ピラミッド建設「後」の失業対策。余った建設作業員どうするの?

ここでいう「ピラミッド」とは、古代エジプトの古王国時代に建造された巨大な複合モニュメントとしてのピラミッドです。時代は古王国時代に限定します。

画像



「ピラミッドは王の墓じゃなかった」説に対する反論記事は、もう何回もネタにしているので、リンクだけにしておきます。

ピラミッドは失業対策のために作られた、という謎の説がテレビなどで流され、信じてしまった人も多かったりしますが、農閑期は失業中とはいいません。そして農閑期の農民は意外とヒマじゃありません。さらに、通年で建設にたずさわる専門技術者がいなければ建造は不可能です。

私は、でかいピラミッド建築は余剰労働力ではなく国家の威信をかけたフルパワーで建造されたと考えています。失業対策のためではありません。むしろ仕事のある農民を無理やり引っ張ってきても人手が足りんかった可能性すらあります。

それだけの人手を集めておいて、あのバカでかいピラミッド群を作り上げる。

しかし時が移ろい、やがて古王朝時代が終焉に向かい始めると、ピラミッドをつくることが出来なくなり、建設にたずさわっていた労働者たちは行き場をなくしてしまいます…。

そう、

 ピラミッド建造時代が終わった後こそ

 失業対策が必要だったんじゃないか。



今日はそんな視点からちょっと話を膨らませてみようかと思います。






まあ何回もやってますが前フリとして、中の人はシステム屋です。

ここのところ業界でウワサになっている話題といえば、某Mさんとこの巨大プロジェクトですよ。ええ、そのツリーのどこかにウチの会社もどっかの部署がぶら下がってるらしいんですよね詳しくは言えませんけど。人手足りないからって徴兵必死ですが誰が好き好んでレニングラードに行くのかとアホかとバカかと。

まあそんな話は置いといて、この巨大プロジェクト、世の中のSEさんをゴッソリ集めてシステム更改(というかほぼ新規構築)しようとしてますが、もちろんプロジェクトが終了したあとはチームは解散になるわけです。次の案件に回されます。しかし次の案件がないと、集められたSEさんは手持ち無沙汰になってしまいます。景気が悪い次期は特にそうで、リーマンショックのあたりなんかは次の見つからない人が結構居ました…。

所属会社がある人はどうにか給料は出ますが、派遣会社から来ている人などは次のお呼びがかからないと失業状態になってしまいます。


ピラミッド建築作業員にも、これと同じ状態があったのではないか。


すなわち、王権が不安定になり、不景気になると、次のピラミッド建設が始まらないので失業状態になることはあったんじゃないのか。農民はいいんですよ畑に戻ればいいんで。土地もってない人はどうすりゃいいのって話ですね。ピラミッド建設専門の技術者は社員寮ならぬピラミッド・タウンに住んでましたからね、家もなくなっちゃいますね。収入の安定する農民に転職したり、貴族からの単価の安い仕事を請け負って糊口を凌いだりしてたんじゃないかと思うんです。

大規模建築という意味では神殿や葬祭殿の建築は続いていたはずですが、そこに雇われるのは、設計図が引ける、質量の計算が出来る、測量が出来る、などの一部の上級技術者だけ。現実のSEの場合、中途半端に「Javaだけ書けます」「サーバ運用はWindowsだけ何とかなります」みたいな人は、応用が利かないので別案件に流用しにくい人材なんですよね…。ピラミッド技術者の場合も、単に「石を指定の角度に積み上げる」とか「石を運搬する傾斜路の設営が出来る」だけだと、神殿建設では役にたたなかった可能性が無きにしも非ず。

ピラミッド特有の技術を保有する技術者って、意外と潰しの効かない職業だったんではないでしょうか。


そのように考えてみると、第六王朝末期あたりに貴族さんたちがこぞってピラミッド建設してるのって、実は貴族さんたちが王のマネをしたんじゃなくて、失業してたピラミッド建築技術者が雇ってくれとプッシュした結果だという可能性も考えられるのではないでしょうか。もしくは、人余ってるなら使ってやれー的な感じとか。

その小規模なピラミッドさえ作られなくなっていくと、ピラミッドの時代は終わり、ピラミッド専門の特殊な技術者はいなくなってしまいます。さよならトークンリング、さよならSAN-OS。



技術は、継承しなければ途絶えてしまいます。
日本の宮大工の技術なども、寺社の定期的な建て替えによって継承されています。

ピラミッド建築がなされなくなった一つの大きな原因は、ピラミッド特有の技術についての継承が途絶えたせいだと思います。逆に「石を加工する」「大人数を管理して設計図どおりの建物を作らせる」「巨大な重量物を積み上げる」といった部分の技術は継承され、発展したため、のちの時代に巨大な神殿建築を可能にしたのではないでしょうか。

ITで例えるなら、「いまどきMTAにsendmailなんて使ってるやついねーけど、MTAって概念自体は生きててEメールという機能自体は存在するよ」みたいな。


まあなんですか、結論としては、IT業界における2020年問題は、古代エジプトでは紀元前2100年あたりに通ってたんじゃないかなー、とか、そんな感じです。はい。




****

なお、前回の「大ピラミッド建造プロジェクトをシステム屋視点から見てみる -プロジェクト管理の技術力 」も、同じ案件の人員募集要項を見ていて思いつきました・笑

うんまあ、なんだ。ITドカタって言われるだけあって、うちの業界ほんと建築業界に構造そっくりなんだ。不毛な炎上案件も、これはファラオに命じられてピラミッド建築やってるんだ、と脳内変換すると何故か楽しく・・・たの・・・し・・・・ (オシリス様が見える・・・ウフフ・・・)

切羽詰ってくると、朝、会社の床にミイラ(寝袋につまった人)転がってたりするし、きっとここは古代エジプト。
脳内にある幻のイアル野を目指して。

****

おまけ

図説 ピラミッドの歴史 (ふくろうの本)
河出書房新社
大城 道則

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by 図説 ピラミッドの歴史 (ふくろうの本) の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル


めっちゃうちと内容かぶってて、いろんな意味で衝撃でしたわ…(´・ω・`)

この記事へのトラックバック