ペルー・パラカス遺跡でエイリアンの頭蓋骨が見つかる→どう見ても遺伝子詐欺です本当に(ry

なんかこんなニュースを見つけたので。

本当?ガセ?エイリアンの頭蓋骨がみつかる―ペルー

http://woman.mynavi.jp/article/140219-96/
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で、ガセかどうかは論じるまでもなく、ガセです。 お金が目的ですね。

以前スターチャイルドの記事に対して同じことをツッコみましたが、遺伝子解析という科学的に見えつつ実際は曖昧な分野をネタにしてお金を集める詐欺的商法、夢を売る商売の一つです。

記事の最後で募金を募っている時点でもうお察しくださいレベル。

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[>以前の記事

スターチャイルドのミトコンドリアが人間じゃなかった!!?! 宇宙人にミトコンドリアあるのかよ(笑
https://55096962.seesaa.net/article/201109article_4.html
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記事の中に出てくる「ブライエン・フォースター」氏の業績と経歴を洗うと、そりゃあもう胡散臭いあれこれがボロボロと…。つか取り合えず、以下のご本人のサイト見れば一目瞭然だから…。

Brien Foerster
http://hiddenincatours.com/

博物館はお金さえあれば自分で作れます。
本を何冊書いてたって関係ありません。ミステリーサークルはプラズマが作った説の人だって本は出してます。
そんなものは信用の基準にはならない。
最近は博士号持ってても怪しい人いっぱいいますからね。

この人のサイトとスターチャイルドのサイトを見比べると、あまりに誤魔化し方が同じなので、南米ではこういう詐欺がはやりなのかなあ…と思ってしまいます。



ちなみに上記サイト内の「Our Team」というページはかなり衝撃的です。

http://hiddenincatours.com/our-team/

 ・Graham Hancock
 ・Chris Dunn
 ・David Hatcher Childress

ダブル役満どころじゃねえ
何このオカルト・トンデモ系最強ユニット…。

というわけで記事にする前にちょっと確認しろや記者、どんな方法でどう検査したかはっきり言わない奴は詐欺師なんだよ。ネタ記事ならちゃんと欄外に「虚構新聞」って入れとこうぜと思った次第。


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続いてパラカスの話。
去年行ったペルーの天野博物館(来訪レビューはボロクソですが、いい品は揃ってます)にパラカス文化の土器があったんですよ。ちょうど。それでこの記事に食いついたわけなんですけども。

パラカスはプレ・インカ時代の遺跡の一つで、+場所はナスカよりちょっと北あたりで、栄えたのもナスカより少し前。(ナスカとパラカスは土器の様式の違いだけで、共通する文化を持っていたため、連続する一つの文化圏に含まれます)

*場所地図
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*年表
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ここでちょこっと解説しておくと、プレ・インカとはインカ時代以前に南米各地で栄えたアンデス近辺の諸文化のことで、インカはそれらを統合して生まれてきた、スペイン到来以前では最も新しい時代の文化。インカはいわば、それまで各地方で独自に平行して栄えてきた「四国文化」とか「関西文化」とか「関東文化」とかを統一して均一化した大和朝廷、みたいな位置づけの文化になる。(だからインカのものとされている各文化は、分解すると元はいろんな地方での伝統だったりする。)

で、そのプレ・インカの一つ、パラカス文化が今回の争点。

なのですが、年表見て分かるとおり前後の文化と地理的にも時代的にも繋がっているので、未知の人種や宇宙人など、ワケのわからん説の入る余地はあまりないです。隣のナスカ文化の立場が(笑) 

まあ、このフォスターさん的にはナスカも宇宙人関係の遺跡ってことなんで問題ないんでしょうが…。クスコのプレ・コロンビーノ博物館でナスカ人の作った魚模様の皿を見てから言えと。あのコミカルなお魚土器を宇宙人が作ったとでもいうのか? いいや、あれは人間の所作だ。お魚おいしいよね、千五百年前の人だとしてもナスカ人とはシャケの切り身で通じあえる自信がある。

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ここのお魚皿がめっさ気に入りましてですね…。


あと、パラカス人がグルジアから来た説なんて聞いたことないんですけど。
南米の諸民族はアジア経由で移住していったことがほぼ確定してます。(移住経路は何経路かあるようですが) グルジアなんていうヨーロッパからいきなりワープしてくることは在り得ないです。そしてワープしてきた部族が現在の南米の現地人の中に遺伝子的な痕跡を残さないということはさらに在り得ないです。痕跡が消えてしまうのは元の集団の規模がとても小さく、他の集団に完全に同化されてしまうような時だけですが、集団が小さすぎるとそもそも文明築けません…。


ちなみに記事の中で触れられている「GenBank(ジェンバンク)という世界的な公共の遺伝情報データベース」ですが、2006年時点では登録されている人間の塩基配列の1/4が日本人のものだったそうです。なんでかというと、登録人数がとっても少なかった(当時3000人)ところに、日本の研究者が頑張って日本人のDNA配列を700人くらい登録したから!

それから8年経過しているので、さすがにヒトの全塩基配列の登録数も増えてると思いますが…研究者や研究機関が自前で登録して作っていくデータベースなんで、全世界の全生物のDNA情報が網羅されているわけではないということは前提です。

なので、このフォースターさんがどういう照会の仕方をしたかは分かりませんが、GenBankにないからと言って「人類、霊長類、現在まで知られているどの動物にも見られない変異をとげている」とまで言い切るのは乱暴すぎます。つかマッチングの方法間違えたか、微生物に汚染された遺伝子情報を突っ込んだだけなんじゃ。カビだって遺伝子情報は持ってるんで、そういう異物が混じらないようにDNAを抽出するのがプロの技というか、非常に難しいところなんですが…。

なんていうか、科学の名を借りた詐欺まがいの商売って案外世の中に転がってるもんだなーと思います。はい。


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[>類似品

ツタンカーメンの遺伝子解析:ぶっちゃけこれってインド・ヨーロッパ語族みたいなもんだよね…
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ツタンカーメンの遺伝子解析「ヨーロッパ人に近い!」→実は遺伝子調査キットを売るための戦略?!
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