イースター島 植生調査PART.1
太平洋のど真ん中の島という稀有な環境に行って、遺物だけ見て帰って来るのは愚の骨頂。
真の冒険者は生物スキルも上げてくる。
というわけで、モアイ像とかの遺物関連はあとでおいおいまとめるとして、まずは植生調査結果から。
チリ本土から3700キロ、タヒチ島からも4100キロ離れた周囲が海しかないイースター島は、約300万年前から始まった火山活動により形成された、地球の歴史からいうととても若い島。島は大きな3つの火山がそれぞれ頂点をなす二等辺三角形の形をしていて、大きな火山のほかに小さな何十もの火山隆起から成ります。
モアイ像をきりだす山、ラノ・ララク付近。
一面に芝が生えている以外、樹木などはありません。
島の南海岸側。
ご覧のとおり、土地はひどく痩せていて足元は火山岩だらけ。遺跡ではない場所にも石ころがゴロゴロ転がっていて、土が薄く、とても畑が作れるような場所ではないです。
モアイの頭にのせる赤い髷、プカオを切り出す山、プナ・パウの近く。土が赤い。
島の土は、火山に依って黒っぽいところと赤っぽいところに別れるようです。
もともと生えていたのは、チリ本土から自然に渡ってきたチリヤシという太い木のようですが、現在のイースター島にチリヤシはほとんどありません。かわりに、オーストラリアから持ち込まれて植林されたユーカリが大量に生えています。ただしチリヤシにくらべ根っこの弱いユーカリでは、雨が降る旅に島から流出していく土を防ぐことは出来ないそうです。
こちらがチリヤシ(サンティアゴの植物園にて撮影)。幹のぶっとさにご注目ください。
現在のチリの法律では、イースター島→チリ本土への種子・植物の持ち出しは禁止、逆にチリ本土からイースター島への持ち込みはノーチェック、という謎な状態のようで、そのためイースター島の主に村の周辺では、あちこちから持ち込まれた植物が適当に入り乱れているようです。
ヒナギクの仲間っぽい花。
民家の庭に生えていますが、島の人にガーデニングの習慣はないそうです。
(というか雑草を抜くのも面倒くさがってやらないそーで……・)
つまり生えたら生えたで放置するってことですね。
デイゴの花。写真には映ってないですがデイゴと竹はあっちこっちに生えていて、そこはかとない沖縄っぽさを醸し出しています。気候的に冬もそんなに寒くならず、台風は来ないけど雨が一日に何回も降ったり止んだりして水分は豊富、という気候のようなので、沖縄で育つ植物はだいたいイースター島にも根付くとか。
島じゅうに生えているブーゲンビリア。
何故かラノ・カウの火口湖の中にも生えていました。
芙蓉。フヨウとタチアオイも村のあちこちに生えていて、これも沖縄っぽい。
オオバコらしきものや、花をつける低木も荒れた岩だらけの土地の隙間にひっそりと育つ。
このへんの荒地に強い植物は村周辺だけでなく島の中心部にも生えていました。
アザミ。
これも荒地仕様。
ルピナスは花が終わって実をつけています。
雨が多いわりにシダやコケ系の植物は少なく、ほとんど村周辺でしか見られません。
途切れることなく風が吹き続ける「風の島」なので、湿気が貯まることなく流れてしまうのと、気温が高く陽光を遮る植生が少ないことから水分があっという間に蒸発してしまうのが原因と思われ。
というわけで、意外に植生は豊かでしたが、元から島にあった植物というよりは、最近になって各地から持ち込まれたものが放置されて根付いているのが大半という感じです。元から島にあった植物は実はほとんど残っていないというか、チリヤシやトロミロの木を含め、島民が全部使いきっちゃったらしい。近年になって渡ってきた竹は、島民はいまいち使い方が分からんで利用もされず放置されている模様。
HAHAHA、ラパ・ヌイの民の後先考えなさにはエジプトさんもビックリだぜ。エジプトさんだってパピルスの生産管理はやってたんだぜ…。
********
PART2は村から離れた遺跡周辺の植生と、村の畑事情なんかを紹介してみたいと思います。
続きはCMのあとで!!
真の冒険者は生物スキルも上げてくる。
というわけで、モアイ像とかの遺物関連はあとでおいおいまとめるとして、まずは植生調査結果から。
チリ本土から3700キロ、タヒチ島からも4100キロ離れた周囲が海しかないイースター島は、約300万年前から始まった火山活動により形成された、地球の歴史からいうととても若い島。島は大きな3つの火山がそれぞれ頂点をなす二等辺三角形の形をしていて、大きな火山のほかに小さな何十もの火山隆起から成ります。
モアイ像をきりだす山、ラノ・ララク付近。
一面に芝が生えている以外、樹木などはありません。
島の南海岸側。
ご覧のとおり、土地はひどく痩せていて足元は火山岩だらけ。遺跡ではない場所にも石ころがゴロゴロ転がっていて、土が薄く、とても畑が作れるような場所ではないです。
モアイの頭にのせる赤い髷、プカオを切り出す山、プナ・パウの近く。土が赤い。
島の土は、火山に依って黒っぽいところと赤っぽいところに別れるようです。
もともと生えていたのは、チリ本土から自然に渡ってきたチリヤシという太い木のようですが、現在のイースター島にチリヤシはほとんどありません。かわりに、オーストラリアから持ち込まれて植林されたユーカリが大量に生えています。ただしチリヤシにくらべ根っこの弱いユーカリでは、雨が降る旅に島から流出していく土を防ぐことは出来ないそうです。
こちらがチリヤシ(サンティアゴの植物園にて撮影)。幹のぶっとさにご注目ください。
現在のチリの法律では、イースター島→チリ本土への種子・植物の持ち出しは禁止、逆にチリ本土からイースター島への持ち込みはノーチェック、という謎な状態のようで、そのためイースター島の主に村の周辺では、あちこちから持ち込まれた植物が適当に入り乱れているようです。
ヒナギクの仲間っぽい花。
民家の庭に生えていますが、島の人にガーデニングの習慣はないそうです。
(というか雑草を抜くのも面倒くさがってやらないそーで……・)
つまり生えたら生えたで放置するってことですね。
デイゴの花。写真には映ってないですがデイゴと竹はあっちこっちに生えていて、そこはかとない沖縄っぽさを醸し出しています。気候的に冬もそんなに寒くならず、台風は来ないけど雨が一日に何回も降ったり止んだりして水分は豊富、という気候のようなので、沖縄で育つ植物はだいたいイースター島にも根付くとか。
島じゅうに生えているブーゲンビリア。
何故かラノ・カウの火口湖の中にも生えていました。
芙蓉。フヨウとタチアオイも村のあちこちに生えていて、これも沖縄っぽい。
オオバコらしきものや、花をつける低木も荒れた岩だらけの土地の隙間にひっそりと育つ。
このへんの荒地に強い植物は村周辺だけでなく島の中心部にも生えていました。
アザミ。
これも荒地仕様。
ルピナスは花が終わって実をつけています。
雨が多いわりにシダやコケ系の植物は少なく、ほとんど村周辺でしか見られません。
途切れることなく風が吹き続ける「風の島」なので、湿気が貯まることなく流れてしまうのと、気温が高く陽光を遮る植生が少ないことから水分があっという間に蒸発してしまうのが原因と思われ。
というわけで、意外に植生は豊かでしたが、元から島にあった植物というよりは、最近になって各地から持ち込まれたものが放置されて根付いているのが大半という感じです。元から島にあった植物は実はほとんど残っていないというか、チリヤシやトロミロの木を含め、島民が全部使いきっちゃったらしい。近年になって渡ってきた竹は、島民はいまいち使い方が分からんで利用もされず放置されている模様。
HAHAHA、ラパ・ヌイの民の後先考えなさにはエジプトさんもビックリだぜ。エジプトさんだってパピルスの生産管理はやってたんだぜ…。
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PART2は村から離れた遺跡周辺の植生と、村の畑事情なんかを紹介してみたいと思います。
続きはCMのあとで!!