パタゴニア ロス・グラシアス ペリト・モレノ氷河を歩く
カラファテに来た目的は、ここのウリとなっているペリト・モレノ氷河の上を歩くトレッキングに参加するためだった。しかし、人気ツアーなのでハイシーズンはとても込み合う。そもそもこの旅行を計画した半年前の時点でかなり埋まっていた。
ツアー料金はお高い。しかも、氷河のある国立公園の入り口で、入場料として 230ペソ(約3220円) のニコニコ現金払いが要求される。
基本観光客からはBOTTAKURIなエジプトさんですら、ここまで取らなかったというのに!
が、氷河の上を歩く体験などそうそうできるものではないので、我慢して支払います。パタゴニアこういうのがあるからお金がどんどん飛ぶんだよなァ。
カラファテに宿泊する旅行者の大半は、このツアーが目当てだと思う。他にもフィッツ・ロイやエル・チャルテンに行く人も泊まるので、町は常に旅行者でごったがえし、ハイシーズンの夏場は本当に宿が取れない。
さて、参加したのは英語混載ツアー。小型バスがホテルを回って参加者をピックアップしていき、郊外のデカいバスに積み替えて氷河まで送るというもの。氷河のあるロス・グラシアレス国立公園まで1時間半くらいかかっただろうか。わりと朝早くからの出発だったので、車内で爆睡している人が多い。
トイレ休憩に泊まったのは、氷河の下流と思われる川のほとり。なかなか絵になる場所だ。
この日も、朝から曇ったり晴れたり小雨が降ったりの、いわゆる「パタゴニア仕様」な移り変わりの激しいお天気だった。
バスが止まると船着場、10分ほどの遊覧ののち、船は氷河の前に到着する。
必死でシャッターを押す観光客たち。そこに紛れて一枚だけ撮った。氷が浮かんでいて寒そうに見えるが、実は気温はそこまで低くない。ただ、氷河のほうから吹いてくる風がやたら冷たいので、耳たぶや指先はすぐに冷たくなってしまう。手袋必須だ。
気候変動などで後退する氷河が多い中、このペリト・モレノ氷河だけは、いまも前進を続けている不思議な氷河なのだという。一日に何度も、前進による崩落を見ることが出来るダイナミックな"生きた"氷河で、それゆえ人気も高い。
岸辺には崩落した氷の破片がたくさん流れ着いている。
船が岸辺につくとトレッキング開始場所まで移動となる。
このとき、大きな荷物は途中の小屋に預けていくように言われる。ぶっちゃけ水だけ持っていけば大丈夫ではあるが、防寒具はもっていこう。あと手袋とサングラスは無いとかなりキツい。ていうか日が射した瞬間の眩しさはハンパない。今回、サングラス持っていって本当によかったと思う。何しろ周り真っ白だからね…。
ちなみに、氷河と人間の大きさ比はこんな感じである。
手前にある小屋が滑り止めのクランポンを靴に装着するところ。氷河のひだり上のほうにいるのが先行するパーテーィ。けっこうな距離、そしてけっこうな高さである。このトレッキング・ツアーには厳しい年齢制限があるが、それもむべなるかなという感じだ。お子様と高齢者はNG。かなり体力を使うツアーなので、体調管理には気をつけて参加したい。
あとスニーカーにクランポンつけてもあんまり意味ないので、トレッキングシューズは準備したほうがいい。
この日は参加者が多いため、グループ別に分かれて順番に氷河に向かう。
ガイドの指示に従い、ペンギンの如く水辺を歩く面々。あいにくの天気だが、それでも氷河は青く見える。
凍ってない岸の部分は岩が削れた感じの絶壁と砂浜になっている。
その向こうは森。
係の人にクランポンをつけてもらったら、いよいよ氷河にチャレンジである。
氷河は日々姿を変えていくものなので、歩くコースは事前にガイドさんが確認した安全めのコース。それでも途中にクレバスがあったり、凍って滑りやすくなっていたりする箇所はある。氷河は一枚の硬く凍った氷では無い。ガチガチに凍った川の上に、雪が降り積もって出来た巨大な雪の塊といったほうが正しい。なので冬山と同じだと思っていればだいたいイメージは合う。中の人じつは冬山ニガテなんですが、この時は氷河という言葉の響きに騙されてテンション上がってました。
歩き出して5分でようやく自分の間違いに気がついた。
これ、… これ… 青くてデカいけど 雪山じゃねーか! ※遅い
歩いているときの音は、みぞれアイスにスプーンを突き刺してるときの音。
歩いている感触は、ガリガリ君を租借している時の感触。
そして色はブルーハワイアンである。
なんと氷河の上を歩く気分は、身近なもので追体験可能な意外とリーズナブルなものだったのだ。前後のツアー客の歩く「ザシュッ、ザシュッ」という音と、足元から身体に伝わってくる氷を砕く妙に懐かしい感触を噛み締めながら、ガイドさんの指示に従って歩き続ける。
ところどころに青いクレバスが口をあけている。
これでも人間ひとりすっぽり入るくらいのサイズはある。そして溶けた水がけっこうな勢いで氷の下へと流れ込んでいる。足を滑らせてドボンすると、そのまま氷河の下へ巻きこまれてさようならしてしまう。じーっと見ていると、ガイドさんに「ここに飛び込んでも(地球の反対側の)日本には帰れませんよwww」とか言われた。いやぁ日本のRPGだとこのテの入り口は隠しダンジョンの入り口なんでちょっと気になっただけですよHAHAHA。
しばらく歩いていると、唐突に雲が切れて晴れてきた。写真だけだとまさに雪山。
ここからが超絶に眩しい世界の始まり。日焼け止め必須。ていうか、氷河の上を歩くのは、スキーで雪山に行った時と同じだと思いねえ。前回ペルーでの失敗を踏まえて、唇には念入りにUVカットを塗っておいた中の人だったが、今回は…鼻の穴を日焼けするという、まさかの体験をしてしまった。
そこなの! そこ日焼けするもんなの!
いやー確かに反射した光が下からも来てましたけどね? 鼻の下と鼻の穴周りは確かに日焼け止めはあまり塗ってなかったですよ。でもさぁ…。そこ… なの…。
あと唇と頬の隙間の狭いとこも焼けた。水を飲んだときに日焼け止めが流れてしまったようだ。
氷河と雪山が違うところは、雪崩がない代わりにクレバスが不規則に広がっていくというところだ。雪止けの水はクレバス状の裂け目から常に雪の下の川へと流れ落ちている。そして氷河は前進し続けている。地形は日々変わる。
上に立っていると、まるで山のように見えている氷河だが、その実は動きつづけている不安定な雪の塊に過ぎない。そう思うと、なんだかちょっと怖くなってくる。あちこちに穿たれたやたらと青い底の見えないクレバスが、そんな気分にさせるのかもしれない。
私にとって「青」は恐怖の色でもある。
広すぎる空、果ての見えない海、あるいは今回の底の見えない氷河の裂け目。美しいが、その色を前にして、どうしていいのか分からなくなる。
好きな色は「緑」だ。
森の新緑、山の草木、良く知っている心休まる色。
氷河を存分に堪能したところで、緑の世界へと帰還する。
帰り道はこんな感じの森の中。
昼食は2時過ぎだったと思う。持ってきたランチボックスを森の中の展望台で食べた。
…このランチボックスがなかなかヘヴィなマズさだったことはあまり思い出したくない。雪山で重労働したあとで食べるにしてはちょっとあまりにも。
パタゴニアは概してパンがすこぶるマズい。
現地で小麦とれないんだから仕方ないだろって話だが、まあとにかくパンの類はほぼ例外なく得体の知れない塊と化しているので我慢しよう。そのぶん肉はなかなかうまい。
ロス・グラシアレス国立公園内にレストランなどはもちろんない。
最後に再びバスにのって、定番のビュースポットへ行く。ここの横にはカフェがあるが、相変わらずのすさまじいボッタくり価格のうえサンドイッチと飲み物くらいしかない。まあトイレ休憩くらいかな…。
写真は崩落直後のもの。大きな波が立っている。
氷河が崩れ落ちるときの音は、打ち上げ花火であった。
バリバリ… ドドーン!
という感じ。「バリバリ」の部分は雷が落ちる時の音にも似ている。「爆撃機のようだ」と表現している人をよく見かけたが、あいにく戦時中の記憶が無く、紛争地帯にも行ったことがないので爆撃の音がわからない。自分内の意見DBを検索した結果、一番似ていたのが、雷と打ち上げ花火だった。
もっと物凄い迫力で落ちてくるものかと思っていたが、そこまででもなかったなという感じ。確かに水しぶきはすごかったので、船に乗っているときに目の前で崩れれば、もっと迫力を感じられるのかもしれない。
バスに乗って町に帰り着いたのは、18時過ぎ。
ちなみにカラファテの町のレストランは、ほぼ例外なく 19時~23時の営業 である。つまり早く帰ってきたからといって、早めに腹ごしらえは出来ない。おなかがすいていてもカフェで軽食を食べるくらいしか選択肢がない。
そして大き目のレストランはパッケージツアーの客にあらかじめ予約されていて入れず、小さなレストランに行こうとすると19時時点で既に行列が出来ていたりする…(´・ω・`)
宿に対してレストランの数が足りてない のである。
そして一律19時から営業というスタイルのせいで客足がバラけないうえ、アルゼンチン人の客さばきのヘタさが混雑に拍車をかけている。
…中の人、まさかの夕食難民となる。
これは私が不慣れだったわけではなく、他の旅行者もけっこうな確率で難民と化していた。明らかに席が空いてるのに、ウェイターが人をさばかないせいで入り口が大混雑の店とかもあった。日本みたいに名前書いておいて待たせるシステムなんか当然ない。
結局一時間以上、途中で出会った中国人の女の子二人連れと一緒に途方にくれながら開いている食堂を探した。最後に町外れの明らかにマズそうなハンバーガー屋にたどり着き、そこでカチカチのバーガーとサンドイッチのセットを食べてなんとか腹を満たすはめに。
パンがまずい国なので、まぁ。。。味は。。。お察しください。
この時思った、カラファテにはもう来ることはあるまいと。
ごはんがマズい町も論外だが、ごはんの食べられない町はそれ以前の問題だ。メシの恨みは深くて重い。だいたいメニューからしてボッタクリである。この旅程内で最も物価が高かったのがカラファテの町だった。デカいだけで美味しくないバーガーに180ペソも取られたことはしばらく忘れまいぞ。
だがこの時、私はまだアルゼンチンの恐ろしさを知り尽くしてはいなかった。
ぷりぷりしながら眠った翌朝、さらに恐ろしいアルゼンチン・クォリティな事態が待ち受けていようとは…。
****
まとめ読みはこちら
ツアー料金はお高い。しかも、氷河のある国立公園の入り口で、入場料として 230ペソ(約3220円) のニコニコ現金払いが要求される。
基本観光客からはBOTTAKURIなエジプトさんですら、ここまで取らなかったというのに!
が、氷河の上を歩く体験などそうそうできるものではないので、我慢して支払います。パタゴニアこういうのがあるからお金がどんどん飛ぶんだよなァ。
カラファテに宿泊する旅行者の大半は、このツアーが目当てだと思う。他にもフィッツ・ロイやエル・チャルテンに行く人も泊まるので、町は常に旅行者でごったがえし、ハイシーズンの夏場は本当に宿が取れない。
さて、参加したのは英語混載ツアー。小型バスがホテルを回って参加者をピックアップしていき、郊外のデカいバスに積み替えて氷河まで送るというもの。氷河のあるロス・グラシアレス国立公園まで1時間半くらいかかっただろうか。わりと朝早くからの出発だったので、車内で爆睡している人が多い。
トイレ休憩に泊まったのは、氷河の下流と思われる川のほとり。なかなか絵になる場所だ。
この日も、朝から曇ったり晴れたり小雨が降ったりの、いわゆる「パタゴニア仕様」な移り変わりの激しいお天気だった。
バスが止まると船着場、10分ほどの遊覧ののち、船は氷河の前に到着する。
必死でシャッターを押す観光客たち。そこに紛れて一枚だけ撮った。氷が浮かんでいて寒そうに見えるが、実は気温はそこまで低くない。ただ、氷河のほうから吹いてくる風がやたら冷たいので、耳たぶや指先はすぐに冷たくなってしまう。手袋必須だ。
気候変動などで後退する氷河が多い中、このペリト・モレノ氷河だけは、いまも前進を続けている不思議な氷河なのだという。一日に何度も、前進による崩落を見ることが出来るダイナミックな"生きた"氷河で、それゆえ人気も高い。
岸辺には崩落した氷の破片がたくさん流れ着いている。
船が岸辺につくとトレッキング開始場所まで移動となる。
このとき、大きな荷物は途中の小屋に預けていくように言われる。ぶっちゃけ水だけ持っていけば大丈夫ではあるが、防寒具はもっていこう。あと手袋とサングラスは無いとかなりキツい。ていうか日が射した瞬間の眩しさはハンパない。今回、サングラス持っていって本当によかったと思う。何しろ周り真っ白だからね…。
ちなみに、氷河と人間の大きさ比はこんな感じである。
手前にある小屋が滑り止めのクランポンを靴に装着するところ。氷河のひだり上のほうにいるのが先行するパーテーィ。けっこうな距離、そしてけっこうな高さである。このトレッキング・ツアーには厳しい年齢制限があるが、それもむべなるかなという感じだ。お子様と高齢者はNG。かなり体力を使うツアーなので、体調管理には気をつけて参加したい。
あとスニーカーにクランポンつけてもあんまり意味ないので、トレッキングシューズは準備したほうがいい。
この日は参加者が多いため、グループ別に分かれて順番に氷河に向かう。
ガイドの指示に従い、ペンギンの如く水辺を歩く面々。あいにくの天気だが、それでも氷河は青く見える。
凍ってない岸の部分は岩が削れた感じの絶壁と砂浜になっている。
その向こうは森。
係の人にクランポンをつけてもらったら、いよいよ氷河にチャレンジである。
氷河は日々姿を変えていくものなので、歩くコースは事前にガイドさんが確認した安全めのコース。それでも途中にクレバスがあったり、凍って滑りやすくなっていたりする箇所はある。氷河は一枚の硬く凍った氷では無い。ガチガチに凍った川の上に、雪が降り積もって出来た巨大な雪の塊といったほうが正しい。なので冬山と同じだと思っていればだいたいイメージは合う。中の人じつは冬山ニガテなんですが、この時は氷河という言葉の響きに騙されてテンション上がってました。
歩き出して5分でようやく自分の間違いに気がついた。
これ、… これ… 青くてデカいけど 雪山じゃねーか! ※遅い
歩いているときの音は、みぞれアイスにスプーンを突き刺してるときの音。
歩いている感触は、ガリガリ君を租借している時の感触。
そして色はブルーハワイアンである。
なんと氷河の上を歩く気分は、身近なもので追体験可能な意外とリーズナブルなものだったのだ。前後のツアー客の歩く「ザシュッ、ザシュッ」という音と、足元から身体に伝わってくる氷を砕く妙に懐かしい感触を噛み締めながら、ガイドさんの指示に従って歩き続ける。
ところどころに青いクレバスが口をあけている。
これでも人間ひとりすっぽり入るくらいのサイズはある。そして溶けた水がけっこうな勢いで氷の下へと流れ込んでいる。足を滑らせてドボンすると、そのまま氷河の下へ巻きこまれてさようならしてしまう。じーっと見ていると、ガイドさんに「ここに飛び込んでも(地球の反対側の)日本には帰れませんよwww」とか言われた。いやぁ日本のRPGだとこのテの入り口は隠しダンジョンの入り口なんでちょっと気になっただけですよHAHAHA。
しばらく歩いていると、唐突に雲が切れて晴れてきた。写真だけだとまさに雪山。
ここからが超絶に眩しい世界の始まり。日焼け止め必須。ていうか、氷河の上を歩くのは、スキーで雪山に行った時と同じだと思いねえ。前回ペルーでの失敗を踏まえて、唇には念入りにUVカットを塗っておいた中の人だったが、今回は…鼻の穴を日焼けするという、まさかの体験をしてしまった。
そこなの! そこ日焼けするもんなの!
いやー確かに反射した光が下からも来てましたけどね? 鼻の下と鼻の穴周りは確かに日焼け止めはあまり塗ってなかったですよ。でもさぁ…。そこ… なの…。
あと唇と頬の隙間の狭いとこも焼けた。水を飲んだときに日焼け止めが流れてしまったようだ。
氷河と雪山が違うところは、雪崩がない代わりにクレバスが不規則に広がっていくというところだ。雪止けの水はクレバス状の裂け目から常に雪の下の川へと流れ落ちている。そして氷河は前進し続けている。地形は日々変わる。
上に立っていると、まるで山のように見えている氷河だが、その実は動きつづけている不安定な雪の塊に過ぎない。そう思うと、なんだかちょっと怖くなってくる。あちこちに穿たれたやたらと青い底の見えないクレバスが、そんな気分にさせるのかもしれない。
私にとって「青」は恐怖の色でもある。
広すぎる空、果ての見えない海、あるいは今回の底の見えない氷河の裂け目。美しいが、その色を前にして、どうしていいのか分からなくなる。
好きな色は「緑」だ。
森の新緑、山の草木、良く知っている心休まる色。
氷河を存分に堪能したところで、緑の世界へと帰還する。
帰り道はこんな感じの森の中。
昼食は2時過ぎだったと思う。持ってきたランチボックスを森の中の展望台で食べた。
…このランチボックスがなかなかヘヴィなマズさだったことはあまり思い出したくない。雪山で重労働したあとで食べるにしてはちょっとあまりにも。
パタゴニアは概してパンがすこぶるマズい。
現地で小麦とれないんだから仕方ないだろって話だが、まあとにかくパンの類はほぼ例外なく得体の知れない塊と化しているので我慢しよう。そのぶん肉はなかなかうまい。
ロス・グラシアレス国立公園内にレストランなどはもちろんない。
最後に再びバスにのって、定番のビュースポットへ行く。ここの横にはカフェがあるが、相変わらずのすさまじいボッタくり価格のうえサンドイッチと飲み物くらいしかない。まあトイレ休憩くらいかな…。
写真は崩落直後のもの。大きな波が立っている。
氷河が崩れ落ちるときの音は、打ち上げ花火であった。
バリバリ… ドドーン!
という感じ。「バリバリ」の部分は雷が落ちる時の音にも似ている。「爆撃機のようだ」と表現している人をよく見かけたが、あいにく戦時中の記憶が無く、紛争地帯にも行ったことがないので爆撃の音がわからない。自分内の意見DBを検索した結果、一番似ていたのが、雷と打ち上げ花火だった。
もっと物凄い迫力で落ちてくるものかと思っていたが、そこまででもなかったなという感じ。確かに水しぶきはすごかったので、船に乗っているときに目の前で崩れれば、もっと迫力を感じられるのかもしれない。
バスに乗って町に帰り着いたのは、18時過ぎ。
ちなみにカラファテの町のレストランは、ほぼ例外なく 19時~23時の営業 である。つまり早く帰ってきたからといって、早めに腹ごしらえは出来ない。おなかがすいていてもカフェで軽食を食べるくらいしか選択肢がない。
そして大き目のレストランはパッケージツアーの客にあらかじめ予約されていて入れず、小さなレストランに行こうとすると19時時点で既に行列が出来ていたりする…(´・ω・`)
宿に対してレストランの数が足りてない のである。
そして一律19時から営業というスタイルのせいで客足がバラけないうえ、アルゼンチン人の客さばきのヘタさが混雑に拍車をかけている。
…中の人、まさかの夕食難民となる。
これは私が不慣れだったわけではなく、他の旅行者もけっこうな確率で難民と化していた。明らかに席が空いてるのに、ウェイターが人をさばかないせいで入り口が大混雑の店とかもあった。日本みたいに名前書いておいて待たせるシステムなんか当然ない。
結局一時間以上、途中で出会った中国人の女の子二人連れと一緒に途方にくれながら開いている食堂を探した。最後に町外れの明らかにマズそうなハンバーガー屋にたどり着き、そこでカチカチのバーガーとサンドイッチのセットを食べてなんとか腹を満たすはめに。
パンがまずい国なので、まぁ。。。味は。。。お察しください。
この時思った、カラファテにはもう来ることはあるまいと。
ごはんがマズい町も論外だが、ごはんの食べられない町はそれ以前の問題だ。メシの恨みは深くて重い。だいたいメニューからしてボッタクリである。この旅程内で最も物価が高かったのがカラファテの町だった。デカいだけで美味しくないバーガーに180ペソも取られたことはしばらく忘れまいぞ。
だがこの時、私はまだアルゼンチンの恐ろしさを知り尽くしてはいなかった。
ぷりぷりしながら眠った翌朝、さらに恐ろしいアルゼンチン・クォリティな事態が待ち受けていようとは…。
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まとめ読みはこちら