カッパドキアと岩のおうち巡り PART.3 鳩の住む谷・ウチヒサール

ネヴシェヒルからのバスの道筋で、なんか変わったものがある!!
というわけで良くわからないまま突撃をかけてみた、鳩の谷。


鳩の谷は文字通り、昔いっぱい鳩を飼ってた谷間。糞を肥料にして作物を作っていたらしい。今は鳩を飼ってるわけじゃないので、数はだいぶ減ったんだそうな。

鳩は日本のいわゆるドバトと全く同じっすね…。

エサ箱には、「鳩のエサのために寄付金を」と日本語でも書かれている。
ちなみに、その上の「危なくなったら電話しろ」という青い看板は、カッパドキアのあちこちで見かけた。レンタサイクルやレンタバイクでセルフ観光していて道に迷ったり体力が尽きて行き倒れたりする人が後を絶たないかららしい。…アナトリアの大地は甘くない。たった数キロでも炎天下の日除けも何もない坂道を走ることになるので、無理はやめましょう。地元の方に迷惑をかけないように!

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谷間は地形がむちゃくちゃ。上から見るとこんなかんじで、岸壁にたくさん開いている小さな穴はぜんぶ鳩の巣として作られたもの。谷底に降りていくと民家と鳩小屋が合体した集合住宅が見えてくる。

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ちなみに ここウチヒサールは、名前の由来ともなっている「3つの砦」が有名。谷の奥に見えてるのがウチヒサールの砦だけれど、近年は崩れかかっているそうで中には入れず。残念。しかしその砦にたどり着くまでがまた酷い斜面でな…。

足元はエサをねだる鳩に包囲されながら坂道を眺める。…車ないと厳しい、ウン。

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谷底に降りると空気がひんやり。
栗やイチジク、杏の木などが茂っていて、ちょっとした庭みたいになっていた。

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ちなみにここらへんは、ちょっと前まで住んでいた人がいるらしく、岩の家を改装して近代っぽくした跡もある。
谷は意外と広い。

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これなんか、ある意味、タワーマンション(笑)
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でかい。七階建てくらい。ひとつの家族で住んでたわけではなく、複数家族が同居していたみたい。
というのも、このへんの岩は実は入り口がいっぱいあって…

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こんな感じで、入った場所が実は3Fで、中庭から隣の家に繋がっていたり、手前の家の3Fが隣の家では2Fだったりする複雑なつながり方をしてるのだ。外から見ただけじゃ何処から何処までがひとつの家なのかよくわからん。

見分け方として、窓に書いてある模様の種類が家族の数。
タワーマンションっぽい岩のおうちの窓のところに、赤い色彩で絵のようなものが描かれているが、それが家族の模様だったんだそうな。自分の家で飼ってるハトが、その模様を記憶して、自分ちの巣に戻ってくることを期待していたとか。(よそのおうちの巣に行ってしまうと、肥料になる糞も、よそのおうちのものになってしまう。)

一家にひとつのハト小屋、って感じなのかな。


今も部分的に暮らしている人がいた。
左側の、トルコ国旗の飾ってあるおうち。

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ここはカフェになっていて、岩のおうちの内装を見学させてくれる。
意外にカワイイ感じ。今回は洞窟ホテルとまってないけど、こんな感じなのかね。壁に絨毯を飾ってあるあたりが、いかにもトルコ。

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パラボラアンテナの刺さっている岩…(笑)
ちなみに、使ってるのかは分からないけど洗濯機もあった。ってことは水道があるんだと思われ。電気も通ってるし、案外…住めるんじゃないか、この谷…。

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手前の家のベランダから見下ろすと、周囲の家々との高さの違いがよくわかる。こんな感じで中庭を通じて隣の家につながっている。ダンジョンみたいで面白い。

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外からは見えない秘密の花園。
3つの家の合間の小さなポーチに植えられたタチアオイの花。
地面から見ると3Fくらいの高さにあるので、ちょっとし空中庭園みたいになっている。

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谷の上に上がる坂道の先にはレストランとおみやげ物屋さん。谷底に暮らしていた住民は、今は谷の上に上がって近代的なおうちに住んでいるようだ。でも花が綺麗に咲いてたりするあたり、たまには昔の家に戻ってたりするのかもね。ここも、新旧の町がなめらかに連続する集落だった。

ただ、アヴァノスやユルギュップと違って、今の町とかつての町が谷底と地上の二極化しているぶん、距離は感じた。
家は良い状態で生き生きと残っているのに、谷間に誰もいなくて閑散としてたのが寂しかった。

あと、鳩の谷なのに鳩が少ない、というか土産物屋とエサ箱の周辺にしかいないというのも、ちょっとショックだったかなー…。ヴェネツィアのサンマルコ広場くらいビッシリ埋め尽くしているものかと思っていたよ。
ありきたりだけれど、時の流れを感じた。

カッパドキアは、場所によって岩の雰囲気が違う。
「日本人は数日でさっさと帰ってしまう、忙しすぎ! 見るところ一杯あるんだから最低一週間はいなさい」と現地のおねーさんに叱られたんだけど、うん、確かに見所全部回るのは一週間ないとムリかもね。一箇所の谷を一日ダラダラするだけでも楽しそうだなー、と思ったり。

とはいえ仕事もあったりするので、忙しい小市民には数日でも精一杯…。
機会があったら、また行こう。


以上、三箇所。カッパドキアの「岩のおうち巡り」シリーズでした。

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