古代エジプト概要本 色んな意味で懐かしい雰囲気…

古本屋で見つけたエジプト概要本。
著者はエジプト本の末尾の参考文献で、たまにお名前を見かける方。この本のあとがきで知ったのだが、発掘はしたことがない文献学の人、というか言語学が専門だったらしい。

近年では初心者向けのエジプト本も増えてきたが、必要以上に簡単にしすぎて、「いやそれ単純に言いすぎじゃないの」「読者のレベルを低く設定しすぎじゃないの」と、やや違和感を覚えるところもあった。そんななか、この本は、久しぶりに見た、いわゆる「初心者向け」のエジプト本である。
細かいところで、あれっこれって最近は違う説になってるんじゃなかったっけ…などと思うところがあるが、巻末を見ると初版は1990年。最近のように思えるが、よく考えたら20年前。なるほど、数十年経つと色々変わるんだなあ…とシミジミと思った。懐かしさを感じるのは、きっと、最初にエジプト本に触れてハマったのが、この本の出た頃だったからなのだろう。最近出る初心者むけの本は、どうも商業主義を全面に押し出しすぎている気がして、いまひとつ好きになれない。


古代エジプト―失われた世界の解読 (中公新書)
中央公論社
笈川 博一

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前置きが長くなったが、本の内容としてはオーソドックスな「古代エジプト全般」の概要論である。
古代エジプト文明を育んだエジプトという国の地理とはどういうものか、といった前提から、古代人の暮らし、有名な遺跡や王様について、言語、産物など歴史から人ひどの生活レベルまで無難に語られている。エジプト文学と呼ばれるものについても有名ないくつかが全訳で載せられているため、初心者にもとっつきやすいと思う。「ナンパした水夫の物語」、「二人兄妹の物語」は頭から尻尾まで読むことが出来る。

全般的に語り口がソフトなカンジなのも良い。たとえばミイラの作り方の部分で、「エジプト人だって死んだ者の直接の記憶がなくなるころにはサボりがちになったのではないだろうか」などと書いてあるのには、ちょっと笑ってしまった。
平易で文章は読みやすいのだがカバーしている範囲は広く、初心者だけでなくそこそこ知ってる人も読んで楽しいんではなかろうか。



さて、内容でちょっと気になったところ。
19王朝末期のパピルスの使い方で、文学作品と非文学足品では書く向きが違うという話。

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巻物を「たてに」使うと、パピルスの繊維に対して垂直に文字を書くことになる。
これだと相当書きづらい気がするんだけどなあ…。
製紙の技術が上がったから、繊維にペンが引っかからなくなったんです。とかいうんなら分かるんだけど…

縦書のパピルスを見た覚えがあんまりなくて、死者の書とかはいつも横スクロールだったよなあ…と、疑問に思った。意識してないだけで縦スクロールの巻物もあるのかなあ。今度探してみようと思う。

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