ピラミッドに未知の空間が! 部屋がある?! → ちがいます

まとめる時間がなさげなので、ほぼ覚え書きになってしまうがとりあえず…。
「ピラミッドの内部にはスキマがある」というのは、かなり可能性の高い仮説として、既に周知となっている。そして、現段階の結果は、その可能性を追認したに過ぎない。

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ニュースソースは多分色々あるんだろうけど、とりあえずこのへんとか

エジプトのピラミッドに「温度の異常」、内部に未知の空間か
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151111-00010001-afpbbnewsv-int

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どうやって調べたかについては、Youtubeに映像がいくつか転がっているので各自適当にググってみてほしい。
アニメーションで説明してるのはコレとか。

https://www.youtube.com/watch?v=hFfE4T7GI3M

使用したのは赤外線サーモグラフィスキャン。石の温度に異常が見つかったのは、東側面の中央にある3つのブロック。ココ!

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わっかりますかね。地面ぎわスレスレのとこ。ピラミッドの奥じゃないからね。部屋じゃないのはこれ見ただけでも分かるよね…。
ここの温度が他より微妙に高いので、後ろにスキマか通路がある「かもしれない」という話。ちなみに表面の温度調べただけなので、後ろに1m四方くらいの空間があってハイ終わり、という可能性も大。

マスコミ様の記事は誤報にならないスレスレのところで最大限話題を呼ぼうとして、結果的にミスリードさせるような書き方になることが多いので注意が必要。
元ソースでは誰も秘密の部屋の話はしていない。

http://english.ahram.org.eg/NewsContent/9/40/164151/Heritage/Ancient-Egypt/Thermal-scans-of-Egypts-Great-Pyramid-reveal-anoma.aspx

あと日本語記事では「ピラミッド内部の未知の部屋の発見を目的として行われてるプロジェクト」と断言されているが、「見つかったらいいなぁ」はあるとしても、それが唯一の目的ではないと思う。どちらかというと、「ピラミッドの謎をとくための手がかり集め」「構造の解明」がメインのプロジェクトだと思う。(部屋を見つけたいだけなら、昔の好事家のようにアタリをつけた場所を爆破すればいいだけの話だからね。)

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「ピラミッドにスキマがある」のがなぜ既に知られているかというと、石組みの崩れている場所からスキマが見えていたり、外から侵入可能なスキマがあるからだ。
そして、過去に重力測定を行った際に、ピラミッド内部の密度にはバラつきがあることも確認されている。

その研究を元に、ピラミッド建設時に内部の傾斜路を使ったのではないか、という説を立てたのがジャン・ピエール・ウーダンなのだが、残念ながら密度の不均衡はそれほど綿密な計画のもとに生じているようには見えない。

ではどうしてスキマが生じてしまったのかというと、まぁぶっちゃけて言うと、 工期を短くするために石をかなり適当に積んだから …という話だ。

もんのすごく適当に解説したのが こちら になるが、

 ・石ひとつひとつの大きさは、それほど厳密ではない
 ・しかし外側は滑らかにしあげるため輪郭をそろえる必要がある
 ・必然的に石と石のスキマに適当なものを詰め込んで帳尻を合わせる必要が出てくる

…その結果、砂やガレキを詰め込んだ「スキマ」が各段に出来てしまうのだ。
まぁなんだあれだ、古代エジプト人お得意のあれですよ、精緻と見せかけて実は手抜き(キリッ)てやつ。


なので、ピラミッド内部に「空間」が見つかるのは既に織り込み済みかつ当然の話であり、重要なのは、その空間が意図して作られた「通路」や「部屋」なのか、工法によってやむなく生じたただのスキマなのか ということなのだ。

ここポイント。
今の技術で、果たしてこの見分けがつけられるのか? と、いうところなのね。


調査が進めば、今後もピラミッドの中に「今まで知られていなかったスキマ」の情報が、たくさん出てくると思う。
それ自体はふーんって話で、スキマに法則性があるのか、人工的なものなのかってとこが注目すべき情報。

ここ押さえとくと、「なんだやっぱり何も見つからないジャン」なんてガッカリせずに見てられると思いますです。

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