現在位置:ワルプルギスの夜
ファウスト
そいつは誰だい。
メフィストフェレス
好くご覧なさい。リリットです。
ファウスト
誰だと。
メフィストフェレス
アダムの先妻です。
あの綺麗な髪と、自慢そうにつけている、
あの、たった一つの飾りとに、気をお著けなさいよ。
あれを餌にして若い男を攫えようものなら、
めったに放しっこはありませんからね。
―ファウスト(森鴎外全集Ver ちくま文庫)
「ファウスト」第一幕、「ワルプルギスの夜」のシーンである。
悪魔メフィストフェレスに連れられて、ファウストは「ワルプルギスの夜」の見物に訪れる。険しい山を登っていくと、そこは魔女やら悪魔やら妖精やらのごった返す賑やかなお祭り会場。ティターニアやオベロンも加わって、少々おどろおどろしい「初夏の夜の夢」が繰り広げられる…。
ワルプルギス(Walpurgis)は、魔術や疫病に対する守護女神なのだという。その祝祭日が5月1日、すなわちメイ・デイ。
女神ワルプルギスの祝祭日には、ドイツのブロッケン山に魔法使いや魔女、悪魔たちが集まって乱痴気騒ぎをするのだという伝説がある。これが「ワルプルギスの夜」。
メイ・デイ(夏)は、クリスマス付近(冬)と同じく、各地で様々な祭りが行われる特別な日である。
祭りに理由をつける伝説のバリエーションは地域ごとに違うが、キリスト教布教以前から存在する祭りのため大抵は「異教的な祭り」という解釈にされている。冬至付近の古代の祭りは「キリストの誕生日」という形でキリスト教に取り込んだのだから、メイ・デイも何かこじつけて取り込んでしまえば良かったんじゃないかと思うのだが…。(笑
というわけで、このエントリが出る頃、中の人はどこか遠い街角で祭りに参加しています。
魔女のじゃないけど。