Beowulf邦訳本リスト

今のところ、これだけあるらしい。

コンプは大変ですが、、、 それぞれ訳者の好みとか主義が出てるので読み比べてみると楽しいかも。
学者って芸術家並みに自意識過剰な職業だと思うんスよ。(笑 個性があってなんぼの世界です・・・。

ちなみに一般で手に入れやすいのは、やっぱり忍足欣四郎訳/岩波書店、苅部恒徳訳もソフトカバーで出ているやつは、それほど高くはないのでまぁ手に入れやすい・・・内容的に半分はマニア向けだと思うけど。

長谷川訳は、「牡鹿館」と書いて「ヘオロット」とルビ振ってたりして、ルビ多用っぷりがファンタジーラノベっぽさを醸し出しているのが面白いです。



<訳者>        <出版社>       <出版年>

厨川文夫       岩波書店        1941
長埜 盛       吾妻書房         1969
鈴木重威・もと子  グロリヤ出版/部分訳 1978
大場啓蔵       篠崎書林 1978:1985
長谷川 寛      成美堂/終結部未完 1990
羽柴竹一       原書房「古英詩大観」 1985
苅部恒徳       研究社 2007
忍足欣四郎      岩波書店        2004(第六刷)
小川和彦       武蔵野書房       1993
山口秀夫       泉屋書店       1995
藤原保明 筑波大学紀要 1995-6
杵矢好弘       甲南大学紀要      1999-2002



ベーオウルフが初めて日本で紹介されたのは1925年(大正14)だそうで、日本での研究史としては、まだ100年も経っていないんですね。言語自体が研究対象な古英詩だけに、どう解釈して日本語に置き換えるかという、その行為自体が「研究」なのだと考えれば、これだけ多数の邦訳が出ている意味もわかるかと。

永瀬清子の「グレンデルの母親」という詩が書かれたのは、ベーオウルフが日本に紹介された超序盤の1925-1930年だそうで…。化け物にわが子への愛情とか無いだろ…何でこんな詩が…と不思議に思っていたものの、本人が詩のあらすじしか知らなくて、「水魔がベーオウルフに奪われたグレンデルの腕を取り戻しに行った」ところしか知らなかったら、確かに母の愛と解釈するのもアリなのか。ついでに人間惨殺してますけどね、そのお母さん。

映画「ベオウルフ 呪われた勇者」でグレンデルがフロースガール王の息子にされていたのは何でだろうと思っていたら、そう解釈した論文もあるようだ…。それはちょっと深読みしすぎだと思うんだけどねぇ。

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