パタゴニア パイネの塔<前半>
さて、そもそも、このパイネ国立公園に来た最大の目的は パイネの塔 に登ること。
↓これですね!
トーレスは「塔」の複数形。なので「トーレス・デル・パイネ」を日本語に直すとパイネの塔。
この屹立する岩の塊、氷河が削って残った部分なのです。これが3本スッと立ってて、根元のところに氷河の溶けた湖がある。塔自体は山に登らなくてもギリギリ見えるんだけど、真下までいかないと迫力がない。
塔の根元にある湖のほとりから見上げる摩訶不思議な風景に憧れてパタゴニア行きを決めたようなものなので、これは外せないルートだった。
しかーし パイネの塔まではふもとのホテル/山小屋/キャンプ場から標準10時間コース。
夏場は日没10時過ぎとかなんで時間はそんなにキツくはないが、道は楽ではない。
というか実際に歩いてみた感じ、難易度とキツさは北アルプスのメジャールートくらいである。スタート地点からの標高差は800mもないくらい。だが途中の傾斜がかなりガチ。特に最後1時間は、自分史上でも、ちょっとここまでの傾斜の道はあんまり無かった。
そんなルートなのに、小学生くらいのお子様がいれば、なんと空荷+Tシャツの完全観光気分の客までいる。
山をナメてかかるのは日本だけじゃないらしい(笑)
パイネ国立公園内の主な山の名前は下図のとおり。
パイネの塔は右端の「Monte Almirante Nieto」の裏側にある。チラ見えしている「Torre Sur」が三本ある塔の南塔で、その後ろに中央塔、北塔の2本が隠れているのだ。高さでは南塔がいちばん高い。ロッククライマーが登頂に挑戦することもあるようだが、かなりの難所とのこと。
今回利用したのはこちら。
ふもとのホテル・ラス・トーレスには、宿泊客向けのアクティビティとしてパイネの塔への一日ツアーがある。ガイド・ランチボックスつきで塔のふもとまで案内してくれるというものだ。
Excursion一覧
http://www.lastorres.com/excursion/excursion.htm
中の人は今回もおひとり様。いつも国内の山は単独登山。しかし海外の10時間コースの登山道を、前情報もなしに突っ込むほど無謀ではない。そもそも出発前は地図がなかった。末尾につけた登山地図は現地についてから購入したもの。ヤマレコなどで登山情報を出している人はいたが、肝心の全ルート概要がわかんなかったのだ。
で、なんか混成ツアーに参加できないもんかとググってたらちょうどこれが引っ掛かった。 ホテル・ラス・トーレスに泊ってこれに混ざれば、おひとり様でも安全にパイネの塔に登れるんじゃね? と、そう思ったからこそのこのお宿。
お弁当つきで、ツアーのお値段は日本円で1万5千円くらいですた(´・ω・`)
うん…、まあ。安くはないね。パタゴニアのFull Day ツアーは、どれもだいたいこのくらいのお値段します。まあでも結果として、ツアー参加してよかったです。そうじゃないと、ペース配分わからんかっただろうし。
さてそんなわけで、ツアーに参加することになりました。
ちなみにホテル予約時に申し込んでお金払ってても、前日の受付け(19時から)に出ないと正式参加扱いにならないっぽいです。というかランチボックスの中に入ってるサンドイッチの具を5種類くらいから選ばせてくれるのだが、選ばないとランチボックスなし扱いになるらしい(笑)
よく分からないがとりあえず「Beef」という文字が目に入ったので0.2秒でそれに決める。
そして翌日、渡されたものは 水ボトル・オレンジジュースボトル・オレンジ・チョコバー・シリアルバー・ナッツ詰め合わせ・サンドイッチ の詰まった袋がひとつ。
ふつーに山装備のサブザックを仕立てて、いつものように2Lの水を入れていた自分。そこにさらにボトル1L分が追加。あれー水過多だよー
いや、本当はこれが正しいんですよ。自前で行動食まで用意するのがさ。まさかごはん+おやつ+水で配布されるゆとり仕様とは思わず…
つーか山を一日歩くのに集合場所で空荷で来るっつーのがそもそもおかしい。
なぜか出発時刻に集まった人たちの半数がTシャツジーンズ、肩掛けカバンor手ぶら だったんですよ。
どういうことなの
しかし実際山道に差し掛かってみると、さすがにこれはおかしいということが分かった(笑)
他の自分たちで来てる登山客は私と同じようなガチ装備で荷物もそれなりだったから… ホテルのツアー客が… きっと… YUTORI仕様。そんなのを見越してか、ガイドさんがかわいそうなくらいの超・重装備。それでも、さすがは山岳ガイド、途中でバテた人の荷物をぽいぽいとその巨大なリュックに放り込んで軽々と歩く。かっこいいぜ…!
そんなガイドさんに先導され、看板にしたがって進む。
この日は朝から全く風がなかった。まさかのパタゴニア無風。ゆえに雲が流れず天気は曇り。
メジャーコースなのですれ違う人はそこそこ多い。
キャンプ場や山小屋に荷物を置いてきている人は比較的軽装だが、コース途中の山小屋や山向こうのキャンプ場にいく人は山のような荷物。
なお、パイネの塔へいくルートは、 最初の1時間と最後の1時間がキツい。それ以外はゆるやかにアップダウンを繰り返すだけ。
最初1時間を登りきった時点で、この高度。
ちゅーか外人さんの混成ツアーに参加するといつも思うんだけど、みんなペースくっそ早いよね。今回、半数が空荷だったのもあるんだけど…。ついていくのに必死。というか、ほとんど最後尾。仕方が無い、水3Lに山装備だからッ…
だがいったんゆるやかになったあとも、気は抜けない。がけっぷちの足場の悪いところをガンガン歩く。
右側は断崖絶壁、谷底には川が流れている。落ちたら絶対死ぬだろこれ、っていうレベル。なのにすれ違うとき譲り合わない不思議な文化。普通…山って、下りが…崖と逆側に寄って待つよね…? しかもストックの先にカバーつけてないんだよ誰も。先っぽでガシガシ道を削りながら歩くの。なんだこれ。ペルーのインカ道は道を傷めるからってそもそもストック禁止だったぞ。
滑りやすい道が続く。ここは本来は強風スポットで、日によっては身体が浮くくらいの風に持っていかれそうになるらしい。この日はほとんど風がなかったのでサクサク歩けたが。
足元はこれ。砂埃がすごい。そしてむっちゃ滑る。
パーティーにいたおじぃちゃんがスリップして崖のほうにイッちゃいかけて、「ちょおおお!!」ってなった。それでもスピードを落とさない外人さんたちこええ(´・ω・`)
ちなみに崖と反対側の斜面はこんなん。土砂崩れも怖い。
いやあ、こんな道ひとりで歩くのはだめっしょ…。人通りの少ない時間帯に一人で歩いてて事故ったら永遠にみつからんぞ。
そしてスタートからぴったり二時間、地図に書いてある所要時間On timeでチレーノ・キャンプ到着。ここからは一時間半ほど森の中をゆったりと歩く感じになる。
チレーノ・キャンプからは道が谷川に合流するので、以後パイネの塔のふもとまで、水場は豊富にあり水に困ることはない。というか逆に言えば、だから最初に2Lも準備する必要はなかったってことですね(´・ω・`) 1Lもあれば、あとはペットボトルに継ぎ足し継ぎ足ししていけばいいだけで。
このチレーノの山小屋ではトイレを借りることが出来る。
が、なんとトイレとシャワールームが一体化しているというビビる構造。湿気てるわトイレ詰まって匂い篭ってるわ色々とアレでナニで。山小屋泊には覚悟が必要かもしれない…。
――後半へ続く!
****
これから登山を検討する日とのために、パイネの塔までのコースの地図をはっておく。ただしこの地図、 900,000万分の1 という縮尺。
これを見て、「なんだ、意外と近いんだな」と思ってはいけない。90万分の1地図ということは、日本の5万分の1地図にすると18倍の距離になる。ぶっちゃけ一般人が一日で歩く距離じゃねぇ(笑) 日没10時過ぎなんていう季節じゃなければ、確実に遭難者が出るレベル。
チリ・アルゼンチンともに、本屋や土産物屋で売られているトレッキング地図は、どれも縮尺がまちまち。なんでかというと、「パイネ」とか「フエゴ島」とか、地域ごとに地図を分けていて、その地域が一枚に収まるように縮尺を決めているから。なので地図のタイトルになっている地域は余すところなくその地図に入っているが、スケールが感覚的には分かりづらい。
****
まとめ読みはこちら
↓これですね!
トーレスは「塔」の複数形。なので「トーレス・デル・パイネ」を日本語に直すとパイネの塔。
この屹立する岩の塊、氷河が削って残った部分なのです。これが3本スッと立ってて、根元のところに氷河の溶けた湖がある。塔自体は山に登らなくてもギリギリ見えるんだけど、真下までいかないと迫力がない。
塔の根元にある湖のほとりから見上げる摩訶不思議な風景に憧れてパタゴニア行きを決めたようなものなので、これは外せないルートだった。
しかーし パイネの塔まではふもとのホテル/山小屋/キャンプ場から標準10時間コース。
夏場は日没10時過ぎとかなんで時間はそんなにキツくはないが、道は楽ではない。
というか実際に歩いてみた感じ、難易度とキツさは北アルプスのメジャールートくらいである。スタート地点からの標高差は800mもないくらい。だが途中の傾斜がかなりガチ。特に最後1時間は、自分史上でも、ちょっとここまでの傾斜の道はあんまり無かった。
そんなルートなのに、小学生くらいのお子様がいれば、なんと空荷+Tシャツの完全観光気分の客までいる。
山をナメてかかるのは日本だけじゃないらしい(笑)
パイネ国立公園内の主な山の名前は下図のとおり。
パイネの塔は右端の「Monte Almirante Nieto」の裏側にある。チラ見えしている「Torre Sur」が三本ある塔の南塔で、その後ろに中央塔、北塔の2本が隠れているのだ。高さでは南塔がいちばん高い。ロッククライマーが登頂に挑戦することもあるようだが、かなりの難所とのこと。
今回利用したのはこちら。
ふもとのホテル・ラス・トーレスには、宿泊客向けのアクティビティとしてパイネの塔への一日ツアーがある。ガイド・ランチボックスつきで塔のふもとまで案内してくれるというものだ。
Excursion一覧
http://www.lastorres.com/excursion/excursion.htm
中の人は今回もおひとり様。いつも国内の山は単独登山。しかし海外の10時間コースの登山道を、前情報もなしに突っ込むほど無謀ではない。そもそも出発前は地図がなかった。末尾につけた登山地図は現地についてから購入したもの。ヤマレコなどで登山情報を出している人はいたが、肝心の全ルート概要がわかんなかったのだ。
で、なんか混成ツアーに参加できないもんかとググってたらちょうどこれが引っ掛かった。 ホテル・ラス・トーレスに泊ってこれに混ざれば、おひとり様でも安全にパイネの塔に登れるんじゃね? と、そう思ったからこそのこのお宿。
お弁当つきで、ツアーのお値段は日本円で1万5千円くらいですた(´・ω・`)
うん…、まあ。安くはないね。パタゴニアのFull Day ツアーは、どれもだいたいこのくらいのお値段します。まあでも結果として、ツアー参加してよかったです。そうじゃないと、ペース配分わからんかっただろうし。
さてそんなわけで、ツアーに参加することになりました。
ちなみにホテル予約時に申し込んでお金払ってても、前日の受付け(19時から)に出ないと正式参加扱いにならないっぽいです。というかランチボックスの中に入ってるサンドイッチの具を5種類くらいから選ばせてくれるのだが、選ばないとランチボックスなし扱いになるらしい(笑)
よく分からないがとりあえず「Beef」という文字が目に入ったので0.2秒でそれに決める。
そして翌日、渡されたものは 水ボトル・オレンジジュースボトル・オレンジ・チョコバー・シリアルバー・ナッツ詰め合わせ・サンドイッチ の詰まった袋がひとつ。
ふつーに山装備のサブザックを仕立てて、いつものように2Lの水を入れていた自分。そこにさらにボトル1L分が追加。あれー水過多だよー
いや、本当はこれが正しいんですよ。自前で行動食まで用意するのがさ。まさかごはん+おやつ+水で配布されるゆとり仕様とは思わず…
つーか山を一日歩くのに集合場所で空荷で来るっつーのがそもそもおかしい。
なぜか出発時刻に集まった人たちの半数がTシャツジーンズ、肩掛けカバンor手ぶら だったんですよ。
どういうことなの
しかし実際山道に差し掛かってみると、さすがにこれはおかしいということが分かった(笑)
他の自分たちで来てる登山客は私と同じようなガチ装備で荷物もそれなりだったから… ホテルのツアー客が… きっと… YUTORI仕様。そんなのを見越してか、ガイドさんがかわいそうなくらいの超・重装備。それでも、さすがは山岳ガイド、途中でバテた人の荷物をぽいぽいとその巨大なリュックに放り込んで軽々と歩く。かっこいいぜ…!
そんなガイドさんに先導され、看板にしたがって進む。
この日は朝から全く風がなかった。まさかのパタゴニア無風。ゆえに雲が流れず天気は曇り。
メジャーコースなのですれ違う人はそこそこ多い。
キャンプ場や山小屋に荷物を置いてきている人は比較的軽装だが、コース途中の山小屋や山向こうのキャンプ場にいく人は山のような荷物。
なお、パイネの塔へいくルートは、 最初の1時間と最後の1時間がキツい。それ以外はゆるやかにアップダウンを繰り返すだけ。
最初1時間を登りきった時点で、この高度。
ちゅーか外人さんの混成ツアーに参加するといつも思うんだけど、みんなペースくっそ早いよね。今回、半数が空荷だったのもあるんだけど…。ついていくのに必死。というか、ほとんど最後尾。仕方が無い、水3Lに山装備だからッ…
だがいったんゆるやかになったあとも、気は抜けない。がけっぷちの足場の悪いところをガンガン歩く。
右側は断崖絶壁、谷底には川が流れている。落ちたら絶対死ぬだろこれ、っていうレベル。なのにすれ違うとき譲り合わない不思議な文化。普通…山って、下りが…崖と逆側に寄って待つよね…? しかもストックの先にカバーつけてないんだよ誰も。先っぽでガシガシ道を削りながら歩くの。なんだこれ。ペルーのインカ道は道を傷めるからってそもそもストック禁止だったぞ。
滑りやすい道が続く。ここは本来は強風スポットで、日によっては身体が浮くくらいの風に持っていかれそうになるらしい。この日はほとんど風がなかったのでサクサク歩けたが。
足元はこれ。砂埃がすごい。そしてむっちゃ滑る。
パーティーにいたおじぃちゃんがスリップして崖のほうにイッちゃいかけて、「ちょおおお!!」ってなった。それでもスピードを落とさない外人さんたちこええ(´・ω・`)
ちなみに崖と反対側の斜面はこんなん。土砂崩れも怖い。
いやあ、こんな道ひとりで歩くのはだめっしょ…。人通りの少ない時間帯に一人で歩いてて事故ったら永遠にみつからんぞ。
そしてスタートからぴったり二時間、地図に書いてある所要時間On timeでチレーノ・キャンプ到着。ここからは一時間半ほど森の中をゆったりと歩く感じになる。
チレーノ・キャンプからは道が谷川に合流するので、以後パイネの塔のふもとまで、水場は豊富にあり水に困ることはない。というか逆に言えば、だから最初に2Lも準備する必要はなかったってことですね(´・ω・`) 1Lもあれば、あとはペットボトルに継ぎ足し継ぎ足ししていけばいいだけで。
このチレーノの山小屋ではトイレを借りることが出来る。
が、なんとトイレとシャワールームが一体化しているというビビる構造。湿気てるわトイレ詰まって匂い篭ってるわ色々とアレでナニで。山小屋泊には覚悟が必要かもしれない…。
――後半へ続く!
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これから登山を検討する日とのために、パイネの塔までのコースの地図をはっておく。ただしこの地図、 900,000万分の1 という縮尺。
これを見て、「なんだ、意外と近いんだな」と思ってはいけない。90万分の1地図ということは、日本の5万分の1地図にすると18倍の距離になる。ぶっちゃけ一般人が一日で歩く距離じゃねぇ(笑) 日没10時過ぎなんていう季節じゃなければ、確実に遭難者が出るレベル。
チリ・アルゼンチンともに、本屋や土産物屋で売られているトレッキング地図は、どれも縮尺がまちまち。なんでかというと、「パイネ」とか「フエゴ島」とか、地域ごとに地図を分けていて、その地域が一枚に収まるように縮尺を決めているから。なので地図のタイトルになっている地域は余すところなくその地図に入っているが、スケールが感覚的には分かりづらい。
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まとめ読みはこちら