしい。
やたらと近代的な攻城兵器も。これ中世後期じゃね…?
てか、機動力生かして急襲するのがウリのフン族がいきなりここまで進化するのはどーなんだー。アッティラの治世後半には、ローマ式の戦術も取り入れてたという説はありますがががが。
ローマからの脱走兵によって持ち運び可能な攻城兵器をもっており、実際にこのオルレアンの戦いで使われていた模様。ただ考古学資料から見える投石機や弩砲と微妙に違う気も。「攻城櫓」と「破城槌」も使われていたようなので、それもあると良かった…か?
あと、登場人物のセリフがイケてない。
アエティウスとアッティラの「文明人を攻めるのは簡単だ。だが文明は文明人のもので奪うことは出来ない」、「文明はより強い力を持つものが奪えばいい」とかいう会話なんて、当時生きてた人のセリフじゃないよな。千五百年後の人間が言うセリフだと思う。
ゴート族に同盟を申し入れに行くアエティウスの「我々は宗派は違うが同じキリスト教徒ではないか」というセリフもちょっとなあ。いや、確かにキリスト教の宗派争いが激しかったのは分かるけど、まだ宗派の違いで対立って起きてないよね。アリウス派は異端! とか排斥運動が起きるのって、東ゴートのテオドリクの時代じゃないっけ。
フィン族の王クヌート、なる人物も出てきたけど…フィン族? フィンランド? え、フィンランド??
その名前はせめてデーン人かスヴェア人あたりだろう。というかアッティラの同盟部族にスカンジナヴィア半島は無かったはず…はず… ううーん。
※あとで調べたらフィン族も同盟部族にいた。が・・・名前「クヌート」はやっぱ無いな・・・。
だがしかーーーし!
そんな微妙さも補って余りある、素敵武将たちの素晴らしき演技。
九十分間萌え萌え悶え気味でハアハア胸キュンですよもう。何この絶妙なキャスト配置。最初は「なんか違ぇ…」とか思ってた西ゴート王テオドリクが、後半では妙にハマリ役に。
ちーちーうーえぇぇぇ!
フラグたてまくった上での華麗なる死に様。
あの、やたら哀愁漂う前半のお姿も、この死亡シーンのためだとすれば全ては監督の 計 画 通 り。不覚にも「テオドリク様ーーー!」と心のなかで叫んでました。ちょっとゴート族側について戦ってくるわ、俺。
アッティラの盟友にして文明人、オレステス。
数少ないアッティラに関する記録の中で、ローマの使者がアッティラ陣営で出会ったという読み書きの出来る腹心。それなりの教育をうけているはずの人物が何で蛮族側にいるの? とか、そのへんはこうあれだドラマなんですよ。うん。
前半は何だかイマイチよくわからん人だなーと思っていたけど、戦場でアッティラの背中を守ろうとする姿や、皆が恐れるアッティラに唯一意見している姿などに、だんだん胸キュン度合いが高まっていき。
いやあ… 「我が友にして忠実な家臣」って大王に言わせられる役どころって、ほんとイイよね!
ちなみにラストシーンで彼が自分の腕に斬りつけてるのは、「王の死には女の涙より戦士の流す血のほうがふさわしい」という風習を表現したもの。決してリストカットしているわけではない(笑) その風習が実際に存在したかどうかは議論があるけど、いちおう採用してみたんでしょう…。でも何の説明もないので、視聴者の大半はきっと意味かわからない…。
全く説明入れずに「分かる奴だけ俺の世界についてこい!」という、どこまでも男らしい映画です。(^^;
運命の女・ヒルディコ。
名前からしてゲルマン系。史実では、彼女を妻にしたときアッティラはかなりの高齢だったはずなんだけど、そこはそれ映画なんで若々しいままアッティラさんは全然老けていません(笑)
彼女にホレた理由が、初恋の? 最初の妻に似ていたから…っていうのが、また泣ける。ちなみに彼女をモデルにして作られたキャラが、復讐に燃える王妃、クリエムヒルト。別名だとグードルーネとかグズルーンとかあります。
分かってはいたけど、アエティウス死亡シーンは切ない;;
「私はすでに大切なものを失った。ローマも失うのなら、ここで死のう…」 そこまでして命をかけたローマに裏切られて倒れていくシーンがもう YA BA I
後半もアエティウス×アッティラ全力でした。この監督ほんと、この二人好きだったんだなぁっていうか、この二人の「対決」と相打ち(に近い双方の死亡)をやりたいがために、映画作ったんだなぁっていうのがよくわかる。
アッティラを死に追いやったヒルディコが実はアエティウスの仕込んだ暗殺者で、アッティラの死によってアエティウスが一度は「勝利」するんだけど、自分自身もまた用済みと見なされて主君に暗殺されるという展開は、うん、多分、相打ちと呼んでいい結末。カタラウヌムの戦いでは結局どちらも勝利はしてない。もしアッティラが生き残って翌年もローマ軍と戦っていたら、どっちが勝ってたかはわからんね。
二人は最後まで「強敵と書いて"とも"と呼ぶ」関係のままでした。
戦場で見つめあっちゃうし…。
多くの国々を従えたアッティラが西ローマを攻めないのは何故か、と皇帝ウァレンティヌスに問われたアエティウスが、自信満々に「ローマには、私がおりますから。」と答えるあたり、お約束だけどド真ん中ストライクです。
言っちゃった。アッティラは俺のものくらいのイキオイで言っちゃったよこの人。
それでも東ローマが攻められていることに不安を抱き変装してアッティラのもとを訪れればソッコーでバレ。
アッティラに同盟を結ばないかと持ちかけ、「あんたが、そんな弱気なところは初めて見たな」と言われてちょっと口ごもるところなんか、役者のちょっとした表情でグイグイ引っ張られますよ。あっちの世界にいけちゃいますよ。どうせ暗殺されるんだし、あんなバカ皇帝に仕えなくてもよかったんだよ。アエティウスがあそこで、ローマ裏切ってアッティラ側についていればッ…!
…まァそしたら、ゴート族が滅亡してて後世のディートリッヒ伝説も生まれなかったかもしれないわけだけどなー。
オレステスがアエティウスをどう思ってたのかが気になる。てかオレステスとアエティウスでアッティラ取り合っt すいません自粛します。
ローマへの忠誠のために家族まで失って、なのに結局使い捨てにされちゃった名将の悲劇。ほんまローマ側はロクな人がいません。
しかし逆にそれが、帝国末期のリアリズムを醸しだしていて面白かったり。
全般的に、シナリオは史実を忠実になぞってました。よくここまで、あの記録の少ない時代を早大に仕立て上げたものだと…。イケてなかったのは小道具やセリフの細かいところだけ。役者さん巧すぎっスよ。おっさん同士が見つめ合うだけで何故こんなにも胸が高鳴るのかと。溢れ出る鼻血を私は抑えきれない。
ちなみに…前半から引っ張っていた↓コレ…
アッティラの「勝利の剣」、元ネタ知ってる人なんて何人いるんだ(笑
戦神っていわれてるのは、ゲルマン人の神チュールもしくはローマの昔の神マルスのことなんだよね…。
元々ゲルマン系の民族の中にあった戦神チュールの剣の伝説に、アッティラ王のヨーロッパ征服の伝説がプラスされて生まれた民間伝承です。なのでアッティラが剣を手に入れる展開を持ってきたとしても、ゲルマン人の神に祈るのはおかしかったり。監督は史実以外にも民間伝承の類からも色々モチーフ引っ張ってきてます。
わざわざこれを持ってくるあたり、アッティラについての伝承を片っ端から漁ってシナリオ書いたんでしょう。
愛ですよね、愛!
◎おまけ◎
お風呂つくって大喜びのアッティラさん。
前半でホノリアに教えてもらったお風呂が気に入ったらしい…。まさかあの風呂ネタ後半まで引っ張るとは思わなかった。てか、この時点でもうフン族じゃないよ、キミたち(笑
**********
いやあ… ほんともう鼻血で前が見えない。
**********
さてフン族はこのあと、王アッティラの一代限りの繁栄を失って、内紛なんかでちりぢりになっていくわけですが。
西ローマも、アエティウス亡き後はゲルマン諸民族の侵攻に耐え切れず滅亡へと向かっていくわけですが。
このあとテオドリク(ディートリッヒ)が誕生して西ローマの皇帝になったりですね・・・・!
歴史的萌えポインツはまだまだ続くのですよっ。
ここらへんの歴史年表は、手前味噌ですがこちらにありますのでドウゾ。やーしかし、四世紀後半から五世紀のヨーロッパはアツいわーほんと。まさに群雄割拠!
ちなみにアーサー王の実在モデルが生きていたかもしれないのも、これよりちょっとあとの時代。めっさ盛り上がってる時代なんです。
と、いうわけで前編に引き続き「覇王伝アッティラ」、二枚目Disc突入でございます。
色々とおかしい脳内麻薬が出すぎてヨロヨロしてますが、それではいってみましょう。アエティウス×アッティ… じゃない。西ローマvsフン族、その戦いの結末へと!
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ちなみにアッティラって、実は本名じゃないんスよね。「ビックファーザー」みたいな意味合いの言葉で、本名は記録に残っていないのです。まあ、本名残ってないんで他にどうしようもないんですが…。
後半になってくると、歴史考証のアマさと描写のおかしさがますます際立ってくるようになりました。
食卓にフォークとナイフのある東ローマ。
ねぇよ! そんなのまだ使われてねぇよ!! 食卓にバカでっかいスイカが載ってるのはともかく、食事はまだ手づかみの時代だろー。
ちなみに、このテオドシウス帝がまた最悪な男ですた。典型的な小物っつーか、いちいちイラっとする言動。この監督ほんとローマ嫌いだったんだな…。ローマ側は東西含めて、アエティウス以外、誰一人としてマトモな人物がいない(笑) いやまあアエティウスも、ローマ至上主義で、いかにも帝国っぽい発想で人を切り捨てていくとこなんかは全然マトモじゃないんですが。。
アッティラのハレムは何故かトルコ風。
ヒジャーブつけた女奴隷とか、この時代まだおらんやろ…。
※アッティラの宮廷はイランの影響をうけていたと言われる。ので、トルコじゃなくてイランのつもりかもしれない…。
で、たぶん布かかげてる出典はコレ。
村に入るアッティラを娘たちが出迎えた。彼女たちは両側に控えた女たちが掲げる薄いヴェールの下を、列を作って彼の前に進みでた。掲げられたヴェールの下は、七名、あるいはそれ以上の乙女が歩けるほどあった。各々のヴェールの下には同様の乙女たちのグループがいくつかあり、彼女たちはスキタイの歌を歌っていた、
プリスクス「断片」八 より
アッティラが部下のひとりオネゲシウスを訪ねたときの模様をローマからの使者が見たという記述。
ローマ風呂もオネゲシウスが作らせたものらしい。
てか、機動力生かして急襲するのがウリのフン族がいきなりここまで進化するのはどーなんだー。アッティラの治世後半には、ローマ式の戦術も取り入れてたという説はありますがががが。
ローマからの脱走兵によって持ち運び可能な攻城兵器をもっており、実際にこのオルレアンの戦いで使われていた模様。ただ考古学資料から見える投石機や弩砲と微妙に違う気も。「攻城櫓」と「破城槌」も使われていたようなので、それもあると良かった…か?
あと、登場人物のセリフがイケてない。
アエティウスとアッティラの「文明人を攻めるのは簡単だ。だが文明は文明人のもので奪うことは出来ない」、「文明はより強い力を持つものが奪えばいい」とかいう会話なんて、当時生きてた人のセリフじゃないよな。千五百年後の人間が言うセリフだと思う。
ゴート族に同盟を申し入れに行くアエティウスの「我々は宗派は違うが同じキリスト教徒ではないか」というセリフもちょっとなあ。いや、確かにキリスト教の宗派争いが激しかったのは分かるけど、まだ宗派の違いで対立って起きてないよね。アリウス派は異端! とか排斥運動が起きるのって、東ゴートのテオドリクの時代じゃないっけ。
フィン族の王クヌート、なる人物も出てきたけど…フィン族? フィンランド? え、フィンランド??
その名前はせめてデーン人かスヴェア人あたりだろう。というかアッティラの同盟部族にスカンジナヴィア半島は無かったはず…はず… ううーん。
※あとで調べたらフィン族も同盟部族にいた。が・・・名前「クヌート」はやっぱ無いな・・・。
だがしかーーーし!
そんな微妙さも補って余りある、素敵武将たちの素晴らしき演技。
九十分間萌え萌え悶え気味でハアハア胸キュンですよもう。何この絶妙なキャスト配置。最初は「なんか違ぇ…」とか思ってた西ゴート王テオドリクが、後半では妙にハマリ役に。
ちーちーうーえぇぇぇ!
フラグたてまくった上での華麗なる死に様。
あの、やたら哀愁漂う前半のお姿も、この死亡シーンのためだとすれば全ては監督の 計 画 通 り。不覚にも「テオドリク様ーーー!」と心のなかで叫んでました。ちょっとゴート族側について戦ってくるわ、俺。
アッティラの盟友にして文明人、オレステス。
数少ないアッティラに関する記録の中で、ローマの使者がアッティラ陣営で出会ったという読み書きの出来る腹心。それなりの教育をうけているはずの人物が何で蛮族側にいるの? とか、そのへんはこうあれだドラマなんですよ。うん。
前半は何だかイマイチよくわからん人だなーと思っていたけど、戦場でアッティラの背中を守ろうとする姿や、皆が恐れるアッティラに唯一意見している姿などに、だんだん胸キュン度合いが高まっていき。
いやあ… 「我が友にして忠実な家臣」って大王に言わせられる役どころって、ほんとイイよね!
ちなみにラストシーンで彼が自分の腕に斬りつけてるのは、「王の死には女の涙より戦士の流す血のほうがふさわしい」という風習を表現したもの。決してリストカットしているわけではない(笑) その風習が実際に存在したかどうかは議論があるけど、いちおう採用してみたんでしょう…。でも何の説明もないので、視聴者の大半はきっと意味かわからない…。
全く説明入れずに「分かる奴だけ俺の世界についてこい!」という、どこまでも男らしい映画です。(^^;
運命の女・ヒルディコ。
名前からしてゲルマン系。史実では、彼女を妻にしたときアッティラはかなりの高齢だったはずなんだけど、そこはそれ映画なんで若々しいままアッティラさんは全然老けていません(笑)
彼女にホレた理由が、初恋の? 最初の妻に似ていたから…っていうのが、また泣ける。ちなみに彼女をモデルにして作られたキャラが、復讐に燃える王妃、クリエムヒルト。別名だとグードルーネとかグズルーンとかあります。
分かってはいたけど、アエティウス死亡シーンは切ない;;
「私はすでに大切なものを失った。ローマも失うのなら、ここで死のう…」 そこまでして命をかけたローマに裏切られて倒れていくシーンがもう YA BA I
後半もアエティウス×アッティラ全力でした。この監督ほんと、この二人好きだったんだなぁっていうか、この二人の「対決」と相打ち(に近い双方の死亡)をやりたいがために、映画作ったんだなぁっていうのがよくわかる。
アッティラを死に追いやったヒルディコが実はアエティウスの仕込んだ暗殺者で、アッティラの死によってアエティウスが一度は「勝利」するんだけど、自分自身もまた用済みと見なされて主君に暗殺されるという展開は、うん、多分、相打ちと呼んでいい結末。カタラウヌムの戦いでは結局どちらも勝利はしてない。もしアッティラが生き残って翌年もローマ軍と戦っていたら、どっちが勝ってたかはわからんね。
二人は最後まで「強敵と書いて"とも"と呼ぶ」関係のままでした。
戦場で見つめあっちゃうし…。
多くの国々を従えたアッティラが西ローマを攻めないのは何故か、と皇帝ウァレンティヌスに問われたアエティウスが、自信満々に「ローマには、私がおりますから。」と答えるあたり、お約束だけどド真ん中ストライクです。
言っちゃった。アッティラは俺のものくらいのイキオイで言っちゃったよこの人。
それでも東ローマが攻められていることに不安を抱き変装してアッティラのもとを訪れればソッコーでバレ。
アッティラに同盟を結ばないかと持ちかけ、「あんたが、そんな弱気なところは初めて見たな」と言われてちょっと口ごもるところなんか、役者のちょっとした表情でグイグイ引っ張られますよ。あっちの世界にいけちゃいますよ。どうせ暗殺されるんだし、あんなバカ皇帝に仕えなくてもよかったんだよ。アエティウスがあそこで、ローマ裏切ってアッティラ側についていればッ…!
…まァそしたら、ゴート族が滅亡してて後世のディートリッヒ伝説も生まれなかったかもしれないわけだけどなー。
オレステスがアエティウスをどう思ってたのかが気になる。てかオレステスとアエティウスでアッティラ取り合っt すいません自粛します。
ローマへの忠誠のために家族まで失って、なのに結局使い捨てにされちゃった名将の悲劇。ほんまローマ側はロクな人がいません。
しかし逆にそれが、帝国末期のリアリズムを醸しだしていて面白かったり。
全般的に、シナリオは史実を忠実になぞってました。よくここまで、あの記録の少ない時代を早大に仕立て上げたものだと…。イケてなかったのは小道具やセリフの細かいところだけ。役者さん巧すぎっスよ。おっさん同士が見つめ合うだけで何故こんなにも胸が高鳴るのかと。溢れ出る鼻血を私は抑えきれない。
ちなみに…前半から引っ張っていた↓コレ…
アッティラの「勝利の剣」、元ネタ知ってる人なんて何人いるんだ(笑
戦神っていわれてるのは、ゲルマン人の神チュールもしくはローマの昔の神マルスのことなんだよね…。
元々ゲルマン系の民族の中にあった戦神チュールの剣の伝説に、アッティラ王のヨーロッパ征服の伝説がプラスされて生まれた民間伝承です。なのでアッティラが剣を手に入れる展開を持ってきたとしても、ゲルマン人の神に祈るのはおかしかったり。監督は史実以外にも民間伝承の類からも色々モチーフ引っ張ってきてます。
わざわざこれを持ってくるあたり、アッティラについての伝承を片っ端から漁ってシナリオ書いたんでしょう。
愛ですよね、愛!
◎おまけ◎
お風呂つくって大喜びのアッティラさん。
前半でホノリアに教えてもらったお風呂が気に入ったらしい…。まさかあの風呂ネタ後半まで引っ張るとは思わなかった。てか、この時点でもうフン族じゃないよ、キミたち(笑
**********
いやあ… ほんともう鼻血で前が見えない。
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さてフン族はこのあと、王アッティラの一代限りの繁栄を失って、内紛なんかでちりぢりになっていくわけですが。
西ローマも、アエティウス亡き後はゲルマン諸民族の侵攻に耐え切れず滅亡へと向かっていくわけですが。
このあとテオドリク(ディートリッヒ)が誕生して西ローマの皇帝になったりですね・・・・!
歴史的萌えポインツはまだまだ続くのですよっ。
ここらへんの歴史年表は、手前味噌ですがこちらにありますのでドウゾ。やーしかし、四世紀後半から五世紀のヨーロッパはアツいわーほんと。まさに群雄割拠!
ちなみにアーサー王の実在モデルが生きていたかもしれないのも、これよりちょっとあとの時代。めっさ盛り上がってる時代なんです。