ピラミッドに続く塩の道を探して…

休みですか? 無いです。中の人です。
いやあるんですけど、電話がかかってくるんです…orz


というわけで前回の続き。

 ピラミッド建設(ガテン系)労働者は塩飴を舐めたか?
 https://55096962.seesaa.net/article/201510article_27.html

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古代人といえど人間なので、体の作りは同じ。ということは、生命維持に必要な塩分も同じはず。
ただでさえ夏場はクッソ暑くて発汗量はんぱないエジプト、しかもピラミッド建設みたいなガテンな仕事してるなら、絶対に塩は必要だろ? というのが発端で、じゃあ労働者の消費する塩はどっから来てんのよというお話だ。

前回調べたように、一般的に生命維持に必要な塩は一日に8gくらいとされている。
しかしガテンなお仕事だと、汗をかくぶん水と一緒に塩分も補給しないといけなくて、だいたい40gくらいは必要になるという。お外で石を切り出したり運んだりしてる人は、たくさんの塩分が必要なのだ。

しかし塩分は人間以外の動物の生命維持にも必要なもののため、当然ながら他の動物の体内にも含まれる。従って、ほかの動物を食べることによってもある程度は摂取できる。たとえば魚とか鳥とかだが、大人数に大量に提供できるものといったらやっぱり魚だろう。なにしろエジプト、海もあるし川もある。

実際、先王朝時代から魚の干物なんかが流れ作業で大量に作られた形跡があったりするらしい。
(ヒエラコンポリス遺跡 HK11C とか。報告書はココで読める)

たぶん、ピラミッド労働者にパンやビールを提供するのと同じ流れで、どこかに干物魚工場なんかがあって、流れ作業で大量の食料を生産してたんじゃないかと思う。

だが、それだけでは40gというガテン水準の塩分は摂取できない。
やっぱどうしても、「塩」を単体で手に入れてくる必要がある。入手方法は、海の塩か、陸の塩か。



…というわけで、とりあえず製塩の本から読んでみた。(´・ω・`)

結論から言うと、海の塩はちょっと難しそうだった。
理由は、海水を煮詰める、あるいは藻を燃やすために大量の燃料を消費するから。エジプトあんま木がない。
塩田を作り、一年から二年かけて天日で水分を飛ばして作る自然乾燥的な方法もあるようだが、これは面積辺りで作れる量があまり多くない。エジプトは基本的に暑い国なので、出来なくは無いと思うのだが… ピラミッド労働者が1万人いたとすると、毎月10トン以上の塩を必要とするくらいのレベルである。天日製塩では間に合わないような気がする。

だとすると、残る経路は陸路となる。
エジプト周辺で岩塩ないし塩湖のあるところを調べてみたが、エジプト国内だとバハリヤ・オアシスとシーア・オアシスの近辺で塩が露出しているような塩湖・塩湿原が見つかった。

参考
http://www.jti.co.jp/Culture/museum/collection/salt/s4/index.html

*ググると個人で旅行した人の写真とかあったりするが、個人の写真なので転載はしていない


東だと死海とかのあたりだろうか。製塩する手間は省けるが、まぁ輸送するだけでもけっこう大変そうである…。

ギザ台地もそうだが、エジプトのナイルデルタより北のあたりは、かつて海だった場所だ。
なので地下深くには塩分が大量に眠っている。ナイルの氾濫がダムによって押さえられ、それらが地表に上がってくるようになって発生しているのが、近代の塩害であり、遺跡の破壊が進んでいる原因でもある。

この地中の塩を利用する方法も、あるいはあったのではないかと思うのだが、ピラミッド近辺で製塩施設が見つかったという話はついぞ聞かない。Zahi Hawassが発掘してた「オシリス・シャフト(報告書PDFリンク)」と呼ばれる用途不明な深い穴が塩水くみ上げ用だったりしたら面白いんだが… まぁ、そんな感じの構造ではない。

結論として 「塩の出所は わからん。」 という話なのだが、多分、この問題はピラミッドだけではなく、後々の神殿建設、あるいは他国への兵士の遠征などにも関わってくると思う。

 人は、塩が ないと 生きられない。

これは古今東西普遍の問題である。どんな文明も塩の確保には気を使ってきた。そして塩のないところには人も獣も棲む事ができない。
古代エジプトでは、ガテン系労働者にどうやって塩を提供していたのか。

まぁなんか、すぐに答えは出なさそうだが、思いついたときにぽちぽち調べてみよっかなーとかなんとか。


******
続き

古代エジプト人が利用した塩の情報: ピラミッドに続く塩の道
https://55096962.seesaa.net/article/201511article_14.html

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