考古学と世界大戦 ドイツ人考古学者ヴィンクラーがヒッタイトを「発見」出来たわけ
考古学の世界は、政治と無縁ではない。
前世紀までにおいては特にそうだったが、21世紀においても事情は対して変わっていない。他国を発掘するには発掘許可が降りねばならない。降りるかどうかは、発掘対象国の政府と、発掘者の国の政府が仲良く無くてはならない。あまり豊かでない国では、実は金の力もそこそこ物を言えたりする。
歴史に埋もれていたヒッタイトの首都が近代に「発見」された件は、前のエントリで書いた。
発見は1907年。
発見者はドイツ人学者ヴィンクラー。
ここにミソがあって、「ドイツ人」がトルコで大発見をした、というのが、この時代ならではなんである。
エジプトでイギリスとフランスがロゼッタ・ストーンを奪い合ったことを思い出せば、トルコではドイツ人が優先的に発掘権を得ていたことにちょっとした違和感を覚えるはずだ。
1907年は第一次世界大戦前夜。
時のトルコ政府とドイツは、親密な仲にあった。軍の近代化を支援したのがドイツだったからだ。
ロシアとトルコの小競り合いではイギリスやフランスもトルコを支援していたが、トルコを捨て駒にロシアの勢力を削ごうとしているのがミエミエで蜜月にはならなかったようだ。
トルコが第一次世界大戦にドイツ側として参戦するのは1914年。
多大な犠牲を払ったその戦いののち、第二次世界大戦ではできる限り中立を保ち、終戦間際になって書類上だけドイツと(そして日本と)敵対したのは、ネット上ではテンプレ代わりに何度も語られている通り。
ここで、いまほとんど外国人に発掘権を与えていないトルコで、ドイツ隊の発掘が一世紀にも渡って継続されてきた流れに繋がってくるんである。「イギリスとかフランスは勝手に持ち出すからUZEEEE」… うんまあ、そのUZEEEEの結果が大英とルーブルのあの豪華ラインナップなんですけどね。ドイツさんもけっこう持ちだしてはいますけどね。
考古学の本を読んでいても、よくよく注意すれば、その裏に当時の国際関係事情が見えてくる。
こうして、ドイツが支援して作られたバグダット鉄道に乗った旅は、イスタンブールの国立考古学博物館にあったシリア遺物が、そこに運び込まれた経緯を探して時をさかのぼってゆくのであった…。
#鉄道沿いに遺跡発見地が並んでるってことは
#鉄道引くときに発掘したんじゃないかと推測
#現在のシリアの独立が1918年とは知らなんだ。
前世紀までにおいては特にそうだったが、21世紀においても事情は対して変わっていない。他国を発掘するには発掘許可が降りねばならない。降りるかどうかは、発掘対象国の政府と、発掘者の国の政府が仲良く無くてはならない。あまり豊かでない国では、実は金の力もそこそこ物を言えたりする。
歴史に埋もれていたヒッタイトの首都が近代に「発見」された件は、前のエントリで書いた。
発見は1907年。
発見者はドイツ人学者ヴィンクラー。
ここにミソがあって、「ドイツ人」がトルコで大発見をした、というのが、この時代ならではなんである。
エジプトでイギリスとフランスがロゼッタ・ストーンを奪い合ったことを思い出せば、トルコではドイツ人が優先的に発掘権を得ていたことにちょっとした違和感を覚えるはずだ。
1907年は第一次世界大戦前夜。
時のトルコ政府とドイツは、親密な仲にあった。軍の近代化を支援したのがドイツだったからだ。
ロシアとトルコの小競り合いではイギリスやフランスもトルコを支援していたが、トルコを捨て駒にロシアの勢力を削ごうとしているのがミエミエで蜜月にはならなかったようだ。
トルコが第一次世界大戦にドイツ側として参戦するのは1914年。
多大な犠牲を払ったその戦いののち、第二次世界大戦ではできる限り中立を保ち、終戦間際になって書類上だけドイツと(そして日本と)敵対したのは、ネット上ではテンプレ代わりに何度も語られている通り。
ここで、いまほとんど外国人に発掘権を与えていないトルコで、ドイツ隊の発掘が一世紀にも渡って継続されてきた流れに繋がってくるんである。「イギリスとかフランスは勝手に持ち出すからUZEEEE」… うんまあ、そのUZEEEEの結果が大英とルーブルのあの豪華ラインナップなんですけどね。ドイツさんもけっこう持ちだしてはいますけどね。
考古学の本を読んでいても、よくよく注意すれば、その裏に当時の国際関係事情が見えてくる。
こうして、ドイツが支援して作られたバグダット鉄道に乗った旅は、イスタンブールの国立考古学博物館にあったシリア遺物が、そこに運び込まれた経緯を探して時をさかのぼってゆくのであった…。
#鉄道沿いに遺跡発見地が並んでるってことは
#鉄道引くときに発掘したんじゃないかと推測
#現在のシリアの独立が1918年とは知らなんだ。