カッパドキア、ネヴシェヒルの地下都市から初期キリスト教時代の教会見つかる

関連記事は2015年の地下都市発見ニュース。

カッパドキア・ネブシェヒルで新たな地下都市を発見
https://55096962.seesaa.net/article/201504article_11.html

ここの地下都市から、5世紀ごろのものと思われる教会が見つかったそうな。

ちなみに記事中で「Orthodoxy」と出てくるのは、日本語では「正教会」。教皇(法王)がいるのは西方教会(カトリックやプロテスタント)、東方教会がオーソドックスで教皇に該当するような最高権威は存在しない。


Early Christian Church Found in Turkey
http://www.sci-news.com/archaeology/early-christian-church-turkey-03611.html

Historic church discovered in Turkey’s Nevşehir ‘could change history of Orthodoxy’
http://www.hurriyetdailynews.com/historic-church-discovered-in-turkeys-nevsehir-could-change-history-of-orthodoxy.aspx?pageID=238&nID=94309&NewsCatID=375

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カッパドキアといえば「岩の家」、「岩の家」といえば敵から隠れ住むための場所… と思われがちだが、実はカッパドキアでは平和な時代から、岩の中に穴掘って住んだり岩で建物を作るのは普通に行われていた。荒地なので木材に乏しく、岩は柔らかいので切り出してブロックにするよりは中をくりぬいてそのまま住んだほうが楽。おまけに岩の家だと夏は涼しく冬は暖かい。

教会が5世紀のものということは、キリスト教徒が迫害されてた時代はもう終わっているし、昔から使われていた地下街を拡張して作ったのかも。都市全体の使用時期なんかは発掘が進むと情報出てくるかもですね。
ちなみに今判っている壁画には、モーセとエリシャ、イエスの手から落ちた魚、被昇天、悪しき魂の消滅などの場面が描かれているそうな。



西方教会と東方教会は、日本人だと違いが良く分からんと思ってる人も多いと思うけど、東方教会の分かりやすい特徴は、実はこの「絵」の部分。フレスコ画など芸術的な装飾を早くから頑張ってたのが東方教会で、聖母マリアのイコンを多用していた(ビザンツでは一時期禁止されるが)のも東方教会。

カッパドキアもそうだけど、東方教会の文化圏はギリシャやエジプトといった、「像」「絵」を多用する文化圏と重なっている。なのでキリスト教芸術といいつつ、東地中海世界の伝統的な宗教画テイストも受け継がれてます。今回発見された教会の装飾も、人物の間のスペースの埋め方とか色使いなんかの発想が、古代エジプトの墓の中の装飾と似てて面白い。


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余談ですが、オーソドックスが「正」教会と名乗っているのは、西方教会に対して、より古い伝統を残しているのが自分たちの側だと自負しているから。ある意味で頭が固い・原理主義と言えなくも無いですが、芸術作品や宗教儀式のスタイルを見てみると、東地中海世界の古代文明の残り香を強く引き継いでいるのは確かに東方教会側です。

キリスト教が誕生したのは東地中海世界の中なわけで、ローマの国教に組み込まれて政治利用されていった西協会に対して「正」教会と名乗りたいその気持ちは良く分かる。

日本だと西ばっかりプッシュされますが、オリエント好きな人はぜひ…ぜひ東のほうも…。
アンマ シリョウ ナインダケドネ(´・ω・`)

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