リビアングラスとツタンカーメンの胸飾り

今日は、人から振られた話のネタ。
ツタンカーメンの胸飾りのスカラベの部分(黄色い石)が、リビアングラスという砂漠で取れる天然石らしいという話題から。

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こちら、ツタンカーメンの副葬品の一つ、「スカラベと天の船の首飾り 高さ14.9cm 幅14.5cm」というもの。
黄色いスカラベの部分がリビアングラスという石だという話をつい最近知り、聞きなれない名前からちょっと調べてみた。
リビアングラスは、最近パワーストーンとして人気が上がってきている石だそうで、ネットで検索すると通販サイトがいろいろ出てくる。

ツタンカーメンの時代は第18王朝、人口宝石を製造する技術はすでにエジプトに導入されている。
実際、ガラス製品も副葬品としては使われているので、このスカラベの部分もガラスだと思っていたのだが、天然石だった、というわけ。

ちなみに、収蔵品としてのデータでは材質は「色硝子 貴石 金 銀」となっている。
リビアングラスは、「貴石」の部分に入るんだろうな…。


で、このリビアングラスだが、エジプトの西、リビアとの境目あたりの砂漠で取れるという。
およそ100キロに渡る範囲に点在しているようだが、中心部はN25° 25' E25° 30'。

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Wikipediaを見ると、隕石の衝突時の熱で砂が溶けて云々、と書かれているが、正直それは眉唾ものだ。

てか… 隕石の衝突では、こんなにたくさん出来ないでしょ…。かなり大きい塊があったり、溶けてる最中っぽいのがあったり、「Libyan Desert Glass」でググって出てくる画像を見るに、溶岩から出てきたみたいに思える。

ちなみに隕石説のソースはBBCみたい。

Tut's gem hints at space impact
http://news.bbc.co.uk/2/hi/science/nature/5196362.stm

BBCとはいえ、過去に何度かエジプト関係で不確かな情報流してたりするので、ここは敢えて自分で調べる。
たぶん、↓こっちのほうが信用できるのではないかと思う。

The non-impact origin of the Libyan Desert Glass (LDG)
http://www.b14643.de/Sahara/LDG/

ここを見ると、「隕石の落下の時の熱で砂が溶けてガラスになった」のではなく、「地下のマグマの熱で生成された」という説が書かれている。

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私もこっちに賛成する。

ちょろっと隕石が落ちたにしては、ガラスのある砂漠の範囲が広すぎるし、色んな色のガラスがあるってことは成分が様々ってことだし、一瞬で出来たとかではなく、長い年月をかけて生成過程が様々だったと思える。単一要因で狭い範囲で生成されたんじゃなく、かつて存在した地下の熱源の周辺で、長年かけて作られていったってほうが現実的だ。

てか私の読解が間違ってなければ、リビアングラスを形成するのに必要な温度は場合によっては1600度↑となっている。広範囲にそれだけの熱量をぶちまけられるほど巨大な隕石が落ちたら、ガラスができるくらいじゃ済まないんじゃないかな。生物大量絶滅の危機とかにならないかな(汗)



もっとも、石自体の生成過程がどうあれ、ツタンカーメンの胸飾りの石が砂漠からもたらされた石だということに変わりはないわけで。

あんまり黄色い石を見た覚えがないので古代エジプトではメジャーではなかったかもしれないが、他にもリビアングラスっぽい石が使われている遺物がないか、探してみようと思う。

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