番外編(1) サンタ迎撃指令 ~NYのメリークリスマス

話は、出発前に遡る。

南米に行くのには直行便はなく、アメリカかカナダで乗り継ぎするのが一般的。
最近では値段の下がるドバイやヨーロッパなどで乗り継ぎする西回り航路を利用する人も多いですが、西回りだと多少余分に時間がかかります。まあ地球の反対側いくんで、東から回ろうが西から回ろうが、結局一周は一周なんスけどね。

選ぶなら乗り継ぎ時間に観光できる路線にしようと思い、ちょうどクリスマス前だしNY乗り継ぎにしてマンハッタンのクリスマスでも観光してやることにしました。
HAHAHA待ってろよアメリカンな赤いサンタ。本場のサンタを狙い撃ちだぜー!


というわけで、まずはNYのJFK空港まで飛ぶことに。

なお出発前の成田はこんなん。
「ゲート通過まで1時間かかるので早めに並んでください」とかアナウンスしてたけど、お盆シーズンの死ぬほど混んでたときに比べたら全然マシなほうだった。たぶん時間帯にもよるんだろう。

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到着後はサブウェイでマンハッタンまで移動。天気がイマイチなのでセントラル・パークに行くのは諦めて、ロックフェラーセンターからタイムズスクウェアまでの間を歩くことにする。なおホリデイのマンハッタンはタクシーが少なく、クリスマスシーズンは道路が渋滞するので、タクシー移動はあまりオススメしないとの旅行サイトの情報。つーかまぁ地下鉄が2.5ドル一律で便利なんで、地下鉄移動が無難だと思う。道わかりやすいし。

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気温は10度以下、冷たい小雨がパラついているというのに傘をささないNYっ子たち。人が多くて傘がぶつかるのでさせないのかもしれないが、それにしてもどうなんだ。

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周囲には屋台が出ているものの、さすがに雨の中で立ち食いはキツいので、雨避けられればいいかなーと思って昼飯は近場のマクドに入ってみたのだが…。
…相変わらずアメリカのマクドはクッソまずかった。 

パンはカチカチ、肉は添加物の味しかしない。ケチャップは赤いなにか。コーラはMサイズでも1リットル、洗浄液の味がする。
ほんとにね、なんなのあれ。バカなのアホなの。アメリカはメシのマズさが在り得ない。アメリカに行くたび毎回言ってると思いますが、世界最悪に料理がマズい国はぶっちぎりでアメリカですよ。豪邸買ってくれて住めといわれても絶対イヤですわ。

ぶつくさ文句を言いながらも、腹は満たされたので近隣を見学して回る。
ビルによってクリスマスデコレーションが違っているのは面白かった。そのへんでクリスマス風のハンドベル鳴らしてる人がいたり、土産もの屋にクリスマスグッズ売ってたり。しかしサンタそのものはいない…


こちらがロックフェラーセンター前の有名な巨大クリスマスツリー&スケートリンク。
タイバニでバーナビーが幼少期に滑ってたスケートリンクのモデルっすね(一部の人にしか判らないネタ)。

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ああ、なんかすっげえアメリカンな雰囲気の場所だなーとか思いつつ、そのまま南下してタイムズスクウェアへ。
ここはニューイヤーカウントダウンでよく知られている場所。別名、「世界の交差点」。
ビルにSONYとかTOSHIBAとかの広告が出ているのはさすがというべきか。日本企業こういうとこに金かけるの好きだよね。

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ここにもサンタはいなかった。…が、すっごく似ていない、というか不気味なアナ雪のエルサはいた(笑
カメラを向けるとチップを要求されるのでスルー。まぁぶっちゃけ、雰囲気的には外人さんの多い渋谷ですわ。本場の赤いサンタが見たかったのに見つからないので、一通り歩いたあとはワールドトレードセンター跡でも見に行くかと移動。

…ちなみにアメリカの地下鉄のトイレは、人間の尊厳を疑うレベルの汚さ なので、入ってみることはオススメしない…。



というわけで、地下鉄でワールドトレードセンター最寄駅へ。
雨が降ったりやんだりのイマイチな天気なので、高層ビル群の上のほうは雲につっこんでいる。新生ワールドトレードセンタービル'sもこの有様。つーかWTC1から5くらいまで並んでて、どれがどれかちょっと分かりづらかった。付近は工事中で通行止めの場所多し。

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それでもなんとなく人の流れについていくと、元ツインタワーのあった場所には出ることが出来た。
ここは今はメモリアルパークになっていて、四角い大きな滝の周りに、犠牲者名を刻んだ石の墓標がぐるりと並べられている。二つの滝の間には、メモリアルミュージアムもあったが、長蛇の列&有料のため今回はパス。

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花の手向けられている名前は、遺族が来たのだろうか。
十字を切る人もいれば、いい笑顔でピースしながら写メる人もいる。ただ私は、このビッシリと犠牲者名の刻まれた四角い滝を見ているとき、少しゾッとするとともに悪趣味だなと思ってしまった。この記念碑は、「殺された恨みは忘れない」という意思表示に思えたからだ。決して終わらない憎悪の連鎖のための施設に見えたからだ。

似たようなものを見たことがある。
プラハの町にあったシナゴーグ(ユダヤ教会)の漆喰の壁に書かれた、ゲットー送りになったユダヤ人たちの名前だ。

部屋の壁一面びっしりと赤い手書き文字で書かれた死者たちの名前、それは悲しい記憶とともにゾッとする部屋ではあったけれど、決して悪趣味だとは思わなかった。漆喰の壁に手書きだったからだろうと思う。戦後七十年を経て、インクの色が少し退色していたことに心が慰められたからかもしれない。

紙は劣化し、漆喰の壁に書かれたインクの文字は退色する。たとえ百年、二百年かかろうとも。
だが石に刻まれた文字は千年でも残る。その違いだ。

悲しい記憶はいつか薄れて、乗り越えられてゆかねばならない。なのにWTCの犠牲者たちは、石に名を刻まれることで、永遠に死の瞬間に繋ぎ止められようとしている。それは、悪趣味なエゴの所作ではないだろうか。この911の原因と、その後宣言された"テロとの戦い"で引き起こされた数々の暴力を思い起こせば尚更だ。



この記念碑は、いつか破棄されるべきだと私は思う。
ここを訪れる人が減り、忘れ去られる時がくるまで、平和な世界は訪れないだろう。




――というわけで、サンタに会えないまま、ニューヨーク半日観光は終了。空港に戻ったら次はチリの首都・サンティアゴへ移動する。





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